308: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2007/09/18(火) 13:38:56 ID:???
電車で、座席を取るとき必ず端の手すり側一人分を空けて、
ニッコリ笑いながら手でパンパン座席をたたいて
私を端に座らそうとするところかなぁ

でも、折角二人して並んで座ったら年寄り見つけてさっさと
席を譲っちゃってさ! まぁ、シンジらしいけどね・・・

あと、体育の授業でサッカーやってた時、靴紐が急に解けたのが
気になったらしくって、途中でドリブル止めちゃって鈴原に
叱られて生真面目に謝ってるところ、かなぁ

可愛いったらないわよ!

309: 連投スマソ 2007/09/18(火) 14:26:31 ID:???
「愛情たっぷりのお弁当作ったよ」って言うから、てっきりごはんの所に「はぁとまぁく」とか
ありそうじゃない?ヒカリならまぁいいか、と思って一緒に中を見たのよ、そしたらさぁ・・・


何の変哲も無い海苔がびっしり敷き詰めてある「フツー」の弁当だったわよ!

期待した分怒り倍増よ!

家に帰ってソッコー詰ってやったわ!

「あんたねぇ、あんな思わせぶりな事言って、てっきり目で見て解かるような愛情のマークとか、
あるのかと思ったじゃないのよ!」

「えっ?だって、海苔を鋏で切って大きなハートマークと、中央にそぼろでLOVEってちゃんと・・・」


その時ミサトが帰ってきたわ


何故か、シンジを見るなり顔を真っ赤にしてモジモジしてたわ・・・


一生懸命ミサトに釈明していたシンジ・・・
可愛いけど、恥ずかしいから、もういいわよ・・・

310: 連投スマソ 2007/09/18(火) 14:50:06 ID:???
同じく体育のサッカーで、シュートした時、
蹴ったボールはあさっての方向に飛んでいったのに、
脱げて飛んでいった靴が勢いよくゴールネットをゆらして

ほんのちょっと、人に見えないようにガッツポーズしてた時

311: 連投スマソ 2007/09/18(火) 15:05:41 ID:???
スーパーの特売チラシを見ながら「今日の夕飯、○○にしようね!」って笑って言う時

そして、タイムサービスの激戦で百戦錬磨の主婦に気後れして食材が調達出来ず、
「ごめんねアスカ・・・」って謝りながら有合せを用意している時

別に、あんたが作る料理なら何だっていいわよ



以上、通り掛りのアスカでした

317: 連投スマソ 2007/09/19(水) 08:35:16 ID:???
一緒に散歩してる時、犬とか猫とか小動物がいるととっても優しそうな顔するの
こっちまで幸せな気分になるわね

二人でソフトクリーム食べてて、私の食べていたソフトの部分が落ちちゃってコーンだけに
なったのを見て、自分のソフトに私のコーンをくっつけて半分こしてくれた時も可愛かった

Tシャツを裏返しで着ちゃってて、それを指摘すると「こういう柄なの!」と強がった
くせに速攻で着替えなおして何事もなかったようにしているところもいいわね

あと、私が靴履けなくてよろけてると、何も言わずにそっと肩を近づけてくるところ。
チョット意地悪して手を乗っけずに顔を乗っけて「シーンジィ」って耳元で
囁くと、顔を真っ赤にして「恥ずかしいよ、もう・・・」って照れちゃうところとか

可愛いわよ、私のシンジは

320: 連投スマソ 2007/09/19(水) 14:21:02 ID:???
誕生日にスニーカーをプレゼントしたのよ。でも、いつまでたっても古い靴のまんま。
見かねてシンジの部屋に押しかけたわよ

そしたら、戸棚の中に、箱から出した状態で飾ってあったわ。
なんか、何考えてるか分かっちゃったけど、一応訊いてみたのよ

「あんたねぇ、靴なんて飾っておいても何の意味もないのよ?」

そしたらシンジったら

「そんな・・・アスカが折角プレゼントしてくれたのに・・・勿体無くて履けないよ」

だってさ。なんか、力抜けちゃった

しょうがないからもう一足、特売のを買ってやったわよ。
さすがにその特売の靴を戸棚に飾ろうとした時は頭ぱたいたけどね


私の誕生日、奮発してもらうわよ

321: 連投スマソ 2007/09/19(水) 15:14:54 ID:???
そういえば、特売の靴あげた日、シンジッたら、枕元に特売の靴を
置いて寝てたっけ。とってもいい寝顔だったわね

あら?「シンジの可愛いところ」って話だったけど、なんだか
「私が幸せに感じる時」になっちゃってるわね・・・

ま、いっか

325: 連投スマソ 2007/09/19(水) 16:57:55 ID:???
シンジと二人でファミレスに行った時の事、

私 「シンジィ、何注文するか決まった?」

シンジ 「うん。決まったよ」

私 「オッケー。すいませーん!」

店員さん 「お決まりでしょうか?」

私 「えっとー、○○セットでライス、ドリンクバーね。シンジは?」

シンジ 「あ、それじゃ、同じのを」

私 「ぐふっ!(思わずイスから滑り落ちそうになる)」

注文をとり終えて

私 「あんたねぇ・・・随分と長いことメニュー眺めてたけど、一体全体何を決めてたのよ!」

シンジ 「えっ、後で頼むデザートをね。チョコムースパフェにしようか季節のフルーツパフェに
しようか迷ってたんだ。ここの、結構ボリュームあって美味しいんだよ。後で一緒に食べようね」

私 「ハァーッ・・・あんたには勝てる気がしないわね・・・」



パフェ、おいしかったな。また一緒に食べようね、シンジ

326: 連投スマソ 2007/09/19(水) 17:01:51 ID:???
リビングでごろごろしながら二人でテレビとか見るのよ。
だけど、クラシックの番組が始まると何故か正座するシンジ

本当は、クラシックの番組なんかどーでもいいのよ

それより、シンジの膝枕でうとうとするのがいいのよね
番組が終わっても、私が起きるまで膝枕しててくれるのよ
ね、可愛いでしょ?


そーよ、のろけよ! 悪い!?


以上、通り掛りのアスカでした

333: 連投スマソ 2007/09/20(木) 12:05:12 ID:???
部屋の片づけをするって言うから手伝ったのよ


始めて5分

私 「シンジィ、この文庫本はどうするの?捨てちゃうの?」

シンジ 「あっ、それ・・・ それは僕が小学5年の時にね・・・」

私 「フムフム、へぇ~・・・」

想い出話を始めるシンジ。きらきらした顔。私にしか見せない顔

私 「ねぇ、これは?」

シンジ 「あぁそれ? それはね、自分で貯金して初めて買った・・・」

私 「ふーん、そうなんだぁ、フフッ・・・」

結局、半日掛かって当初の目標の1割も消化できず。そりゃ、あんな顔されたら手も止まるわよ


だがしかーし、収穫もあったわ

ベッドの下の靴下を収納する引き出しの奥と、戸棚の科学雑誌の間が隠し場所みたいね

まー、シンジも男の子だし、興味持って当然よね・・・ 今だけは目を瞑っといてやるわ


私が成長して「女」になったら、釘付けにしてやるわよ、思い知るがいいわ!

334: 連投スマソ 2007/09/20(木) 13:35:35 ID:???
欲しい物があるって言うんで、放課後はシンジに付き合ってショッピング

~1件目~
私 「ねぇ、シンジィ、このキャミ私にどう?」

シンジ 「そのフリルと花柄が似合いそうだよね。待っててあげるから試着しておいでよ」

~2件目~
私 「体型に自信があるならやっぱりセパレートよりワンピースよね、シンプルでラインも綺麗に出そうだし。
   ねぇねぇ、着てあげよっか?」

シンジ 「結構大胆だよねぇ・・・ でも、ちょっと見てみたい、かな・・」

~3件目~
私 「あーっ、このマグカップかわいい~っ、ねえねえ、色違いあるし買っていかない?」

シンジ 「そうだね。折角付き合ってもらってるし、プレゼントするよ」

~4件目~
私 「ここのアイス、ヒカリなんかとしょっちゅう食べるけど美味しいんだよ~。マグカップのお礼におごって
   あげるわよ。違う種類二つにして半分こしましょ」

シンジ 「わあっ、ありがとう。」

335: 連投スマソ 2007/09/20(木) 13:37:32 ID:???
なんだかんだと帰り道

私 「・・・ところでさぁ、あんた、欲しい物あったんじゃないの?」

シンジ 「ははっ、忘れてたよ」

私 「んなっ、ったくー、何やってんのよ、しょうがないなー」

シンジ 「でも、今日はアスカが楽しそうにしてたからそれでいいよ。いつでも買える物よりも、今日過ごした
      アスカとの時間の方が比べようもないぐらい大切だからね」

私 「まっ・・・・・・・また・・・来てあげるわよ・・・いつでも言いなさい・・・いつでも一緒に行くわよ・・・」

ジンジ 「ありがとう、アスカ」


その瞬間、確信したわ。シンジ、欲しい物の事、忘れてた訳じゃないんだって事。
忘れたフリして、私の我侭に付き合ってくれれたのよねぇ・・・

シンジ、もうすこし、私の前では、我侭になっていいわよ

336: 連投スマソ 2007/09/20(木) 14:44:32 ID:???
大好物を最後に食べるシンジ

私 「あの・・・さ、ねぇ、シンジィ」

シンジ 「ん?何?」

私 「あんた、いつも一番好きなものを最後に食べるじゃない?」

シンジ 「そうだね。その方が美味しさ倍増、みたいに思えるし。それが?」

私 「それで・・・さ、私も・・・さ」

シンジ 「?」

私 「最後・・・なのかなぁ・・・って・・・」

シンジ 「・・・・・・」

私 「・・・・・・」

シンジ 「・・・・・・」

私 「・・・・・・」



以上、通り掛りのアスカでした

342: 連投スマソ 2007/09/21(金) 07:05:27 ID:???
学校の男子は格闘技好きなのよ。もれなくシンジもハマッちゃって、そーゆートコ、可愛いわよね

私 「でー、その技って本当に効くのー?」

シンジ 「そりゃ、十字固めといえばサブミッションの中では最もオーソドックスで・・・」

私 「能書きはいいから私に掛けてみなさいよ。アンタが一丁前の御託に見合う力量を持つのか
   見極めてやるわよ」

シンジ 「いいけど・・・もし、痛くなったら早めに言ってね?」

私 「ハン!いーからやんなさい!」

リビングで横になる私。右手を伸ばして待っているとシンジが横にやって来る。シンジの両足が
私の首と胸! ヤバッ、近い! ウーッ、実験台な以上文句は言えないわね・・・伸ばした手首を
両手で持ちながらゆっくりと自分の身体に倒していくシンジ。

ん? おやおや・・・?

伸ばした肩口付近に・・・何か・・・感じる・・・やわらかい・・・
えーっと・・・これは・・・

343: 連投スマソ 2007/09/21(金) 07:07:08 ID:???
あーっ、シンジ!シンジ!当たってる!あたっちる!アタッチル!ATTACHMENT!!!

シンジ 「どう?アスカ、痛くない?」

私 「(どーしよ、シンジ!密着してるわよ!思いっきし当たってるわよ!)うーむむむ、へーきよ、全然」

感触が、ああ・・・感触が・・・悩ましい・・・ちょっと痛いけど、この際どーでもいいわ・・・

シンジ 「じゃ、もうちょっと伸ばしてみるよ、えいっ!」

グーテンモルゲーン! シンジが私に私がシンジにシンジのがわたっ、わたっ・・・グルグルグルグル・・・

シンジ 「あっ!ごめん!アスカ真っ赤だね!我慢してたんだね」

技という名の甘~いひとときが不意に終焉を迎える

私 「ちょっと!ぬゎーんで解くのよ!」

シンジ 「えっ!?だってアスカ顔真っ赤だよ!?そんなになるまで我慢しなくたって・・・」

私 「うっ・・・いーから!もう片方の腕にも掛けなさい!」


結局次の日、一日中腕が曲がらなくなるまで技を存分に受けちゃった・・・ 代償は、大きかったわね・・・

344: 連投スマソ 2007/09/21(金) 10:03:54 ID:???
  ~後日、二人で格闘雑誌を見ながら~

私 「シ~ンジィ~、今度はこの”卍固め”ってヤツ、掛けてみてよ」

シンジ 「ごめん、それまだ覚えてないんだ」

私 「ちぇっ、何よ、使えないわねぇ・・・」

シンジ 「使えないって・・・あっ、そういえばトウジなら完全にマスターしてるから、明日頼んでみるよ!」

私 「バッ!あんたねぇ、なーんでこのア・タ・シ・が、わざわざ鈴原なんかの技を受けなくちゃならないのよ!」

シンジ 「だって・・・技なら誰が掛けても同じことだと思うんだけど・・・ あっ、確かケンスケも出来るよ」

ブチッ!

私 「・・・フンッ!全くっ!アンタって!アンタってぇぇぇぇ~!!!!」

シンジ 「あぐっ!ふぐぁっ!イタタタッ、アスカッ・・・それって・・・多分卍固めじゃあ・・・」

私 「アンタが掛けてくれなきゃ意味ないのよぉ~!!!!こぉ~のぉ~トーヘンボクがぁ~!!!!」

シンジ 「い・・・言ってる事が意味分かんないよぉ~!ぐぐ・・・ぐぐぎぎぃ~」


シンジ・・・お日様のにおい・・・すべすべの・・・石鹸のにおい・・・その息使い・・・白目も素敵・・・口に付いた泡も・・・?

あ、落ちちゃった・・・

360: 連投スマソ 2007/09/29(土) 13:03:26 ID:???
デートで某公園を散歩していた時の話

シンジ 「アスカ、あのボート一緒に乗ろうよ。僕が漕いであげるよ」

私 「・・・絶ッ対イ・ヤ・よ!」

シンジ 「そんな、キッパリと・・・アスカは、僕と一緒に乗るのが嫌なの?」

私 「・・・あのね、シンジ、ここの公園の『言い伝え』知らないの?」

シンジ 「はぁ?アスカって結構迷信深いんだね、なんか意外だな」

私 「あんたねぇっ!人を何だと思ってんのよ!大体・・・」

シンジ 「ははっ、冗談冗談。でも、アスカがそんなに頑なに嫌がるのを見てさ、なんだかその『言い伝え』
っていうのが分かった気がするよ」

私 「ほ~お、何なのか当ててみなさいよ」

シンジ 「あれでしょ、"ここのボートを二人で乗ると必ず結ばれる"とかさ。だから、僕と乗るの嫌なんだよね、
     ハハハッ

361: 連投スマソ 2007/09/29(土) 13:05:51 ID:???
私 「・・・」

シンジ 「あ、あれぇ?アスカ?」

私 「(ぶちっ!)くぉんのぉ、ぶうゎかシンジィィィィィ!!!!!」

シンジ 「えっ、えっ、アスカ?あれっ、どうしちゃったの・ちょっと落ち着いて・・・」

私 「そぉんなオ・メ・デ・タ・イ言い伝えだったら私から誘ってるわよっ!!!!! ここはね『一緒に
   乗ったカップルが別れる』って言われてんのよ!だからシンジと一緒に乗るのは嫌なの!!!!!
あんたってどうして!・・・あっ・・・」

シンジ 「え・・・そ・・・それ・・・?」

私 「・・・(カァ~~~ッ)」

シンジ 「そっ、そうなんだ(ポッ)・・・ じ、じゃ、乗るのやめとこうね・・・」

私 「わっ、わわわっ、分かればいいのよ・・・」

362: 連投スマソ 2007/09/29(土) 13:08:55 ID:???
あー!恥ずかしいったらありゃしない!場の勢いで余計な事まで口走ったじゃないの・・・ 全く、シンジの
甲斐性無しには困ったものだわ・・・まぁ、そーゆーところも可愛いんだけどさ・・・

でも、失敗したわね。ファーストが居る時シンジとボートに無理やり乗せて言い伝えを成就させる、って手が
あったのに・・・ いやいやいやいや!あの二人がボートで楽しそうにしてるのを、ただ指を咥えて見てる
方がほんの一時とはいえ耐え難いものがあるわね・・・ 

あー、自己嫌悪・・・

363: 連投スマソ 2007/09/29(土) 13:20:18 ID:???
私が寝坊すると、何故か一緒に遅刻して学校へ行くシンジ

先に行けばいいのに、って言ったら

「二人なら、半分こ」だってさ



そうね、シンジ。こうやって、これからも、色んな事、二人で半分こしようね

側にいて、半分こ

368: 連投スマソ 2007/09/30(日) 16:06:28 ID:???
~なんてことのない朝の風景~

ケンスケ 「おはよう二人共!」

トウジ 「おっはようさん! 碇夫妻は今日も仲エエのぅ!」

シンジ 「何言ってんだよトウジ・・・ 僕たちはそんな・・・」

アスカ 「そうよ鈴原!私達はまだ夫婦じゃないわ!」

トウジ・シンジ・ケンスケ 「まっ・・・・・・・・・!」

アスカ 「何よ3バカ!?さっさと行くわよっ!」


トウジ 「・・・センセ 惣流あないな事言ってますけど、よろしいんでっか?」

シンジ 「・・・間違っては、いないと思う(ポッ)・・・・」

ケンスケ 「・・・(とても寂しそうな顔をしている)」


先頭を歩いていたけど、自分の発言に気付いて顔が真っ赤になったわ・・・
シンジも、顔真っ赤だったわね・・・

369: 連投スマソ 2007/09/30(日) 16:16:46 ID:???
~次の日~

ケンスケ 「おはよう二人共!」

トウジ 「おっはようさん! 碇夫妻は今日も仲エエのぅ!」

シンジ 「何言ってんだよトウジ・・・ 僕たちはそんな・・・」

アスカ 「そうよ鈴原!碇夫妻じゃないわ!シンジは養子になるんだから私の方の・・・」

トウジ・シンジ・ケンスケ 「ぐっ・・・・・・・・・!」

アスカ 「何よ3バカ!?さっさと行くわよっ!」


トウジ 「・・・センセ 惣流あないな事言ってますけど、よろしいんでっか?」

シンジ 「・・・それも・・・悪くないかなぁ、ヘヘッ(ポッ)・・・・」

ケンスケ 「・・・トウジ、先に行こう(グスン)・・・」

375: 連投スマソ 2007/10/01(月) 14:03:32 ID:???
明日は縁日。ミサトったら奮発して私とシンジの浴衣を誂えてくれたのよ。早速マンションで浴衣の試着

私 「ねぇシンジ、明日はちゃんと着なきゃいけないんならさぁ、今日は浴衣、交換して着てみない?」

シンジ 「えーっ・・・恥ずかしいよぉ・・・」

私 「あ~に~よ、私しかいないんだからいいじゃないのよ! じゃ、私はあんたの着てみるわ」

無理やりシンジから羽織と浴衣を奪う私。昨日採寸時に着付けも教わったし、簡易装着だから一人でも楽チンよ
ダイニングでとっとと着替えを済ませ、勢いよく戸を開放

私 「エヴァ弐号機パイロット、惣流・アスカ・ラングレー選手、堂々の入場です。どーよシンジ!」

チャコールの綿麻混紡の浴衣に初号機をモチーフにした黒と紫のラインにライトグリーンのウェーブが入った帯、
玉虫色の羽織で右手を高く上げ、左手を腰に当て、颯爽と登場の私

シンジ 「うわぁーっ(拍手)!アスカ・・・何ていうか・・・男前だねー!」

私 「(イラッ)そ、それって・・褒め言葉・・・よね・・?」

シンジ 「勿論だよ!宝塚の男役の人みたいにカッコいいよ!」

私 「フッ、フッフーッ、悪い気はしないわね。さぁてそれじゃ、碇シンジ君、用意はいいかな?」

376: 連投スマソ 2007/10/01(月) 14:05:24 ID:???
シンジ 「やっぱり着るのーっ!」

私 「男の子でしょ、観念なさいっ!」

シンジ 「こっ、この場合男の子も何も・・・うわっ!」

着物用の肌着と運動用のスパッツのシンジにてきぱき浴衣を着付ける


-5分経過-


シンジ 「ど、どうかな・・・ちょっと恥ずかしいけど・・・」

言葉を失う。裾に蘭鋳と琉金が泳ぐ刺繍のある薄桃色の浴衣、弐号機をイメージした朱に白いドットが入った帯、
極めつけに、ヘッドセットの色柄を模したチョウチョの髪飾りをちょこんと頭に乗せている。頬を赤らめ
モジモジしながら上目遣いに見つめてくるシンジ。赤らんだ頬と白い肌と浴衣のコントラストが絶妙なハーモニー
を醸し出している

私 「(ぐっ、モッ、萌―――ッ!!!シンジ・・・なんて人なの・・・)そっ、そーねー、悪くないわねぇ・・・」

女としての私の沽券に関わるので、取り敢えず褒めちぎりたい衝動を抑えて軽くいなす。足元や首周りを気にして
チョコチョコ動き回る可愛い仕草のシンジに軽い立眩みを覚えながら、実行に移したかった兼ねてからのプランを
提案する

384: 連投スマソ 2007/10/02(火) 13:21:17 ID:???
私 「ねっ、ねぇシンジ、折角和装なんだから『お代官様ごっこ』しよ!」

シンジ 「ああー、"よいではないか、よいではないか"っていう、アレ? いいけど・・・今の格好だと、必然的に
僕が村娘役をやるんだよね・・・」

私 「アラ、いい趣向じゃない、お金取れるわよ、きっと。ネルフの忘年会で披露してもいいわね!」

シンジ 「そ・・・その意見には賛同しかねるけど・・・」

私 「つべこべいわずに! ムッフッフッフッ・・・」

不敵な笑みを浮かべて両手で何かを掴むような仕草をしながらシンジに歩み寄る

シンジ 「既になりきってるーっ!うわーっ・・・い、一体何をなさるおつもりですか、お代官様ぁ!」

ウホッ、さすがはエースの初号機パイロット、順応性高いわね!そうこなくっちゃ!

私 「どーれ、今宵はしっぽりと楽しもうではないか!」

帯止めに手を掛ける。もたつく私を見かねてシンジも手伝いながら帯の端を手に持つ

385: 連投スマソ 2007/10/02(火) 13:22:38 ID:???
シンジ 「おっ、おやめくださいましっ、人を呼びますよっ!」

私 「ここにはそちとワシの二人しおらんわい。まぁ、よいではないか、よいではないかっ!(ムフフ、これが
やりたかったのよねぇ~。えいっ!)」

クルクルクルクルーッ

シンジ 「あーれぇーっ、ご無体なぁーーーーーっ!」

帯が完全に解け、だらんとなった浴衣の首元を左手で握り締め、よろめきながら両膝を折りたたんで倒れこむシンジ。
浴衣の裾から白くすらりと伸びた脚が覗く。中性的で端正な顔に物憂げな表情を浮かべ、すがる様な視線のシンジ

私 「(本日2度目の萌ッ-----!!!!!こっ、これはっ!間違いなく他人に見せるのは非常に危険だわ・・・
   確実に、多くの女性の"悩"が"殺"されるわね・・・いやいや、下手したら男まで毒牙にかけるかも
しれないわね・・・余りにも自然な振舞いなだけに余計タチが悪いし・・・残念だけど・・・ここだけの
イベントにしときましょ) あ・・・あられもない姿よのぅ、さぁて、どうしてくれようかぁーーーーっ」

386: 連投スマソ 2007/10/02(火) 13:26:30 ID:???
シンジ 「いやっ、近寄らないでっくださいましっ!それ以上近づいたら・・・」

私 「ほほう? それ以上近づいたら、どうするというのじゃ?」

後ずさりするシンジ、じわじわとにじり寄る私。切なげな表情で怯えるような眼差しのシンジ・・・

うーん、どうやら「シンジが無造作に振りまいている妖艶フェロモン」に完全にあてられてしまっているわね・・・
私の中に眠っている"男の性"が目覚めるのを感じるわ。目の前にいるシンジ、否、最早"性別"を超越した魅力を
放っている崇高な存在を『この手でどうにかしてしまいたい!』という強い衝動に駆られる。狂おしい程抱きしめたい、
呼吸が止まるほどに、いっそのこと止めちゃおうかしら!骨とかもバッキバキに・・・やりすぎよ、私・・・

シンジ 「・・・あっ?あ・・・アスカ・・・ぉおおぉぅ!」

バタンッ!

身体が反応した。対象の間合を完全に殺ぐと素早くマウントポジションゲーーーーット!大して抵抗もしないシンジ・・・
シンジ・・・シンジ・・・シンジ・・・シンヒュイ・・・ヒィンジ・・・イュインヒィ・・・ヒュインヒィ・・・ニュッ

387: 連投スマソ 2007/10/02(火) 13:28:23 ID:???
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・弐号機 暴走・-・-・-・-・-・--・-・-・-・-・-

ぐがぁーっ、シンジーッ、どうしてあんたはそんな顔すんのよ!その切ない瞳は何なのよ!そうなの?そうなのねシンジ!
あんたっ、私がこれから何をするのかちょっとばかり分かっちゃったように感じちゃったりしてんでしょ!あまいわね!
あんたの思い通りなんかにならないんだからっ!そのあんたの無防備な右手を十字に極めてもいいし、抵抗したら裏返して
チョークで落としてもいい、三角で落とすって手もあるんでございますのよ!さーぁ覚悟はいいかし・・・

シンジ 「アスカ・・・」

ぎゅうぉおおおぅ!シンジ、そのトロンとした目は何なの!?オマケにその艶やかな唇、私に「奪ってくれ」っていわん
ばかりじゃないのよっ!ざけんじゃないわよっ!あんたのペースになんか乗せられてたまるもんですかい!ってんだ!

シンジ 「うんっ・・・」

お、おんのれぇぇぇっ!唇を半開きにするんでないわっ!ついでにその悩ましい吐息を何とか白―イングランドッ!つまんないわよっ!
どーして欲しいのよシンジッ!どーして欲しいのっ?って、分かってるわよっ!そうよ、この状況でやる事なんざぁ決まってるって
モンサンミッシェル!つまんないわよっ!そうよっ!あれでしょっ! きっきっ・・・きっ・・・喫茶店っ! 喫茶店!?
・・・あんたっ、喫茶店に行って何しようって考えてんのよっ!? はぁ・・・? 何よそれ・・・

388: 連投スマソ 2007/10/02(火) 13:30:50 ID:???
シンジ 「はぁ・・・」

うっ、うんがぁぁぁぁっ!遂にっ、遂に目を閉じやがりましたねーテルランドイッチェランドッ!つまんないわよっ!
よかろーーーーーーーうシンジッ!しっ、してやろうじゃありませんの事よ!それでっ、アレでしょシンジッ!キッ・・・
キィッスゥッ・・・スゥッッ・・・そっ、それだけじゃすまないのよねっ!あんたはきっとっ!そうよねっ、男の子だもんねっ!
きっとっ、きっとっ!私のむ・・・むむむむ・・・胸・・・とか・・・触ったり・・・してくんでございますのよっ!いっ、いいわよっ、
受けて立つわヨルバイーアッ!つまんないわよっ!つっ、つまん・・・

私 「シンジィ・・・」

あーっ、私から餌食になりにいってどーするんだべさっ!目まで閉じちゃって何を期待支店営業主任っ!つまんないわよっ!
・・・どうやらっ、年貢の納め時のようね・・・そう、得物を前に舌なめずりは二流のやる事って、どっかで聞いたわ・・・
もう・・・こんな距離まで近づいてる・・・シンジの吐息が鼻先をくすぐる・・・いいわ・・・好きに・・・させてあげる・・・
だから・・あんたも私を・・・好きに品川・・・もういいわ・・・頑張ったわよアスカ・・・もう・・開放してあげましょうよ・・・

シンジ 「アス・・・カァ・・・」

私 「シィン・・・ジィ・・・」

389: 連投スマソ 2007/10/02(火) 13:32:30 ID:???
バタムッ!

ミサト 「シンちゃーーーん!アスカーーーッ!浴衣の具合はど・う・で・す・かニャ? にゃ? に・・・」

シンジ 「・・・・・・!」

私 「・・・・・?」

ミサト 「・・・・・・!!!!!」

その後の数分間、マンションには、いつもより大きく聞こえるペンペンの足音のみがむなしく木霊していた・・・


―――――――――― オマケ 友情出演実況コメンタリー ――――――――――

マヤ 「初号機、弐号機いずれも沈黙!ついでに作戦部長も沈黙!」
リツコ 「ロジック以前の問題ね・・・」
ゲンドウ 「レイ、ドグマを降りて浴衣を着ろ」
冬月 「ユイ君に・・・似ておるな(ポッ)」


お粗末さまでした、それでは、いつかまた・・・

401: 連投スマソ 2007/10/05(金) 16:10:05 ID:???
いつもの朝

私 「おっはよー、シンジ!」

調理場に立つ、学生服にエプロン姿。フライパンを器用に動かす手。見慣れた朝の光景

シンジ 「おはようアスカ!」

私 「朝からいつもご苦労様ね。今日のお弁当は何かしら?」

シンジ 「今日は、厚焼き玉子とミートボールとポテトサラダ、それと昨日の残りの金平だよ」

私 「あらーっ、ポテトサラダ美味しそうね!味見していい?」

シンジ 「勿論!感想聞かせてよ」

サラダボウルのスプーンにポテトサラダを多目に掬って一口

私 「んー、薄味でいい感じじゃない!私はこの味付け好きだなぁ」

シンジ 「そっ、そう? よかっ・・・んぐっ!」

402: 連投スマソ 2007/10/05(金) 16:11:11 ID:???
私が口を付けたスプーンに半分残っているポテトをそのままシンジの口に捻じ込む
ちょっと照れた様子の可愛いシンジ。ホラッ、手ェ止まってるわよ

シンジ 「んぐっ、もぐもぐ・・・」

みるみる赤みを帯びるシンジの頬

私 「あらぁ、どーしたのかしらシンジ君?」

右手をシンジの左肩に置き、左手の人差し指でシンジの頬をツンツンと軽くつつく

シンジ 「アッ、アスカぁ・・・火を使ってるんだから危ないよぉ・・・」

私 「ウフフフッ・・・まぁ、冗談はさておき、あんた器用なんだから、惣菜屋さんなんかやっても
いいんじゃない?バリエーションも豊富だし主婦層にウケるわよ、きっと」

シンジ 「えっ? 僕が・・・惣菜屋・・・」

なにやら思案げなシンジ

403: 連投スマソ 2007/10/05(金) 16:12:11 ID:???
シンジ 「うん、いいかもね。僕が調理して、アスカがパッケージに詰めて売り子をやる、なんてさ。
      アスカだったら男のお客さんいっぱい来るだろうね・・・あっ!・・・」

私 「えっ?え・・・!」

途端に発火する二人。二人で惣菜屋さん・・・二人っきりで惣菜屋さん・・・いつも二人で惣菜屋さん・・・

・・・グルグルグルグル・・・
『あそこの惣菜屋、大人気ね』『奥さんは気立てが良くて美人だし、旦那さんは働き者でカッコいいって
評判よ』『元は世界を守っていたロボットのパイロットさんなんですってね』『今度は私たち主婦の生活を
守ってくれてるのね』なぁ~んちって・・・ムッフフフフッ・・・
それも悪くないわけじゃないかもしれないわけじゃないと思わなくもないわけじゃないような気も・・・
・・・グルグルグルグル・・・


ミサト 「おっはぁ~っ、ぅん?くんくん・・・ちょっとシンちゃん!何か焦げてるわよ!?アスカも
     ぼぉーっとしてないで換気扇換気扇!」



・・・その日の厚焼き玉子は、諸事情により片面がちょっと焦げたました・・・



それは、シンジと私の、頬の色
ちょっとほろ苦かった。でも、忘れられない味

416: 連投スマソ 2007/10/08(月) 20:43:35 ID:???
~いつもの放課後~

私 「シンジィ~っ、帰りゲーセン寄ってこ!」

シンジ 「え?いいけど・・・アスカから誘ってくるのって、珍しいね」

私 「まぁたまにはね」

シンジ 「じゃ、トウジやケンスケ達も・・・」

私 「却下よっ却下!あんた、このあたしがサシで誘ってんのに余計なお荷物増やすんじゃないわよ!」

シンジ 「そーゆーとこは相変わらずだよね・・・別にいいと思うんだけど・・・」

私 「あんっ!何か言ったかしら?」

シンジ 「いいえーっ、今日も相変わらず元気で綺麗だなぁ~っと」

私 「ったりまえの事言われても嬉しくないわよっ!そんな事よりさっさと支度するっ!」

シンジ 「そーゆーとこも相変わらずだよね・・・まんざらでもないくせにさ・・・」

-・-・-・-・-・ 一方、廊下では ・-・-・-・-・-

トウジ 「・・・あすこには、ワシらの入り込む余地はもう残っとらんようやなぁ・・・」

ケンスケ 「(トウジだって委員長がいるくせに・・・俺の春はいずこへ・・・)・・・帰ろう・・・」

417: 連投スマソ 2007/10/08(月) 20:44:41 ID:???
~商店街の一角にあるゲーセンに到着~

暫くはシンジに付き合って一緒に格ゲーやらレースゲームに興じる。ん~~~っ、なーんか当初の目論見
とは違うのよねぇ・・・筐体が個別に割り振られてるからシンジの顔もよく見えないし・・・

ふと、全く意識してなかった入口のクレーンゲームに目が留まる

私 「ねぇシンジ、私、クレーンゲームの景品、欲しいなぁ~っ」

なんとなく、言ってみた。別に欲しい物があるわけじゃない。けど、だけど・・・

シンジ 「うんっ!よぉーしっ、まっかせといて!」

俄然張り切り出すシンジ。やんちゃな、男の子の顔。そう、この顔が見たかった

お金を投じてクレーンを操作するシンジ。縦の操作が終了したら素早く側面に回ってクレーンの落下予想位置
をあれこれ考えているシンジ。腕組みして顎に指を当て真剣な表情。たかがゲーム、だけどこんな顔をする
シンジ。とっても可愛いわぁ・・・はぁ~~~っ

シンジ 「うーんしょ、えいっ! あーららららっ・・・アームが触れたんだけどなぁ・・・」

私 「あー・・・残念だったわねー・・・」

418: 連投スマソ 2007/10/08(月) 20:46:23 ID:???
シンジ 「でもいい位置になったよ、きっと大丈夫、イケルッ!アスカ見ててっ!絶対取るからねっ!」

私 「うん・・・見てるわ・・・すっと・・・」

景品の事なんぞそっちのけでシンジの観察に没頭する私

シンジ 「うーむむむ・・・まいったぁ!ちょっと行き過ぎちゃったよ、ははは・・・」

私 「いいのよ・・ドンマイドンマイ・・・私がついてるから大丈夫・・・」

さりげない私の一言に気を良くしたのか、照れ笑いして頭をポリポリ。うん、カワイイカワイイ
腰に手を当ててため息一つ。ぷーっ、と頬を膨らませ気合を入れてる。ホント、見てて飽きないわねぇ

シンジ 「とほほ・・・んもーなんだよぉ・・・まさかあの位置でタグが引っ掛かるなんで、誰が予想
できたでしょうか! いいえできません!・・・もう一丁!」

私 「ははは、ふれーふれー、がんばれー」

既に何を取って欲しいのかも忘れたわ。今の私には、目の前のシンジが、私の為にコロッコロと
せわしないシンジが何よりの収穫。景品なんてどーでもいいわよ、この際・・

こんな時間の使い方も、贅沢よねぇ。それに安上がりだし

419: 連投スマソ 2007/10/08(月) 20:47:43 ID:???
~なんだかんだでおよそ30分ぐらい経過~

シンジ 「あーっ!どーしてっ!?どーしてアームが途中で開くのさっ!ちゃんとがっちり掴んだら離しちゃ
      ダメだよー、ねぇ、アスカ!」

私 「そうね・・・ちゃんと掴んで離さないで欲しいわ・・・もし・・・離したりしたら・・・その時は・・・その時は
   ・・・タダじゃおかないわよ・・・分かってる?・・・シン・・・あっ!」

いままで夢見心地だった私。心の声がそのまま再生、とんでもない勘違いの大失言

シンジ 「い・・・いゃだなアスカ。たかがゲームのアームに向かって物騒な・・・でも・・・もう2,000円も
      使っちゃった・・・」

私 「いぇっ!?にっ、にっせんいぇんって、あんた・・・」 

勘違いに勘違いで返してくれた事はいいとしても、もはや失言どころの騒ぎではないわね・・・手を打たねばっ!

シンジ 「こういうのって、取れるまで諦められないよねぇ・・・もうチョット待っててくれる?」

私 「ちょっ!バッ!シッ!あーんたっ!こんなつまんない物に幾ら投資してんのよっ!!!」

しんじ 「えっ!?だってアスカ、景品が欲しいんじゃ・・・」

私 「モノには限度ってものがあるわよっ!ちょっとそこで待ってなさいっ!」

420: 連投スマソ 2007/10/08(月) 20:49:06 ID:???
しまったぁーっ、シンジに見とれて大切な事を忘れてたわ・・・こういう時のシンジってえらく意地っ張りなのよ。
しかも私の為、ときたら見境なくなるのもしょうがないか(ムフッ)・・・いやいやいや、それじゃ済まないわっ!
私だけいい思いをして、シンジに2,000円も使わせたとあっちゃぁ、寝つきが悪くなるってモンよっ!

素早く"か弱い乙女モード"にクラスチェンジし、店の奥にあるカウンターに接近、雑誌を読んでる店員さんに
照準を絞ると、とびっきりの営業スマイルフィールドを展開

私 「あのぉ~っ、す・み・ま・せぇ~ん、入口のクレーンゲームでぇ~っ、2,000円も使って一つも取れないん
   ですよぉ~っ、それでぇ~っ、なんとかなりませんか~っ?おねが~いしまぁ~すぅ~」

うげろぉ~っ、気持ちわるぅ~っ!キャラ拒絶でシンクロ率最悪ぅ・・・まぁ、これもシンジの為、我慢我慢

店員 「えっ・・・しょ、少々お待ちくださいっ!」

私の顔をみるなり素早く行動を起こす店員さんを尻目に、しょげているシンジに歩み寄り、肩を軽く叩く

私 「あんたはよくやったわ。あとは私にま・っ・か・せ・な・さ~いっ!」 

そそくさと鍵の束を持って店員さんが現れる。アクリルパネルを開けて中の景品をいくつか取ってくれている

結局店員さんは、景品のパターン違いを全種類一つずつ取ってくれた。その上、店の奥に戻り手提げ袋まで用意
してくれた。挙句の果てにお絞りとジュースまで・・・ ここまでされると何らかの下心を感じずにはいられない
大サービスっぷり。なんか、素直に喜べないわねぇ・・・

421: 連投スマソ 2007/10/08(月) 20:50:20 ID:???
シンジ 「すごいねぇ!こんなに色々してくれるなんて!きっと、アスカが可愛かったからだと思うよ。それでさ、
     また来てもらいたいって、そう思ってるんじゃないかなぁ」

どーしてそーもこっ恥ずかしい事を平然と言ってのけるかね・・・まぁ、あんたがそう思ってるならそれでいいわ

私 「とっ・・・とーぜんよっ・・・ちょっとは私の事、見直したかしら?」

シンジ 「見直した見直した!だけどさ・・・こんなに多く貰っちゃって、どーしようか・・・」

私 「あら、それなら明日ヒカリや鈴原達にあげればいいんじゃない?」

シンジ 「あっそうか、そーだね。家に帰ったらペンペンやミサトさんにもあげようよ」

私 「いいわよ、あんたの好きにしなさい。あんたが2千円も使わなかったら、こんなに戦利品もなかったろうし。
   それじゃ、いつものソフトクリーム買って帰りましょ。今日は私が奢るわ!」

シンジ 「わぁーっ、ありがとう、アスカ!」



いつもの放課後。こんな日が、ずっと続きますように・・・ 贅沢は言わないけど、贅沢なお願いかしらね

436: 連投スマソ 2007/10/09(火) 20:28:50 ID:???
~朝の風景・お出掛け前の~


私 「おっ待・た・せぇ~っ、さっ、学校行きましょ!」

いつもの朝。変わり映えしない、けど、変わって欲しくない朝

私 「シンジィ~? あら?シンジ・・・ どこに行ったのよぉ~?」

いつもなら玄関先で待っててくれるシンジの姿が見えない。靴があるという事はまだ室内にいるようね。
急いでダイニングに戻ると、洗面所脇でうずくまっているシンジ発見

私 「こんなところであ~にやってんのよっ・・・ちょ、あんた、大丈夫!?」

ゆっくりと顔を上げるシンジ。苦悶の表情

シンジ 「こ・・・小指・・・ぶつけた・・・」

普段滅多に見せない痛がりように内心ビビる私

私 「だっ、大丈夫なの!? ちょっと見せてみなさいよ!」

ミサトはもう出かけちゃってるし、大事になったら私が何とかしないといけないわね・・・
素早く両手の小指をチェックする。診た所別段外傷にはなっていないようね

437: 連投スマソ 2007/10/09(火) 20:29:51 ID:???
なにげに両手を握り合っている事に気付く二人。どちらともなく照れくさくなって手を離す・・・勿体無い!

私 「べっ、べべっ、別になんともなってなさそーだけど・・・」

シンジ 「あ・・・足の・・・小指だよ・・・」

私 「足? ハァ? あんた、何年日本人やってんのよ!足の指の場合はね、小指とは言わないのよ」

シンジ 「と・・・とにかく・・・痛いんだけど・・・」

私 「足の指はね、手の指と違って、外反母趾の『趾』って表すのよ」

シンジ 「・・・あのぉ・・・」

私 「それでね、足の小指の事は第5趾って呼ぶのよ」

シンジ 「もしもぉ~し・・・」

私 「因みにね、親指に相当するのが第1趾、人差し指が・・・ 医学的には拇趾以外はね・・・」

シンジ 「アスカさぁ~ん・・・」

私 「ハッ!・・・ゴホンッ!まっ、まぁともかく、痛い方の靴下を脱いで小指を見せてみなさいよ」

シンジ 「・・・自分だって・・小指って言ってらぁ・・・」

私 「わっ、私はハーフだからセーフなのよ!」

438: 連投スマソ 2007/10/09(火) 20:31:25 ID:???
シンジ 「マイルール炸裂中・・・」

私 「あらぁ、減らず口を利く余裕はあるようね?」

シンジ 「というか・・・もう痛みが引いちゃったよ・・・」

私 「その程度で痛みが引くようなら、大した事ない、という事ね」

シンジ 「アスカの大した事ない話のお陰だね、ありがとう、ヘヘッ」

私 「・・・・・・あんた・・・もう一度、痛い思いしてみたいのかしら?」

シンジ 「あっ!もうこんな時間だよっ!急ごうアスカ、遅れちゃうよっ!」

すたこら走り出すシンジ。なによ、元気じゃない・・・良かった

私 「あーっ、コラッ、待ちなさ~い!」

シンジ 「待ってたら遅刻だよっ、ホラッ!」

私 「あーん、こーゆー時のあんたは素早いわねぇ・・・」

差し伸べられたシンジの手。しっかり繋いで、離さない
気のせいかしら、段々と、頼もしく感じる、シンジの手


ううん・・きっと、頼もしくなってきる・・・シンジ・・・

444: 連投スマソ 2007/10/11(木) 13:29:48 ID:???
席替えで念願だったシンジと隣の席になった

途端にどういう訳か教科書を忘れるようになったシンジ

私 「しょうがないわねぇ、ったく・・・」

シンジ 「ありがとう、アスカ・・・」

一応小言を言いながら机をくっつけて教科書を見せてあげる


肩が触れ合うほどに近く。でも、不自然じゃない
小さな教科書を、シンジと私で片方ずつ持つ。私がページをめくり、
シンジがめくられたページを収める


こんなに時間が短く感じられた授業って、初めて


シンジ・・・分かってんだから。几帳面なあんたがこんなつまらない忘れ物なんてしないって事
でも、そんな事、絶対言わないし、言う必要もない


でもねぇシンジ、あんまり頻繁に忘れたフリ、しないでよね

・・・授業に、集中・・・できないから、さ・・・

448: 連投スマソ 2007/10/11(木) 22:19:12 ID:???
今日も机をくっつけ授業を受ける私達

今まで黙認されていたのに、何故か今日は先生に見咎められた。"虫の居所が悪い"ってやつかしらね

怒鳴られるシンジ。廊下に立てと叱責されるシンジ。黙って項垂れ立ち上がろうとするシンジ・・・

私 「(ぶちっ!)ちょっと待ってください!私が見せてもらってるんですっ!私が廊下に立ちますっ!」

机を両手で叩きイスが後ろにひっくり返るほどの勢いで立ち上がり猛然と食って掛る。何時にも増して激しい
剣幕の私に面食らう一同。静まり返る教室。私が教科書を忘れて見せて貰っている事自体が大層珍しいようだ

想定外な私の行動に驚き、立ち上がって庇おううとするシンジを片手で制し、イスに押し戻す

シンジ 「だけどアスカ・・・悪いのは・・・」

私 「黙って!あんたは何も悪くない!悪いのは私!だから廊下にでも何処でも喜んで立つわよっ!
   ・・・それよりも先ず、先生にはシンジに謝って貰いたいわね!それが筋ってもんでしょ!違うっ!?」

口をパクパクさせている先生。学業優秀にしてエヴァのパイロットでもある私から猛反発を喰らうとは予測
できなかったみたいね。結局、今後は気をつけるように、とだけ言われ、廊下に立たされもせず事無きを得た

449: 連投スマソ 2007/10/11(木) 22:20:17 ID:???
コイツ、ケツの穴が小さいわね。高々教科書ぐらいでバッカじゃないの!? 確かめもせずにいきなりシンジ
を頭ごなしに叱る僻み根性が気に食わないわね。まぁ大方、私とシンジが仲良くしてんのが気に入らないんで
しょうけど、みっともないわよねぇ。 言っときますけど、気弱そうに見えてもシンジは世界のエースなのよ!
感謝されて当然の存在なのよ!何度も何度も、助けてくれた・・・命を懸けて、私を守ってくれた・・・
シンジが居なかったら、アンタなんか・・・そうよ、シンジを辱める輩は誰だろうが私が絶対に許さないわ!

・・・等と考えていた事が顔に出ていたようで、隣を見ると心配そうにシンジがこちらを見つめている。途端に
表情が崩れて笑顔で呼応する。安心したのかとびっきりの笑顔を返してくるシンジ。

余計な心配させたわね。でも大丈夫、エヴァに乗っていない間だけでも、その笑顔は私が守るわ

-・-・-・-・- 授業が終わって -・-・-・-・-

シンジ 「アスカ、ごめんね・・・僕がいけないのに、怒られちゃって・・・」

申し訳なさそうな顔。前はよくこんな顔させて喜んでたな、私。 思い返すと酷く心が痛むわね・・・

私 「謝らなくてもいいわよ、あんたは何一つ、全っ然悪くないわ。それより、提案なんだけど・・・」

シンジ 「?」

450: 連投スマソ 2007/10/11(木) 22:21:21 ID:???
私 「これからは・・・順番に・・・教科書、忘れましょ。あんたが忘れたら次は私」

シンジ 「そんな・・・アスカに悪いよ・・・」

私 「あんた・・・前に私が遅刻した時に、一緒に遅刻して、私に言ったわよね?」

シンジ 「???」

私 「忘れたの?"二人なら、半分こ"って言ってくれたじゃない」(※>>363参照)

シンジ 「あっ!」

私 「だから・・・ね。そうしましょ。そうして・・・欲しいのよ」

シンジ 「うん・・・アスカ・・・・ありがとう」

私 「お礼を言うのは私の方よ。そして・・・今までごめんなさい。せめて、こうしている間は無理
しなくていいから、ね?」

嬉しそうにはにかむシンジ。その顔を見て、今まで知らぬフリを続け、結果としてシンジに嫌な思いを
させてしまった事を心から詫びる私。 "二人なら、半分こ"これから、たっくさん実践していくわよ

460: 連投スマソ 2007/10/14(日) 08:06:58 ID:???
待ちに待った縁日。日本のこういったイベントには馴染みがないので楽しみだわぁ。何よりシンジと一緒だし、
ネルフから支給される給金で懐は潤沢の私たち、今日は遊び倒すぞぉーっ!おーっ!

境内には道を両脇から挟み込む体裁で趣向を凝らした様々な屋台がびっしりと並んでいる。まずは腹ごしらえ。
ヤキソバやらイカ焼き、焼きトウモロコシ、日本の由緒正しきジャンクフードに舌鼓。けれど、どれも味が
イマイチよねぇ。シンジの料理で舌が肥えたツケをこういった場所で払わされてるわね・・・


腹が程よく膨れた所で様々な屋台ゲームに目が移る私たち。商店街のゲーセンと違って、レトロでアナログ
なところが味があるわね


私 「ねぇねぇ、あれは何を射ってんの?」

シンジ 「ああ、あれは射的って言って、空気銃を使ってコルクの玉を景品に当てて落っことすゲームだよ。
     落ちた景品は貰えるんだ」

私 「へぇーっ、面白そうじゃないっ!私アレやりたいなぁーっ!」

シンジ 「じゃ、二人でやろう!」

射的コーナーの前に立つ。ずらっと並ぶ獲物達。早まる鼓動。研ぎ澄まされたスナイパーの血が滾る

461: 連投スマソ 2007/10/14(日) 08:08:39 ID:???
勝手が分からないので、最初はトレイに出されたコルクをシンジが銃に込めてくれる。こういった動作一つに
しても"男の子"を感じるわ

シンジ 「それじゃあ、自分が欲しいと思う景品を撃ってみて」

言われるまでもない。手のひらサイズのクマのぬいぐるみに照準を絞る。周囲の喧騒も今の私には届かない。
空気が、一瞬、止んだ。 既に、ターゲットは沈黙してる。そのイメージを脳内で展開させながら、呼吸を
殺し引き金に指を掛ける

パンッ

乾いた銃声。予測通りの弾道を描きコルクがターゲットに吸い寄せられる。ヒット! フッ、殺ったわ・・・
スナイピング後は、失せた高揚感で気だるさが襲ってくるわね・・・シンジ、私の後ろに立つんじゃないわよ

シンジ 「あー残念! アスカ、ああいった大きな景品の場合、中心を狙うより落ちやすい上部の端っこを
     狙うんだよ・・・」

私 「黙んなさいっ!そんな事で使徒を倒せると思ってんの!?常にターゲットのコアを狙撃しなければ
   敵は倒せないわ!」

シンジ 「し・・・使徒って・・・ハァ・・・やれやれ・・・」


・・・結局、景品はシンジが全て取ってくれたわ。癪だけど、ありがとうね・・・

462: 連投スマソ 2007/10/14(日) 08:10:07 ID:???
私 「ねぇねぇ、あれは何?」

シンジ 「えっ?あー、あれは"金魚掬い"って言うんだ。日本の屋台の定番だね」

私 「金魚を・・・救うの・・・? あのケイジから・・・あの狭いケイジに閉じ込められた彼女達を・・・
自由な世界に・・・私の・・・手で・・・」

シンジ 「ア・・・アスカ・・・?」

私 「やるわっ、シンジ! 私のプライドに賭けて彼女達を救い出してみせるわっ!」

シンジの制止を振り切り金魚掬いコーナーの前に腕組みして仁王立ちの私、その只ならぬ殺気を察して周囲から
人の気配が徐々に消えていく。店番の気のいいオッチャンを睨み付け

私 「そこの極悪人っ!このアタシが金魚を全て救い出してやるわっ!覚悟しときなさいっ!」

シンジ 「アスカッ!違うんだ!そうじゃないんだよっ!」

私 「何が違うっていうのよっ!あんたは黙ってなさい!それとも、あんたもこの悪党の片棒を担ごうっての!?」

おっちゃん 「まぁまぁ、お嬢ちゃんたち・・・おっちゃん、頭ァ悪くて事情はよく飲み込めないんだけども、
       遊んでいくって言うなら大歓迎だよ」

シンジ 「そ・・・それじゃ、、2人分でお願いします・・・トホホ」


・・・金魚を救うには、あの破け易い丸い膜だけでは無理だわ。でも、シンジが10匹、救ってくれた。感謝するわ

463: 連投スマソ 2007/10/14(日) 08:11:22 ID:???
遊び尽くしてちょっと小腹が減った私


私 「ねぇねぇ、あの棒に付いた雲みたいなふわふわしたヤツって何?」

シンジ 「ああ、あれは"綿菓子"って言うんだよ。甘くて美味しいんだ」

私 「へぇーっ、ねーねーシンジィ、私にもアレ買ってよ!」

シンジ 「いいよ。ちょっと待ってて」

私 「ウキウキワクワクドキドキ・・・」

綿菓子を二つ買うシンジ。大きい方を私にくれた。こういう些細な事も、シンジらしいのよねぇ

シンジ 「ハイッ!これはね・・・こうやって手で千切って食べるんだよ・・・って、アスカ?」

後ろを向いておめかし中・・・

私 「じゃーん!サンタクロースだぞー!えっへへへっ・・・悪い子はいねぇがぁーーっ!」

眉毛と鼻と顎下に千切った綿菓子をくっ付けておどけてみせる私。予想外に喜んでくれるシンジ

シンジ 「ハハハッ・・・おいおい、東北のサンタかよ! って、後で大変だよ、それ・・・」


464: 連投スマソ 2007/10/14(日) 08:13:43 ID:???
5分後・・・

私 「あーん、ベタベタして気・持・ち・悪・いーっ!シンジー、なんとかしてよぅ・・・」

シンジ 「ほら言わんこっちゃない・・・ウェットティッシュでもあればいいんだけど・・・生憎
     普通のティッシュしかないんだよね・・・これで拭くと一層サンタ化しそうだし・・・」

私 「ねぇ・・・シンジィ・・・」

シンジ 「? 何?」

顔を上げて目を閉じ、シンジに近づく私

私 「舐めてー」

シンジ 「ええっ!?なっ、何を言い出すのさっ!」

私 「舐めてよぅー このままじゃ虫が寄ってきちゃうーっ、眉毛もカピカピになっちゃうーっ!」

シンジの喉が『ゴクリ』と鳴った

シンジ 「あっ、まぁ・・・怪我してると思えば・・・この際仕方ないか・・・し・・・じゃあ・・・」

シンジの顔が近づいてくる。シンジの両手が私の肩に触れる・・・シンジの匂いが鼻腔をくすぐる・・・


465: 連投スマソ 2007/10/14(日) 08:15:24 ID:???
私 「ハイッ!そこまでよっ!」

スッとシンジの手を掻い潜り、巾着袋の中のウェットティッシュを取り出して顔を拭く

シンジ 「・・・って、あっ! アスカ、ちゃんとウェットティッシュ持ってるじゃないかっ!ひどいよ
     もう・・・」

ぶんむくれのシンジ。それって、まんざらではなかった、という事よね・・・照れ隠しに舌をペロッと出し
シンジに謝る私

私 「機嫌直してよシンジィー、やっぱりこういう反則技よりも、ちゃんとしたシチュエーションでした
   方がいいわよね・・・あっ・・・」

またしても後半部の心の声が口から漏れる私、だけど肝心のシンジはぷりぷり顔でそっぽを向いてて聞いて
なかったみたいね。ホッとする反面、何だか残念・・・

私 「ごめーん、これで許してよぉー」

シンジの腕に絡み付いて甘える私。ふくれっ面に赤みが差してくるシンジ

シンジ 「もう・・・アスカにはかなわないや・・・」


違うわよシンジ・・・私があんたにかなわないのよ・・・ でも、この台詞だけは喉元で収めとかないとね


来年もまた、一緒に来ようね

476: 連投スマソ 2007/10/17(水) 08:06:39 ID:???
学校の家庭科で調理実習だったのよ。私の出来栄えが良くてみんなから褒められちゃった。
こういった事は忘れないうちに反復しとかないとモノにならない、というからねぇ。
早速、今日の夕食の献立に入れましょ

~ 放課後 ~

私 「シンジィ~、今日は私が夕飯作るからさ、帰り商店街寄ってこ!」

シンジ 「へぇ~っ、アスカが料理なんて、明日は傘が必要かな?」

私 「あんた・・・今朝ぶつけた足の趾はもう痛くないのかしら・・・?」

シンジ 「・・・あーっ!楽しみだなぁ!アスカどんな料理作ってくれるのかなぁ!」

私 「腑に落ちないわね全く・・・さっさと支度するっ!」

-・-・-・-・-・- ところ変わって商店街 アーケード前 -・-・-・-・-・-

私 「とりあえず、最初に魚屋さんに行って、次に八百屋さん、それとお肉屋さんも」

シンジ 「ちょうど順に並んでるね。お店の人とは仲良しだから、上手な買い方を伝授するよ」

私 「上手な買い方?そんなものが存在するのね・・・そういえば、あんたに聞きたい事があったのよ」

シンジ 「ん?なぁに?」

477: 連投スマソ 2007/10/17(水) 08:07:46 ID:???
私 「あんたってさ、夕食の献立とかいつもどーしてんの?」

シンジ 「結構行き当たりばったりのことが多いんだ、ヘヘッ」

私 「はぁ?」

シンジ 「アスカやミサトさんが事前にリクエストしてくれる時は優先するけど、それ以外の時は、その日に
     お店屋さんに並んでる食材を検討して決める事が多いんだよ。魚屋さんやお肉屋さんで、おかずの
材料に鮮度が良くてお買い得な○○が手に入るなら、付け合せはどうしよう、とか、旬の野菜や
果物はこれにしよう、とか、味噌汁も、野菜類や魚介類など、大まかに分けておいて、どちらかで
より良い状態の安いものが調達できるなら『今日は○○のお味噌汁にしよう』とかね」

物凄くいきいきと話してくれるシンジ。これなら、将来的に私がキャリアウーマンになっても、家庭の事は任せて
おけそうよね・・・って、何考えてんのよ私ってば!

私 「あんた・・・頼もしいわね・・・女の私としては結構複雑だけど・・・」

シンジ 「何言ってんのさアスカ・・・まぁ、こんな事位しか役に立てないけど、分からない事があったら何でも
聞いてよ」

私 「助かるわ。出来れば今後も料理をするクセを付けたいからさ、是非ご教授願いましょうかね」

シンジ 「お安い御用、まっかせてよっ!」

頼りにしてるわよ。これから先も、色々ね・・・

478: 連投スマソ 2007/10/17(水) 08:08:59 ID:???
一件目:魚屋さん

お店のお兄ちゃん 「おっ、シンジ君らっしゃいっ! 今日はイキのいいのが上がってるよっ!」

シンジ 「あ、いえ、今日は僕じゃないんですよ」

お兄ちゃん 「うん?はっはぁ、なぁ~るほど、それじゃ、お隣のカワイイ女の子がアスカちゃんだね!いつも
        シンジ君が話してくれてるから一目で分かったよ! 今日はカノジョの手料理かいっ、ハハハ
        ・・・って、どこ行くのさシンジくーん!・・・」

顔が茹蛸状態のシンジに手を引かれていきなり店を飛び出す。何故か私も走らされる始末。こういう時のシンジは素早い

シンジ 「・・・と・・・とりあえず次の八百屋さんに行こうか・・・」

私 「・・・そ・・・そうね・・・(なんで私まで・・・後でたっぷり説明してもらうわよっ!)」


二件目:八百屋さん

お店のおばちゃん 「あーらシンちゃんいらっしゃいっ!今日はいい青物が入ったから、御浸しにしても炒めても・・・」

シンジ 「いえ・・・今日は僕じゃないんです・・・」

おばちゃん 「あら?ひょっとして、お隣のお人形さんみたいなカワイ子ちゃんが、いつも言ってるアスカちゃん?まさか
         こぉーんな美人さんなんて、おばちゃん妬けちゃうわ・・・って、シンちゃーん、何処行くのー?」

またも顔がトマト色したシンジに手を引かれて走り出す。それも全力疾走

479: 連投スマソ 2007/10/17(水) 08:10:06 ID:???
シンジ 「ハァッ、ハァツ・・・気・・・気を取り直してお肉屋さんを・・・」

私 「ハァッ、ハァっ・・・そうね・・・(帰ったら釈明させる前にS・T・Fを掛けてやるんだからっ!)」


三件目:お肉屋さん

お店のおじさん 「おっ、毎度っシンジ君!今日は豚バラがオススメだよっ!」

シンジ 「ええと・・・」

おじさん 「うーん?おっ!さては隣の別嬪さんがいつも話してくれるアスカちゃんだね?髪と目の綺麗さで一目瞭然だねぇ、
       いやぁ~っ、羨ましいねっ、色男っ! アスカちゃん、シンジ君から色々聞いてるよ・・・って、シンジ君!?」

私 「そっ・・・くぉらっ!シンジっ!待ちなさ~~~いっ!」

走り出そうとするシンジの腕をガッチリ握ろうとするも、寸でのところで逃げられる。まぁ、後でゆっくり締め上げれば
いいとして、とりあえず"キョトン"としてるおじさんにちょっと質問してみようかしらね

私 「あのー・・・おじさん、ちょっと聞きたい事があるんですけど・・・」

おじさん 「え・・・ん?なんだいアスカちゃん!おっちゃんで良ければ何でも聞いてちょうだいな!」

私 「・・・あのぉ・・・シンジ・・・私の事・・・いつも何て言ってるんですか?」

おじさん 「ん?気になるかい? シンジ君はね・・・ゴニョゴニョ・・・それでね・・・ゴニョゴニョ・・・だから・・・」

480: 連投スマソ 2007/10/17(水) 08:11:36 ID:???
おじさんと話し終えて店の外、しょぼくれてるシンジ発見。悪い事やって叱られてる子供のようだわね。今度は私の顔が
火照ってる・・・見られないようにしなきゃ

私 「ほ、ほーら、なぁーにしょぼい顔してんのさ!さっさと行くわよっ!」

シンジ 「えっ?行くって・・・何処へ・・・?」

私 「一件目の魚屋さんからよっ!」

シンジ 「ええっ・・・行くの・・・?」

私 「当たり前でしょっ!あのまま逃げっぱじゃ私達の印象が悪くなるじゃないのよっ!それよりも・・・」

シンジ 「それよりも・・・?」

私 「その・・・ちゃんと・・・みんなに・・・私の事・・・紹介しなさいよ・・・ね」

シンジ 「うん・・・ごめんね、アスカ・・・」

私 「まっ、まぁ、いいわよ・・・って、別に許したわけじゃないわよっ!少なくても、お肉屋さんでとびっきり恥ずかしい
   思いしたんだからねっ!このぉ・・・ウフフッ!」

シンジ 「???」

終始シンジに背を向けたままの私。ったくっ!恥ずかしいったらないわよっ!そりゃ、嬉しいけどさ、とってもね・・・
えっ?シンジが何て言ってたかって? 秘密よヒ・ミ・ツッ! ウフフッ・・・

481: 連投スマソ 2007/10/17(水) 08:13:34 ID:???
次の日、お肉屋さんにて・・・

シンジ 「あの・・・昨日はどうも・・・」

おじさん 「よっ!シンジ君、今日は一人かい?・・・って、どーしたの、その大きな絆創膏はっ!?」

シンジ 「おじさん・・・昨日の・・・アスカの件ですが・・・」

おじさん 「ん?昨日のアスカちゃんが、どうかしたのかい?」

シンジ 「"思い遣りがあって、とっても優しい"って、僕が言ったあれ・・・若干修正させてください・・・」

おじさん 「・・・うんうん!わかるよその気持ち・・・だがなぁシンジ君、尻に敷かれるってのも、悪い事
      ばかりじゃないさ・・・イテテッ!」

おじさんの奥さん 「あんたっ!下らない事言ってないで仕事しなっ! あらぁシンジ君いらっしゃいっ!」

おじさん 「イッ!まっ、まぁそーゆー事だからシンジ君、身体だけは鍛えといた方が・・・イタタッ! ったく、
       黙ってりゃ綺麗なんだがねぇ、うちのヤツも。アスカちゃんにはかなわないけど、ね・・・グハッ!」

頭をはたかれ耳をつままれ、やられ放題で苦笑いのおじさんに同情の念を隠せないシンジ君
そんなお肉屋さん夫婦のやりとりに、ちょっとだけ未来の自分を重ねるシンジ君


シンジ 「身体、鍛えとこっかなぁ・・・トホホ」

491: 連投スマソ 2007/10/20(土) 12:45:08 ID:???
いつもシンジと一緒にいる事もあって、下駄箱へのラブレター投函もめっきり数が
減っちゃった。それはそれで寂しいものがあるのよねぇ・・・ そりゃさ、シンジが
いりゃぁ別にいいんだけどさ、なんていうか・・・人気のバロメーター?みたいな?

でも、たまーに入ってるのよね。以前は鬱陶しいだけだったけど、なんだかファンレター
みたいでこれはこれで嬉しいわね。そう、アイドルって、こんな感じなんだろうなぁ。
差出人はどーでも良くて、手紙が来た、という事実が重要、なんてね・・・


私 「シンジィー、入るわよぉーっ」

シンジ 「どーぞー」

一般的には"納戸"と呼ばれるシンジの部屋。ベッドに寝そべって漫画を読んでいる
ふんっ!そーやってのーんびーりーしてられるのも今のうちだぜよ!(何者?)

私 「ちょっとそこに座んなさいよっ!」

シンジ 「どうしたのさ急に・・・その片手に持ってる手紙って・・・何?」

私 「ヘヘーン!久しぶりに来ちゃったわよ、ラ・ブ・レ・タ・-!」

シンジ 「!!!!!・・・」

492: 連投スマソ 2007/10/20(土) 12:47:21 ID:???
とても寂しそうな顔、うつむくシンジ。ったく、なんだってこーゆー時だけ早合点するかね!

私 「そんな顔しないの!こんな物にまるっきし興味ないし、くれた相手はシカトンケイルよ!
・・・それよりさ、ここに書いてある内容、あんたに読んで欲しいのよ」

シンジ 「えーっ?何でまた他人の書いたラブレターを、僕が読まなくちゃなんないのさ!」

あんたの不満は尤もだわ。だけどね、私の予想ではこのプロジェクトで十分採算が合うのよね。
ちょっとご機嫌ナナメなシンジの顔の前に取り出した手紙をちらつかせる

私 「説明している暇はないの。い・い・か・ら・よ・み・な・さ・い・!業務命令よっ!」

渋々手紙を受け取り文面に目を通すシンジ。"やれやれ"という表情

シンジ 「業務って何さ・・・それで・・・どうしても、読まなくちゃ、ダメ・・・?」

私 「ダァーメッ! あんたに選択の余地はないのよ。もし読まないとっ、あんたが大切にしてる
恥ずかしい本の隠し場所と雑誌のタイトル、みんなにバラすわよっ(含ネルフスタッフ)!」

途端に姿勢が良くなるシンジ。一頻り頭をボリボリかきながら、意を決して大きく一つ咳払い

シンジ 「えー・・・ゴホンッ! それじゃ読むよ・・・『そっ、惣流・アスカ・ラングレー様』」

私 「差出人の名前や日付は要らないわ!本文に移って頂戴」

493: 連投スマソ 2007/10/20(土) 12:48:46 ID:???
シンジ 「・・・えー、『あなたがはじめてこの学校へ来た時の事、今でも昨日の事のように
     覚えています・・・しなやかで洗練された物腰、知的でクール、上品な横顔、気品に
     満ち溢れた佇まい。どれをとっても完璧で・・・』」

私 「あー、その"こそばゆい"所は省いていいわ。5行目からとっとと読みなさい」

シンジ 「・・・『いつも、私の心は、あなたの事で一杯です。こんな気持ちになったのは、・・・
生まれて・・・初めて・・・です』」

私 「ふんふん・・・」

シンジ 「『もっとあなたに、近づきたい。もっとあなたの事を知りたい。そして・・私の事も、
     知って欲しい』・・・ア・・・アスカ・・・『さん』・・・」

私 「ふんふ・・・えっ!・・・なっ、なぁに・・・」

私の名前の部分だけ、情感の篭った声で呼んできた。余りにも不意に名前を呼ばれてドキッとする。
こんな筈じゃなかったんだけど・・・ 予定では、手紙を読んで照れるシンジをからかってやるつもり
だったのに・・・ いつの間にか、シンジのペースに乗っかろうと昂ぶってる私がいるわね・・・
手紙を読んでいる、という既成事実が、徐々に崩れていく・・・シンジを見ると、直視するのを躊躇う
ほどの澄み切った眼差しで見つめ返してくる。部屋の温度が、確実に上がった

シンジ 「私は、あなたの事・・・事が・・・・すっ・・・好き・・・です・・・(ポッ)
     こっ・・・こ、ここっ・・・心っ・・・か・・・から・・・」

最早手紙を読むという動作すら放棄したシンジ。文面に認められた言葉である事に間違いはないはず、
が、まっすぐにこちらを見つめて放たれた曇りなき台詞に全身を射抜かれる思いがする

494: 連投スマソ 2007/10/20(土) 12:49:57 ID:???
私 「あっ・・・あ・・・・・・(カァ~~~~~ッ)」

シンジ 「あっ・・・あの・・・・・・(ポォ~~~~~ッ)」

『沸騰中』

私 「・・・わ・・・わた・・・わたし・・・(カッカァ~~~~~ッ!)」

シンジ 「・・・ア・・・ア・・・ア・・・アス・・・(ポッポォ~~~~~ッ!)」

やっばーっ!泣きそう、私泣いちゃいそう!シンジはただ手紙を読んでくれてるだけなのにっ!
ああーーーっ、シンジも目元が潤んでるわ・・・ もう、自分の気持ちに逆らえない。
他人のアシストってぇのが多少気に入らないけど、この際そんな事ァどーでもいいわ・・・
このラブレターをくれたどこぞの馬の骨に、感謝感激雨あられ!これからの君に幸多からん事を。
アディオース、アミーゴォッ!!!

バサッ! 徐に手紙を落とすシンジ。もう手紙に頼る必要はない、という意思の表れと見たわ

シンジ 「アッ・・・アスカッ・・・僕・・・僕はっ!・・・」

シンジの顔が近づいてくる。そんな顔、するんだね、シンジ・・・ いいわよ、こちとら万が一に備え
腹ァくくってるわ・・・どんと来いっての・・・でも、その前に、あんたの口からちゃんと・・・
手紙の文章じゃない・・・あんたの心からの・・・アドリブとパンチの利いた・・・

495: 連投スマソ 2007/10/20(土) 12:51:14 ID:???

(クェ~~~ッ、クァッ、クァッ)(あっ、バッ、ペンペン!聞こえちゃうわよっ・・・)

私・シンジ 「!!!!!!!」

馴染みのある囁き声が何処からともなく漏れ聞こえる。途端に血液が内臓に逆流し始め、みるみる
青ざめていく私とシンジ。互いに顔を見合わせて声のした方向へゆっくりと顔を向ける

襖の隙間からこちらを伺う、高い位置と低い位置にある二つの眼。バレたのを悟り襖を開ける覗き魔達

ミサト 「いやぁ~~っ、ペンペンがさぁ、"二人の様子がおかしい"って言うもんだからさぁ・・・」

ペンペン 「クワッ、キュゥ~~~ッ!」

ミサト 「ごぉ~めんごメンゴ、こっちの事は気にしないで、ささっ、どんどん続けて・・・ダメ?」



私・シンジ 「・・・ミサト(さん)~~~っ!!!」



その日、夕食はミサトの奢りで洒落たレストランにてフルコースを頂いたわ・・・
シンジも私も、腹は膨れたけど、腹の虫は治まらなかったわよっ!

これからは、もっと場所を吟味しないといけないわね・・・

507: 連投スマソ 2007/10/24(水) 08:20:27 ID:???
ヒカリとショッピングを楽しんで夕方近くに帰宅すると、リビングでアニメを観てるシンジ発見。
私はアニメなんてこれっぽっちも興味ないんだけど、シンジが興味を持っているのなら、今後の
為にも一応知っておく必要はあるわね・・・ あら、なによ今後って(ポッ)

私 「たっだいまぁ~っ!」

シンジ 「あ、お帰りアスカ。このアニメが終わったら夕食だからね」

私 「あら・・・何観てんの?」

何気にスッと、身体が密着するように隣へ座る。一瞬ピクッとなるシンジ。もう、可愛いんだから

シンジ 「え・・・ええっと・・・内容は『学園ラブコメ』のアニメなんだ・・・これから始まる
     から、一緒に観てみる?」

私 「面白そうじゃない、いいわよ。恋愛ありドタバタありって感じなのかしらね?」

シンジ 「まぁ・・・そんな・・・感じ・・・かな?」

私 「なによ歯切れ悪いわね・・・まぁ観てみようじゃないの」

シンジ 「・・・・・・・・・・(何だか胸騒ぎが・・・)」


・-・-・-・-・-・-・- かれこれ30分が経過 ・-・-・-・-・-・-・-・

508: 連投スマソ 2007/10/24(水) 08:21:45 ID:???
私 「・・・・・・・・・・(イライライラ・・・)」

シンジ 「ア・・・アスカ・・・?」

気に入らないわ。とっても気に入らないわね。たかがアニメとは判っているけど、これはシンジを
問い詰める必要があるわね・・・ ちょっとシンジとの間を空けて、シンジに向き直るように座り
直す。何かを感じたのか、動揺の色を隠せないシンジの目を見つめる

私 「・・・一体全体・・・何なのよこのアニメはっ!」

シンジ 「え・・・?」

私 「ありえないわ!なんであんな軟弱な男子によってたかって女子が思わせぶりなのよ!しかも
   美人教師や従姉弟のお姉さんなんぇのまで出てくるじゃない!」

シンジ 「だっ、だからそういう設定のアニメなんだってば・・・」

私 「シンジ・・・あんたこんなモン観て、ひょっとして自分を主人公に重ねて喜んでんじゃない
   でしょうね!」

シンジ 「そんな・・・事は・・・・」

私 「その見逃せない間は何よっ! ひょっとして、あるのね!・・・許せーーーーーん!!!」

シンジ 「ひっ!」

509: 連投スマソ 2007/10/24(水) 08:22:49 ID:???
シンジを睨み付ける。私だってこんな事ァしたかぁないわよっ!だけど、こう言った事は納得いく
まで話し合うクセを付けとかないと、一緒になったときに困・・・って違―――うっ!

私 「じゃあなに!あの『優等生で寡黙な美少女』ってのは、レイの事なのっ!?」

シンジ 「そんな・・・何も無理やり当て嵌めなくても・・・」

私 「それじゃあ、あの『クラスのまとめ役で明るくまじめな美少女』って・・・ヒカリぃ!?」

シンジ 「・・・(微妙に嵌ってしまってるのが怖い・・・)」

私 「そんでもって、『破天荒で酒豪な姉御肌の美人女教師』って・・・まさかミサト・・・」

シンジ 「(弐号機が・・・暴走してる・・・もう・・・僕では止められない・・・)」

私 「って事は・・・『ショタコン嗜好のボーイッシュな美人従姉弟』って・・・マヤさん!!!」

シンジ 「(ああ・・・誰か僕を助けてよ・・・)」

私 「ん・・・あら?・・・待ってよ?・・・ええと・・・」

シンジ 「え・・・?」

ふとアニメの内容を思い返す。へっぽこ主人公と最も絡みが多かったヒロインがもう一人居たわね・・・

510: 連投スマソ 2007/10/24(水) 08:24:20 ID:???
私 「って事は・・・あの『元は幼馴染で主人公に暴力を振るう勝気でお転婆な帰国子女』って・・・」

シンジ 「うわぁ・・・ついに嵌めちゃった!(恐れていた事が現実に・・・)」

ドッカーーーーーン!!!!!

私 「くぉりゃあっ!シンジぃーーーーっ!」

身体が勝手に動く。シンジの腕を取り足を素早くシンジの首元で四の字にクラッチさせ締め上げる。
スカートが捲れ上がってるけどそんなぁ事どーでもいいわこの際!

私 「あんたっ!私がいっつもあんなに手を上げる暴力女だと思ってんのっ!」

シンジ 「ぐぐ・・・ぎぎ・・・」

私 「こんなにか弱く純真可憐な乙女をなんだと思ってんのよっ!!!」

シンジ 「ぎ、ぎゅうぐんごうぎょぐぐぐっげぐぅ(じ、十分暴力ふるってるぅ)・・・ギヴギヴ・・・」

シンジの手が腿をタップする。はっ!私ったら! またシンジを落としかねないわね。慌てて技を解除する

シンジ 「ぐ~~~っ、ゲホッ、ゴホッ・・・ひ、ひどいやアスカ・・・」

私 「わっ、悪かったわねっ!わざとじゃないのよ、身体が勝手に反応しただけよっ!」

511: 連投スマソ 2007/10/24(水) 08:26:02 ID:???
シンジ 「(そっちの方が余計タチ悪い・・・) もう・・・このアニメは観るの止めるよ・・・」

止める?何を今更言ってんのかしらねこの男は・・・涙目で苦しげなシンジの背中を擦っている手が止まる

私 「ハァ?何言ってんのよあんたっ!」

シンジ 「え・・・?」

確かに設定としては気に入らない要素が過分に含まれている。だけど、そんな事よりもずーっと気になる
事があったのだ。放ったままにはしておけないのよっ!

私 「来週から、きっちり視聴させてもらうわよっ!あんたも一緒に観るのっ!」

シンジ 「どどっ、どーしてさっ!」

私 「だってぇシンジ・・・気になるじゃない・・・」

シンジ 「気になるって・・・何が・・・?」

私 「・・・あの主人公が『最後に誰とくっつくのか』がよっ!!!!!」

シンジ 「あっ・・・」

判ってくれたようねシンジ・・・

512: 連投スマソ 2007/10/24(水) 08:27:10 ID:???
私 「だって・・・イヤよ!・・・優等生や美人教師に奪われるのは・・・いくらアニメでも・・・」

シンジ 「(これはマズイッ! 確かこのアニメの原作漫画ってケンスケが持ってるから、明日にでも
      借りてチェックしないと・・・命が・・・) そ・・・そうかな・・・ハハ・・・」

煮え切らない返事のシンジにちょっと意地悪がしてみたくなった私。演技モード起動。悲しげな顔をしてみる

私 「でも・・・もし・・・あの帰国子女が・・・」

シンジ 「えっ・・・?」

私 「主人公と・・・一緒に・・・なれなかったら・・・」

深刻そうな顔をしているシンジ。そうよ、ちょっとは私の事で困りなさいっ!

シンジ 「・・・なれなかったら・・・?」

私 「私たちも・・・」

目元をちょっと拭う仕草。鼻を啜り上げるマネ、同時に肩を震わせる

シンジ 「そっ・・・そんなっ!アニメと僕たちは関係ないっ! 関係ないよアスカッ!」

強い、強い視線。嬉しいじゃない、その眼が見れたなら満足だわ。それじゃ、モード解除しますかね・・・

513: 連投スマソ 2007/10/24(水) 08:28:23 ID:???
私 「んべぇ~~~~~っ!」

あっかんベーをしておどける。安心したのか急に腰砕けになるシンジ

シンジ 「・・・って、あーーーっ、もう何だよっ!こっちは大真面目だったのに・・・」

いつものぶんむくれモードのシンジ。いいのいいの。私たちにそんな深刻なシチュエーションは似合わない

私 「バカねぇ、この私がアニメの顛末なんかで取り乱す訳ないじゃないのよっ!」

シンジ 「(さっきまで存分に取り乱していたような・・・) まぁ、アスカが良ければ・・・いんんだけどさ」


私 「でもっ!でもねっ、シンジっ!」

シンジ 「?」

私 「やっぱり、他の女とくっついたら・・・シンジ、そん時は分かってんでしょうね!」

ただ事ではない私の表情を読み取って、どうやら観念した様子のシンジ

シンジ 「・・・分かったよ・・・その時は・・・何かプレゼントするよ・・・トホホ・・・」

私 「よ~~~し!それじゃ、もし主人公が、あの帰国子女とくっつかなかったら、あんたが私にプレゼント。
   それで、帰国子女がくっついたら、私があんたに何かプレゼントしようじゃないの!」

514: 連投スマソ 2007/10/24(水) 08:29:27 ID:???
シンジ 「それって・・・確率からすると圧倒的に僕が不利な状況なんですけど・・・」

私 「あらぁ、この期に及んでなんか文句があるのかしらシンジく~ん!?」

シンジ 「いいえぇ、ありまっしぇ~ん!・・・」

私 「さ~てっと、来週から俄然楽しみねっ!何を買ってもらおうかしらぁ、ウフッ! あんたは精々帰国子女
   ちゃんが主人公と結ばれる事を祈るのねっ!」

シンジ (一緒に観ようなんて言うんじゃなかった、あー、悔やまれる・・・)






2ヵ月後、結局、私がシンジに『携帯ゲーム機』をプレゼントする羽目になったわ・・・
痛い出費だったけど、アニメの内容がとっても良かったからチャラね。DVDのBOX買っちゃおうかしら!
ついでに今度、第21話のシチュエーション、試してみようかしらね。レイの協力が必要なのがアレだけど、
まぁ、ヒカリでもいいか・・・ なぁんてねっ!

・・・どんな内容かって? お・し・え・な・い・っ・!

518: 連投スマソ 2007/10/26(金) 16:47:47 ID:???
-・-・-・-・-・-・-・-・ 後日、リビングにて -・-・-・-・-・-・-・-・

ミサト 「ふぅ~っ、書類整理完了っと! ねぇ、シンちゃ~ん!」

シンジ 「はいは~い、何でしょう?」

ミサト 「あのさ~っ、肩凝っちったのよねー、チョッチ揉んでくれないかしらン?」

シンジ 「いいですよ・・・」

モミモミモミモミトントントントン・・・

ミサト 「はぁ~~~っ、きんもっちイイ~~~っ、癒されるわぁ~シンちゃん・・・えいっ!」

シンジ 「ああっ、ちょっとっ、手を握られると揉み辛いですよぉ・・・」

ミサト 「いいじゃない・・・力強い男の手になってきたわねぇ。保護者としては嬉しい限りだわン!」

シンジ 「もう・・・からかわないで下さいよぅ・・・」

ミサト 「チョッチ目を離すと、この年の男の子って、あっという間に成長しちゃうわね。きっとシンちゃん、
     これからどんどん格好良くなっていくのね・・・ うふっ、今のうちにツバ付けちゃおかなぁ!」

シンジ 「何言ってんですか・・・ミサトさんには加持さんが居るじゃないですか、もう・・・」

519: 連投スマソ 2007/10/26(金) 16:48:59 ID:???
傍観モード終了、即座にカット・イーーーン!

私 「くぉらぁ~~~っ!!!そこのエロ教師いっ!シンジに何やっとるかぁ~~~っ!」

髪の毛が逆立つほどの剣幕でミサトに食って掛かる。何の事やら意味不明でキョトンとしているミサト

ミサト 「ええっ!? え、え、エロ教師ィ・・・? ど、どーしたのアスカぁ・・・?」

私 「そのいやらしい手を退けてシンジから離れなさ~~~いっ!」

ミサトの手をむんずと掴んで二人の間に割って入る。シンジを背後に庇い後ずさり

私 「分かってんのよアンタっ! この後『恋の課外授業、二人でたっぷり実践しましょうか、ウフッ』
なぁんてほざいてシンジをたぶらかす気ねっ!そーはさせないわよっ!」

ミサト 「ほへっ?・・・あ・・・あの・・・シンちゃん・・・?」


シンジ 「・・・ええっと・・・多分、この間観たアニメの、恐らくは第15話の影響かと思われます・・・」

ミサト 「??????????」



こんなやりとりも、ずーっと続くといいなぁ・・・

522: 連投スマソ 2007/10/31(水) 17:25:49 ID:???
ここは市内で最大規模のショッピングモール。意気揚々とエントランスに立つ私。ちょっと後ろに、もぞもぞ、
もじもじ・・・ "荷物持ちに無理やり連れて来られた弟"という表現が当てはまる風情のシンジ

私 「あんた・・・もういい加減観念なさい。誰の為にわざわざこんな所まで足を運んだと思ってんのよ」

シンジ 「そうは言うけど・・・やっぱり僕は、今持ってる洋服で十分だと思うんだけどな・・・」

私 「あんたはそれでいいと思ってんでしょうけど、私が良くないのよ!昨日のやり取り、よもや忘れたとは
   言わせないわよっ!」


-・-・-・-・-・-・-・-・ 昨日、夕食後 -・-・-・-・-・-・-・-・


私 「遊園地ぃ~?」

くっだらないバラエティ番組をBGMにソファでファッション雑誌を読んでいた私。おもむろに顔を上げると、
遊園地のチケットを二枚持ってホクホク顔のシンジ

シンジ 「うん。ケンスケがね、お父さんの仕事の関係で貰ったらしいんだけど、行く機会が無いからって
     僕にくれたんだ。今度の日曜なんて、どうかなぁ、って」

はっはぁ~ん、昼休みの屋上でなにやらコソコソしてたのはそういう事だったのね・・・でもねシンジ、
そのチケット、あんたがカメガネ(カメラ+メガネ)に頼み込んで入手しているシーン、ヒカリと二人でしっかり
見ちゃってたのよねぇ~。ヒカリから「碇君、今日の夜にでもアスカを遊園地に誘うつもりよ」なんて言ってたけど、
まさか現実になるとはねぇ

523: 連投スマソ 2007/10/31(水) 17:27:14 ID:???
私 「ふぅ~ん、ねぇねぇん、それってさ、あんたからの正式な"デートのお誘い"と受け取っていいのかしらん?」

シンジ 「えっ、いゃぁ、デートだなんて、そんな・・・」

頭をポリポリかきながら真っ赤になって俯くシンジ。この仕草にあてられてしまうから、ついつい調子に乗っちゃう
のよねぇ・・・

私 「あら、違うの?」

シンジ 「いやっ、違わないっていうか・・・なんていうか・・・その・・・」

私 「なんか煮え切らないわね。別に私はどうでもいいのよ?」

全然よくない

シンジ 「ええっ・・・その・・・それじゃ、チケット無駄になっちゃうし・・・」

私 「それなら、レイと行けばいいんじゃない?最近あの子砕けてきたから、きっとこういったイベント喜ぶわよ?」

完全なる追風モード。私ってば意地悪だな・・・ 無論「レイと行く」なんて言い出した日にゃあ、速攻でチケット
ビリビリに破ってやるんだけどね

シンジ 「そんな・・・僕は・・・アスカと・・・行きたいんだ・・・」

524: 連投スマソ 2007/10/31(水) 17:28:47 ID:???
私と行きたい・・・私と一緒に行きたい・・・私と行く・・・私と・・・一緒に・・・イク・・・ムムッ!

私 「ぐふっ!ばっ!なにあんたはスケベな事考えてんのよっ!」

シンジ 「はへっ?」

困惑気味のシンジ。そりゃそーだわ、どう考えても今のは私の自爆だわね

私 「あっいやっ!何でもないわよっ!何でも・・・(カァ~~~ッ!)」

シンジ 「アスカ・・・顔が真っ赤だよ・・・?」

私 「っさいわねぇ!あんたが遊園地誘ってくれるから嬉しいのよっ!あっ!」

あーーーー、照れ隠しのつもりが更なる照れを呼んでるわ・・・ こういうペースには慣れてないのよね・・・

シンジ 「・・・そっ、それじゃ、一緒に行ってくれるの?」

破顔。嬉しそうなシンジ。あんたの誘いを断るわけないわよ。でも、そんな事言わない

私 「そ・・・そうね、丁度日曜暇だし、行ってあげようじゃないの・・・でも、ちょぉーーーっと気掛かりな
   事があるのよねぇ~、シンジ、ちょっといらっしゃい!」

スタスタとシンジの部屋に直行。無言のまま引き戸を開ける。大抵"やめろよっ"なんていいそうなお年頃だけど、
シンジは私の為すがまま追従する。何も疚しい物が無い証拠、関心関心。相変わらず整頓の行き届いた室内、シンジ
のベッドに腰掛け、本題を切り出す

525: 連投スマソ 2007/10/31(水) 17:30:00 ID:???
私 「シンジ・・・あんた、遊園地、どんな格好で行くつもり?」

シンジ 「えっ?そりゃ、普段の格好だけど・・・」

私 「はぁ~っ、だから、その普段の格好はどんなのって聞いてんのよ・・・いいわ、ちょっと、着て見せなさいよ」

シンジ 「うん・・・あの・・・アスカ・・・」

私 「なによ?」

シンジ 「着るけど・・・その・・・ちょっと・・・後ろ・・・向いててくれる?」

私 「ああっ、わ、わかったわよっ!」

そのままシンジのベッドに横になり、うつ伏せでシンジの枕に顔を埋める。シンジの髪の匂いと、お日様の匂いがする。
布団をギュッとしてみる。さらさら、くしゃくしゃ・・・

シンジ 「着てみたよぉ~っ、どう?って、アスカ・・・?」

キュッキュッ、ギュ~~~ッ、ムギュ~~~ッ

シンジ 「アスカぁ~っ、寝ちゃったの・・・?」

キュンキュン、ン~~~、シンジィ、だっこされてるみたい・・・ムフフフッ

シンジ 「アスカってばぁ・・・」

526: 連投スマソ 2007/10/31(水) 17:31:19 ID:???
むにゅむにゅ、うるさいわねぇ・・・

私 「んむぅ・・・ふぎゃっ!」

シンジ 「うわっ!」

声のする方へ無意識に顔を向ける、真っ先に視界に入って来る巨大なシンジの顔

私 「なっ、なによぅ~~~っ!ビックリするじゃないのぉ~~~(ばくばくばくばくばく・・・)」

シンジ 「そっ、それはこっちのセリフだって(どきどきどきどきどき・・・)」

私 「あー、なぁんかうとうとしちゃってたわ、ごめんごめ・・・シンジ・・・・」

シンジ 「うん?」

私 「あんた・・・まさかその格好で行こうってんじゃないでしょうねぇ?」

シンジ 「えっ?そのつもりだけど・・・」

はあああああっ・・・頭が痛い。よれよれの襟元に洗濯のし過ぎで色がくすんだ上に日焼けで上部が退色したポロシャツ、
元の色が分からない中途半端な色調の短パン、塩の層が微妙なグラデーションを奏でている帽子・・・

私 「だめだめだめだめだめだめっ!ありえないわっ!」

先程までの甘い雰囲気を綺麗さっぱり吹っ飛ばすシンジの服装に悶絶する私

527: 連投スマソ 2007/10/31(水) 17:32:35 ID:???
私 「はぁ・・・せめてっ、せめてもうちょっとまともな・・・Tシャツ位無いのっ!?」

シンジ 「う~ん、無いこともないけど・・・あっ、いいのがあった!ちょっと着替えるね」

私 「そうしなさいっ!その方が身の為よっ!」

目隠しポーズをする私。勿論指の隙間から様子を伺う。べっ、別にいやらしい気持ちで覗くんじゃないわよっ!って、誰に
言ってんのかしらね、ふふっ。そそくさと上着を脱ぎ、白地のTシャツを着る。まぁ、白無地のTシャツなら清潔感もあって
まだ許せる範囲かしらね

シンジ 「もういいよ」

わざとらしく両手を退ける。ゆっくりと視線を上に上げる。そうね、こういった白無地のTシャツだったら、白無地の・・・
Tシャツだったら・・・白・・・無・・・

ぶちっ!

私 「うぉおぉいっ!くぉおぉうるぅうあぁっ!」

シンジ 「なっ、なんだよ急に・・・」

私 「そのボディにデカデカとプリントされた"平常心"ってのは何だあっっっっっ!!!!!」

シンジ 「えっ、Tシャツのデザインだけど・・・」

私 「(ぶちぶちっ!)あんたねぇっ!今日び日本かぶれの外国人でもそんなだっさいTシャツ着ないわよっ! もう・・・
期待薄だけど、他に何かないの?」

528: 連投スマソ 2007/10/31(水) 17:34:11 ID:???
シンジ 「なんだよそれ・・・あ、折柄のポロシャツならあるけど・・・」

私 「だったらさっさと着るっ!」

シンジ 「はへいっ!」

面倒くさいから着替えも見てやる。箪笥から引っ張り出されたのは雰囲気からしてみょうちくりんな柄のポロシャツ

私 「あーーー、もう着なくていいわ。とりあえず広げて見せてよ」

網膜に突き刺さってきそうな鮮烈な柄のポロシャツを自分の肩口から合わせて見せるシンジ。その顔には
"何か不都合でも?"と言いたげな表情が読み取れる。なんなのかしらね、この、言われもない敗北感は・・・

シンジ 「これだったらまだましかも・・・」

私 「ましって・・・あんた・・・それ、まるで"前世紀のゴルファー"って感じだわよ・・・」

シンジ 「そうかなぁ・・・いけると思ったんだけど・・・」

その根拠を問い詰めたい衝動に駆られるも、よくよく考えてみると、普段は学生服な上に部屋では今の服装に近い
出で立ちだし、おしゃれに気を使いそうな友達はいないし・・・黒ジャージやカメガネじゃ聞くだけ野暮だわね

私 「あんたねぇ・・・年齢的にもうそろそろおしゃれに気を遣ってもいいんじゃないかしら?」

シンジ 「別にいいよ・・・誰に見せるわけでもないし・・・アスカが居てくれればそれで・・・」

あ、それ反則。教育的指導実施

529: 連投スマソ 2007/10/31(水) 17:36:00 ID:???
私 「そうじゃないのよシンジ、そうじゃないの。私はそれでいいかもしれないけどね、今のままじゃ、これから
   色々恥ずかしい思いをするかもしれない、と言いたいのよ」

シンジ 「別に、僕は僕だし、何を着ても見ててくれる人がちゃんと居れば、周りの目なんて気にしないよ」

あ、そっちのベクトルで開き直りますか。これは慎重に誘導しないとエライとばっちりを喰うわね

私 「う~~~んと、何て言うかなぁ、確かに、シンジはそれでいいかもしれない」

シンジ 「なら問題ないじゃない?」

面倒な事になりましたよ・・・こう言った場合、誘導側にもある程度の覚悟が必要よね・・・

私 「そうだっ!ねぇシンジ、ちょっとそのまま待ってなさいっ!」

急いで自分の部屋に戻る。遊園地に行く事を想定して服装を整える。シンジの部屋の前で一息呼吸を整えて、勢い良く
襖を開放

私 「じゃーーーん!どう?私の服装!?」

首元に赤いリボン・肩口にリボンが付いて、胸付近までシースルーになった白いノースリーブ・七部丈で裾がレース編
になったオレンジ色のスパッツ・首元と同じリボンの付いた麦藁帽子

シンジ 「うわぁ~~~っ」

私 「ねぇねぇ、どうどう?」

530: 連投スマソ 2007/10/31(水) 17:37:16 ID:???
シンジ 「ほぇ~~~っ、はぁ~~~っ、ふぅ~~~ん」

私 「心の擬音はいいから私に分かるように感想をいいなさいよ!」

シンジ 「うん、何と言うか・・・カッコいいよ」

私 「それだけ?」

シンジ 「ええと・・・その・・・カワイイよ」

私 「それでそれで?」

シンジ 「そっ・・・すっ・・・素敵・・・」

むずかゆっ! 言わせといてなんだけど

私 「んでんで?」

シンジ 「アスカ・・・その・・・とっても・・・綺麗だよ・・・」

上出来上出来。これ以上聞くと茹で上がるわね・・・ さて、ここからが本番

私 「ねっ!分かったでしょ!?」

シンジ 「ええっ、何がっ!?」

私 「何がじゃないわよっ! やれやれ・・・それじゃ改めて聞くけど、普段の私の格好はどうよ?」

531: 連投スマソ 2007/10/31(水) 17:38:26 ID:???
シンジ 「普段って、学生服とか、部屋で着てるモノの事?」

私 「そうよ」

シンジ 「う~ん、別に、意識して見てないからなぁ・・・それに、アスカが着れば何でも似合うと思うよ」

私 「あらぁ、嬉しいわ・・・って、違うわよっ!いやっ違わないっ・・・って、そういう事じゃないの! いい?シンジ・・・」

目の前に底なし沼が見える。どうやら、はまり込む以外に方法は無いわね・・・

私 「私ね・・・シンジからデートの誘いを受けて・・・その・・・嬉しかったのよ」

ズブリと片足が埋まった。覚悟して尚も続ける

私 「折角、シンジとデートするんですもの、いつもと違う私をシンジに見せたいじゃない?」

両足が埋まった

私 「だからね、シンジに見てもらいたくて、こんなにおしゃれしたのよ」

腰付近まで埋まった

私 「それにね、今、シンジから"綺麗"って言われて、とっても嬉しかったの」

胸まで埋没。呼吸が苦しい

私 「でも、これじゃ不公平じゃない?」

532: 連投スマソ 2007/10/31(水) 17:39:42 ID:???
シンジ 「何でさ?」

あっけらとした返答に沼の侵蝕が止まる

私 「だってさぁ、私は、シンジに見てもらいたくて、おしゃれしたんだよ?それなのに、なんでシンジはそんな
   だっさい格好なのよ!」

弐号機、底なし沼より自力でサルベージ

シンジ 「しょうがないだろ、手持ちがこれしかないんだからさ・・・」

ようやく、何とか突破口が見えてきた、しょげているシンジの肩をポンポンと優しく叩きながら

私 「さて、そこでですが・・・明日は放課後、二人ともさしたる予定はありません」

シンジ 「何で僕の予定まで折り込むのさ」

私 「本部の用件なら知らない方がおかしいわよ!それ以外の、特にカメガネ×ジャージのイレギュラーな誘いは
   カウントされません」

シンジ 「強引だよ幾らなんでも・・・」

私 「じゃ、何か先約で急用でもあんの?」

シンジ 「ありません・・・」

私 「決まったわね! そsれじゃ、明日の放課後、あんたのファッションセンスのブラッシュアップを行います
   異議は認められません」

533: 連投スマソ 2007/10/31(水) 19:08:20 ID:???

やれやれ、"遊園地に行く"というイベントの前にこんな厄介なイベントが控えていようとはね・・・
かくして、冒頭のシーンへと辛うじて結実する訳だが・・・はぁ、これから先が思い遣られるわね・・・

この続きは、またの機会に・・・

544: 連投スマソ 2007/11/03(土) 18:16:28 ID:???
普段の日にも拘らず、モール内は人でごった返している。シンジやレイや私が守った街が、この噎せ返るような
人の波に象徴されている。仲良く手を繋いでいるアベック、カートに子供を乗せてショッピングを楽しむ家族連れ、
どの顔にも毀れんばかりの笑顔、んー、感慨深いわねぇ

シンジ 「どうしたの、アスカ?」

私 「ん? なんでもないわ・・・行きましょうか?」


ゲートに設えてあるインフォメーションボード脇に積まれたパンフレットを手に取る。ざっと目を通すと、案の定
地下は飲食エリアになっているわね

私 「それじゃ、早速地下で作戦会議を立てるわよ」

シンジ 「・・・暑いから単に休憩したいだけじゃ・・・」

私 「違うわよっ!この規模のショッピングモールじゃ、ちゃんとした稼動プランを練らないと、ノルマを消化
しきれない可能性が出てくるわ」

何か意見ありげなシンジを尻目に、すたこら地下へと移動する。手近なテーブルをシンジに確保させて外周にある
ファストフード店から商品をデリバってもらう。シンジはウーロン茶、私は今後の事も考慮してチョコパフェ

私 「んぐあぐっ、結構な広さねココ」

シンジ 「複合商業施設だからね。それに、中央にはちょっとした遊戯スペースもあるんだ」

545: 連投スマソ 2007/11/03(土) 18:17:37 ID:???
私 「へぇ、そういうのだけは詳しいわね?でも残念ながら今日は立ち寄れないわね」

シンジ 「え? そんなに長丁場になるの?」

私 「当たり前じゃない!昨日私が"あんたのファッションセンスのブラッシュアップをする"って言ったの、忘れたの?」

シンジ 「いやぁ、覚えてるけどさ・・・さしあたって必要なのって、今度の遊園地に着て行く洋服だけでしょ?」

かぁ~~~っ!やれやれ、これだからシロウトは・・・ チッ、チッ、チッ、チッと突き出した人差し指をシンジの
顔の前で左右に動かす

私 「あまいわ、あまいわよっシンジッ!そんなつまらない目先の補填の為にわざわざこんな巨大ショッピングモールに
   来るわけないでしょうがっ! 単に服だけの調達なら近所のスーパーで十分に間に合ってるわよっ!」

シンジ 「へ? あの・・・言わんとしてる事が見えてこないんですが・・・」

私 「あのねぇ・・・いいことシンジ、ファッションセンスを磨く秘訣って、何か分かる?」

後手:碇シンジ君長考モードに入りました・・・ その隙に山盛りパフェを平らげる

シンジ 「・・・う~ん、ファッション雑誌を読む、とかかなぁ?」

私 「はぐはぐっ・・・まぁ、確かに間違いじゃないわね。だけど正解でもない」

シンジ 「えーっ? 一番手っ取り早くて確実だと思ったけどなぁ・・・」

546: 連投スマソ 2007/11/03(土) 18:18:42 ID:???

私 「ファッション雑誌ってね、ある程度ファッションについて造詣が無いと、雑誌の情報に振り回される危険性が
あるのよ。特に、カタログ通販系の情報誌になるとね、提携しているメーカーや広告を載せているブランドの
アイテムなんかを手際よく売りさばく為に使われるケースもあるの。ちょっと考えれば分かりそうなもんだけど、
ショップに並んでいる人気アイテムなんかは店頭販売で売り切れちゃうもんなの。そんな足の速いアイテムは
わざわざ雑誌でなんか紹介されないわ」

シンジ 「う~ん、何だか分からないけど、いわゆる"大人の事情"ってヤツなのかな?」

私 「端的に言うとね。それに、雑誌に載っているアイテムの多くは単なる情報であって知識にしかならない。生きて
ないのよ。だってさ、幾らカッコいいアイテムが載ってても、実際それが自分に似合うかなんて分かんない
じゃない? それに、今のあんたはまだ自分に合っているスタイルを確立できていない。ファッションは肉付け、
骨格が整わなければ幾ら良質のアイテムでも本来の真価を発揮しないの」

シンジ 「なんか、さらっとボロクソに言われてるような・・・」

私 「事実を言ったまでよ。大体、あんたが自分で一番似合ってると思ってる服装って、客観的に何だと思うの?」

シンジ 「うーん、一番似合ってる、かどうかは分からないけど、一番馴染んでるのは、学生服かなぁ・・・」

私 「なんともはや不憫な・・・予測できたとはいえ、あんたの口から直接聞くと、憐憫の念を禁じえないわね・・・」

シンジ 「ムーーーっ! じゃあ、アスカにとって僕に一番合ってる格好って何だと思うのさっ!?」


547: 連投スマソ 2007/11/03(土) 18:19:45 ID:???
私 「うーん、現状で判断すると・・・あんたに一番似合ってるけれど、あんたの心情的には非常に複雑なアイテムが
   思い浮かぶわね・・・」

シンジ 「それって・・・何?」

私 「エ・プ・ロ・ン」

シンジ 「・・・・・・・・・・」

私 「あからさまにしょげないのよ? その現状を打破する為にこうしてこれからのプランを練ってるんだから」

シンジ 「うーん、もう何だかよくわかんないけど、アスカに任せるよ・・・」

私 「どーんと任せときなさいな。悪いようにはしないから」

バッグから赤ペンを取り出してパンフレットに行動ルートを書き込んでいく。最初は"カジュアル"で様子を見て、ちょっと
カッチリ目の"トラッド"に行き、シンジの体型なら十分に活用の範疇にある"モード"を攻めて、出来れば古着屋にも・・・
シルバーアクセなんかも覗きたいわねぇ・・・

シンジ 「ところでさぁ、さっきの答えって、何なの?」

私 「うーん? さっきの? ああ、センスを磨く秘訣の事ね。そりゃなんと言っても "手にとって見る"事よ」

シンジ 「つまり、ショップに足を運んで、自分の感覚で確かめろ、と?」

548: 連投スマソ 2007/11/03(土) 18:20:59 ID:???
私 「そういう事ね。まぁ、これから直ぐに実践していくから、身をもって体験しなさい」

シンジ 「お手柔らかに、願います・・・」

トレイを元に戻し、飲み終えたカップ類を綺麗に片付けるシンジを待って、最初のゲート付近まで移動を開始する。
行動ルートが存分に書き込まれたパンフレットと現場を確認しながら歩く私の横で、何か考え事をしている様子のシンジ

シンジ 「そういやぁアスカってさぁ、時々、テレビやネットの通販とかで洋服買ったりするよね?あれって、どうなの?」

私 「うーん、そうねぇ・・・結構当たり外れがあるわね」

シンジ 「へぇーっ、意外だね。アスカのように慣れててもやっぱり外れちゃったりするんだ」

私 「そうよ。特にテレビ通販って、動きがある分ファブリックの質感や光線の当たり具合による発色なんかは分かり易い
反面、カッコいいモデルさんが着用してるイメージでそのままで購入した場合、いざ届いて試着してみたら、
"こんなはずじゃない"って事も結構あるのよ」

シンジ 「なにやら実感がこもってますね・・・」

私 「んぐっ!そっ、そうやってイタイ思いをしながら、人は成長していくものよっ!」

シンジ 「イヤだなそんな成長・・・」

私 「文句言わないのよっ!それに第一、これはあんた一人だけの問題じゃないんだからねっ!」

549: 連投スマソ 2007/11/03(土) 18:22:11 ID:???
シンジ 「えっ? だって困るのは僕だけでしょ?」

私 「あんた本気で言ってんの? いつも横に並んで歩く私の身にもなりなさい、って事を言ってるのよっ!」

シンジ 「あっ・・・あうっ、ううっ・・・ご、ごめん・・・なさい・・・」

私 「分かればよろしい。さっ、気合入れてバシバシ行くわよっ!」


1階に戻り、当初の予定通り「カジュアル」に強いブランドショップから進攻を開始する。広々とした清潔感のある
ショップ内は色彩に溢れている。四季という概念が薄れてからこっち、衣料ブランドの多くは、日常生活で需要の
見込めない秋冬シーズン向けの重衣料の生産を見限り、春夏の軽衣料に特化した商品をメインに展開している。
そういった背景がある為、多くのショップはより色彩と配色・ファブリックの多様性を打ち出した商品を数多く
取り揃えた・・・

シンジ 「・・・アスカ?」


・・・勿論重衣料は完全に市場から姿を消した訳ではない。極地や寒冷地等限られた地域で必要とされている衣料は、
一般的なファッションアイテムとして乖離したものの、スポーツ及びアウトドア・エクイップメントという、いわゆる
エクストリーム系のカテゴリで細々と販路を確保しながら・・・

シンジ 「アスカ? アスカってばぁ!」

550: 連投スマソ 2007/11/03(土) 18:23:24 ID:???
私 「んあ?」

シンジ 「どーしちゃったのさ、ショップに入るなり考え込んじゃって・・・調子・・・悪いの?」

私 「んあぁ・・・なんでもないわ、大丈夫よ。柄にも無くナレーションモードに入っていただけだからさ」

シンジ 「???」

不思議なものを見つめて小首を傾げている仔犬のような愛らしさを醸すシンジにクラッと来ながらも、気を取り直して
アイテムピックアップを開始する

私 「いいことシンジ、私は暫くの間あんたに合いそうなコーディネートに即したアイテムの選定に入るから、ちょっと寂しい
   だろうけど、そこいらへんの商品でも黙って見ながら、色々勉強しときなさい」

シンジ 「分かったけど・・・あんまり無理しないでね?」

私 「んぐっ!(その物言いと仕草、出鼻を挫いてくれるわね・・・)」

昨日半徹夜状態で頭に叩き込んだメンズファッションの知識とシンジの体型サイズを元に、シルエットやディテール毎に趣の
異なるアイテムを丹念に物色する。華奢で色白・中性的で端正な顔立ちのシンジを常に視野へ捉えながら、脳内で着せ替えを
させつつ様々なパターン配合を試みる

557: 連投スマソ 2007/11/07(水) 18:49:31 ID:???

ディスプレイされた洋服を眺めていたシンジ、どうやらTシャツを物色し始めたようだ。自分の着る服に興味を持つ事は、
意味のある大きな進歩と言える、が・・・

シンジ 「ねぇねぇアスカ、こんなのどうかな?」

私 「んー? な・・・・・・ケッ!」

シンジ 「あーっ!"ケッ"ってなんだよ"ケッ"って!」

悪いわねシンジ・・・今はあんたに付き合ってる暇は無いのよ。いいから、その"使徒の出来損ない"がデカくプリント
された悪趣味なシャツを棚に戻しなさい・・・

シンジの場合、"シルエットがスリム"という、長短混在の体系的特徴がある。このショップの後に攻める予定の
「モード系ブランド」ならば、その華奢な体型を活かし切る選定も可能だが、カジュアルに関してはどこか一つに
柔らか味・遊び心のあるアイテムをて加えて全体のバランスを整えるのが好ましいわね

シンジ 「ねぇねぇアスカ、これなんかはどうかなぁ?」

私 「ん・・・フン!」

シンジ 「今度は一瞥して鼻で笑われたよ鼻で!もう言葉ですらないよ!ヒドイよぉ・・・」

ホント、悪いわねシンジ・・・申し訳ないけどちょっかい出さないでくれる? 半袖のサマーニットを選ぶ所は褒めるべき
ポイントだけれど、ミサトのジャケットを凌駕する鮮烈な"赤使い"はね、正直今のあんたには敷居が高すぎるわよ・・・
弐号機カラーの私なら、或いは着こなせるかも知れないけど・・・とにかく、速やかに元の場所へ収納しなさい

558: 連投スマソ 2007/11/07(水) 18:50:43 ID:???

両手に担いだ山のような選定品をフィッティングルームに投げ入れる。トップスとボトムス、それぞれを十分と言える
量を確保できた。後は、コーディネートに合わせる足元の強化を図りましょうかね

シンジ 「(恐る恐る・・・)あのぉ~アスカぁ~、これなんかは・・・」

私 「チッ!」

シンジ 「うわっ!遂に舌打ちしたよ!即不機嫌だよもぅ・・・何もそんなに無碍にする事ないじゃないかぁ・・・」

本当にごめんなさいねシンジ・・・でもね、折角組み上げたイメージが台無しになるから、その"4~50代のオッサン"
しか選ばなそうな肩パット入りのジャケットは私の目の届かない所に放逐しなさい。4~50年経ったら、私が選んで
あげるから、なんてね・・・


メンズショップでありながら、入ってくるなり猛烈な勢いで商品を物色する女の子と、所在無さげにうろうろ店内を
徘徊する男の子という、真逆の取り合わせに困惑したのか、ショップのスタッフは興味深げに事の成り行きを見守って
いる様子。そりゃそうよね、このパターン、本来レディスの水着か下着売り場でしかお目にかかれないわ


私 「ふぅ・・・よーし、素材の調達はこれ位でいいでしょう」

山のように積まれたフィッティングルームの商品、先ずは基本となる組み合わせを手際よく選び出し、フィッティングルーム
のハンガーに吊るす

559: 連投スマソ 2007/11/07(水) 18:51:58 ID:???

私 「舞台は整ったわね・・・お待たせぇシンジ!・・・あれ? シンジ・・・?」

店内を見渡すとシンジの姿が無い。しゃがんで見てるのかしら、と通路を窺うも発見できず。おっかしいわねぇ・・・
顔を上げるとショップスタッフと目が合った。スタッフは苦笑しながら肩をすくめ、掌で店の外を指している。訝しげに
外を見回すと、入り口近くのベンチでがっくり肩を落としているシンジを発見・・・ ったく世話の焼ける・・・

私 「もーシンジ!主役がこんな所でぶーたれててどうすんのよっ!」

シンジ 「なんだよ、もう・・・着るのも買うのも僕だってのにさ、全然僕の意見は反映してくれてないじゃんか・・・」

ゆっくりと顔を上げるとぷくーっと頬を膨らませてるシンジ、かっ、カワイイ・・・ じゃない!宥めないと・・・

隣に腰を下ろしてシンジの膨れたほっぺたをつんつんとつつく "ぷっぷっぷっ"つつく度にシンジの口から息が漏れる

私 「機嫌直してよシンジぃ・・・私だって、採用できる意見なら喜んで受け入れたわよ」

シンジ 「そんなに、僕の意見は参考になんないのかなぁ・・・」

私 「そうじゃないのよシンジ、さっき地下で言ったように、あんたはまだ自分のスタイルが分かってない。そんな状態で
   アイテムだけを持ってこられてもね、コーディネートが成立しないのよ(間違っても『センスの無い服もってくんじゃ
   ないわよっ!』とは言えない・・・)。今、私がベースとなるコーディネートパターンを用意したから、その案を
   基にして、これからゆっくりと自分に合うアイテムを二人で探しましょ」

シンジ 「うん・・・そうだね、折角アスカが僕の為に選んでくれたんだもんね」

560: 連投スマソ 2007/11/07(水) 18:54:19 ID:???

納得はしてくれてないと思う。だけど、無理をしてても笑顔を見せてくれるシンジ。大丈夫よ、きっとあんたも気に入るから、
ちょっとの間付き合ってね

説得工作も完了し店内に戻ると、先程のショップスタッフがもっさりとした拍手と笑顔で迎え入れてくれる

スタッフ 「お見事なお手並みで御座いました、マドモアゼル」

マドモ・・・はぁ・・・? シンジの服選びに熱中して眼中に無かったが、このスタッフ、良く見るとバーテンのようなかっちり
とした衣装を身にまとい、バタ臭く彫りの深い風貌には"トランプのキング"を髣髴とさせるような、先端がくるりんとカーブを
描いた髭を蓄えている。その風貌に一番ふさわしい呼称を用いて応対する私

私 「どういたしまして、"ピエール"」

スタッフ兼ピエール 「ピェ・・・私は山田と申しますが・・・」

一瞬眉毛がピクリと動いたピエールは放置するとして、シンジをフィッティングルームに案内し、ハンガーに吊るしたアイテム
をシンジに渡す

私 「とりあえずベースだから、先ずはこれを全部着てみせてよ」

シンジ 「うん・・・あの・・・」

私 「ん?」

シンジ 「シャツが2枚あるんだけど・・・」

561: 連投スマソ 2007/11/07(水) 18:55:31 ID:???

私 「あぁそれ?レイヤリングするから、袖の長いシャツをインナーに着て、Tシャツをシェルにするのよ」

シンジ 「れいや? いんなあ? しぇる? はて?」

私 「要は、内側と外側で重ね着って感じよ。追々説明していくから今は着る事に専念して頂戴」

カーテンを閉めて暫し待つ。どんな格好になるのかワクワクするわね

シンジ 「アスカぁ、一応こんな感じになったけど・・・」

サーマルの七部丈カーキインナーシャツに杢グレーで身頃がタイダイ染でグラデーションされたTシャツ、わざと大き目をチョイスした
オリーブカラーの6ポケットミリタリーショーツ

私 「ほぉ~~~っ、良く似合ってるわよ!カッコいいカッコいい! 苦労した甲斐があったってもんね!」

シンジ 「ヘヘヘッ・・・そ、そうかな・・・?」

スタッフ兼ピエール 「大変良くお似合いですよ、ムッシュ」

おめめぱちくりのシンジ君、一呼吸間があって、何か言おうとしているシンジを素早く制止、耳元でゴニョゴニョゴニョ・・・

シンジ 「あ・・・ありがとうございます、ピッ、ピエールさん(ブッ)」

スタッフ兼ピエール 「どっ、どういたしたしましてムッシュ・・・私は山田と・・・」

562: 連投スマソ 2007/11/07(水) 18:57:01 ID:???

私 「ハイハイっ!ベースはこれで完璧に整ったわね、上出来よ! まぁ、土台がいいんだから、似合って当然っちゃあ当然だけどね」

シンジ 「それじゃ身も蓋もないような・・・(土台がいい、か・・・アスカ、ちゃんと見ててくれてるんだぁ)」

私 「あらぁ、何を複雑な顔して考えてんのかしらね? それはそれとして・・・ピエール?」

スタッフ兼ピエール 「山・・・お呼びでしょうか、マドモアゼル?」

私 「今彼が着ている洋服はそのまま着用するから、とりあえず会計だけ先に済ませて頂けるかしら?」

シンジ 「えーっ!着て帰るの? そういうのって何かカッコ悪いな・・・」

私 「あんたの抱いてるイメージでつべこべ物を言わないのよシンジ!着たままにしておくのにはれっきとした理由があるのよ」

シンジ 「どんな理由さ?」

私 「足元を御覧なさい、まだ未処理のアイテムがわんさかあるでしょ?これをね、今からあんたが着ているベースを元手にして
   コーディネートのバリエーションを増やしていくの。いわゆる"着回し"というヤツね。ここだけじゃなく、後で行く事になる
   ショップでもこう言ったベースは活かす方向でアイテムを選ぶから、必然的にモールにいる間は着用していなきゃいけないの」

シンジ 「うーん、つまり、今着ているベースのシャツを違うものに変えたり、半ズボンを変えたりするって言う事?」

半ズボンってあんた・・・

私 「そ、そーゆー事よ。それじゃ、とっとと合わせて行きましょうか」

563: 連投スマソ 2007/11/07(水) 18:58:05 ID:???

シンジ 「その前にあの・・・この半ズボン、腿周りがダボついてて何だかサイズが大きいみたいなんだけど・・・」

私 「その"ショーツ"はそのサイズでいいの!わざと大き目を選んだのよ。鏡を御覧なさい・・・あんたは上半身が華奢でライン
   が細いから、全体的にサイズをジャストにすると窮屈で華奢加減が強調されるのよ。そこで、ショーツを大きめに穿き崩す
   事により、しっかりとした落ち着きのある腰周りを演出するのよ、仮にね・・・」

鏡に映ったシンジの後ろから、ショーツを全体的に中央でつまんで腰・腿周りにジャストフィットさせてみる

シンジ 「あっ、何か細さが目立つね・・・マッチ棒みたいで格好悪いなぁ、我ながら・・・」

私 「でしょ? だからショーツはこのサイズで正解。でね、この場合には足元を・・・」

選んでおいたダークブラウンベースにカモフラパターンのアクセントがあるミリタリーブーツをシンジに履かせる

私 「ゴツ目のブーツで合わせると、脚全体がシャープで力強くなるでしょ?」

シンジ 「あー、ほんとだね」

私 「試しにこのデッキシューズを履いてみなさい」

今度はスポーティーなジャムショーツに合わせる予定だったライトカラーのデッキシューズを履かせる

シンジ 「・・・この半、ショーツにはなんだか足元が覚束ない感じがする・・・この場合はブーツの方が合ってるね・・・
     へーえ、アスカって何でも知ってるね。何か、どこで何やってても生きていけそうな感じだね」

私 「・・・人をゴキブリみたいに言わないでちょうだい・・・ まぁいいわ、それじゃ、時間もアレだから巻きで行くわよ」

570: 連投スマソ 2007/11/11(日) 17:15:20 ID:???

・-・-・-・-・-・-・- それから20分が経過 ・-・-・-・-・-・-・-

終盤近くには「餅つき」並みの流れ作業を展開していた私たち

私 「ふーっ、何とか制覇したわね・・・」

シンジ 「はぁーっ、こんなに洋服手に囲まれてるの、生まれて初めて・・・」

スタッフ兼ピエール 「マドモアゼル、ムッシュ、お疲れ様で御座いました」

私 「よろしくてよ・・・えーっと・・・うーん・・・(何て呼んでたっけこの人・・・)」

スタッフ兼ピエール 「不肖、ピエールめに御座います、マドモアゼル・・・本当は山」

私 「そうそうピエール! ご苦労を掛けますが、こちらに積まれてあるアイテムも全て頂けるかしら?」

スタッフ兼ピエール 「ぜっ、全部ご所望でよろしいのでしょうか、マドモアゼル?」

私 「ええ、そうよ。先程と同じく、こちらのカードでお願いするわね」

スタッフ兼ピエール 「かしこまりました、マドモアゼル」

571: 連投スマソ 2007/11/11(日) 17:17:11 ID:???

私 「それとねピエール、こちらのモールには宅配集荷用のパレットスペースはあるのかしら?」

スタッフ兼ピエール 「ございますとも、マドモアゼル。地下の車両ベースの一角に配送センターが用意して御座います」

私 「分かりました。それではお手数ですがピエール、配送センターの運行用パレットを一台調達して、このカード名義で
   貸切して下さいな。当方は今後も購入商品が増える予定ですので、なるべく早くお願いできるかしら?」

スタッフ兼ピエール 「し、承知致しましたマドモアゼル、その旨センターに託けて速やかにお手配致します」

私 「それでは行きますわよ、シンジ」

シンジ 「・・・なんだかアスカ、貴族みたい・・・」

スタッフ兼ピエール 「またのご来店心よりお待ち致しております、マドモアゼル、ムッシュ」

私 「ごきげんよう、ピエール。またの折にはよろしく頼むわね」

シンジ 「また来ますね、ピエールさん(で・・いいのかなぁ)」

スタッフ兼ピエール 「(この際だから、名札の山田に"ピエール"ってルビ、振っておきましょうかね・・・)」

恭しく頭を垂れて私たちを見送るピエール。あの人、本当はなんていう苗字なのかしら?

572: 連投スマソ 2007/11/11(日) 17:18:42 ID:???

ショップを出るなりまたも思案げなシンジ

私 「ん?どうかしたの?」

シンジ 「こんなに一気にお金使っちゃって大丈夫、なのかなぁ、って・・・」

シンジってば、色んな事に無自覚なんだぁ。私がついてないと、ホント駄目ねぇ・・・ まぁ、私としては、
惣流・アスカ・ラングレーだけに関心を示してくれればそれで十分だけどね、フフッ

私 「あんたねぇ・・・言いたかぁないけど私たちはタダでさえ"超"が付くほどの高給取りよ? 頻繁に買い物
    してる私ですら口座には"土地付き一戸建て車付きでガレージには車が3台駐車できるスペース付き"
    が余裕で買える額面が常にプールされてるわ。ましてやお金の有効な使い道を知らないあんたの口座
   にはどんだけのお金が腐ってると思ってんの?」

シンジ 「えっ?僕はてっきりミサトさんに管理してもらってる給金が全てだと思ってた・・・」

私 「かぁ~~~っ・・・まぁ、お金に無頓着なのはあんたのいいところかもしれないけどね。ミサトが管理してる
   のは単なる基本給、最低賃金ベースよ。私たちが持ってるこのカードに付帯する口座とは全くの別物」

シンジ 「え~っ、そうなの?」

私 「そうよ!冷静に考えてみなさい。私たちってね、世界一危険で過酷な職場に居るのよ。これを一般の企業に
   置き換えたるする。私たち3人が営業職だとして、働かないでサボッてばっかいたら、会社はどうなる?」

シンジ 「経営不振で倒産・・・するかな?」
579: 連投スマソ 2007/11/11(日) 17:28:54 ID:???
・申し訳ありません、>>572  の続きはこちらです

私 「極端に言うと何れはそうなるわね。これを再び私たちに置き換える。私たち3人が働かなかったどうなる?」

シンジ 「NERVが・・・って、そんなどころじゃないよね」

私 「そうよ。私たち3人が働かなかったら即座に"人類滅亡"まっしぐらよ!NERVがどうのこうののレベルじゃないわ。
   試したかぁないけど、使徒が出現したと同時に私たち3人がエヴァの前でハンストでもやってごらんなさい、きっと
   どんな要求でも通ると思うわ。それに見合うだけの仕事を私たちはこなしてる。あんたも、もっと胸張っていいのよ。
それに、使徒と戦ってるだけが私たちの全てじゃない。様々な生体実験やテストから吸い上げられるデータは全て
二次的に応用の利く極めて資産価値と運用性の高い情報なのよ。これらは全て賞与や特別手当・危険手当に稼動手当、
その他諸々何かに付け"なんちゃら手当"という形でこのカードに格納されてるわ」

シンジ 「知らなかった・・・」

私 「あら、NERVに入所する時、規約の書いた分厚い冊子貰わなかった?」

シンジ 「そんなの貰って・・・あ!そういえばミサトさんから最初の出撃の時に貰ったような・・・貰わないような・・・」

私 「どっちよ!・・・まぁ、その冊子の後ろのほうに書いてあるわよ。もんのすんごい小さな文字でびっしり・・・
   って、何ヘコんでんのよあんた?」

シンジ 「誰も教えてくれなかった・・・騙された気分・・・」

私 「しょうがないでしょ。恐らくミサトなんかは関知してないと思うし。それよりも、事情が分かったなら、お金の事で
あれこれ悩む必要はない、というのだけは覚えときなさい。あんたのカードなら、おそらくさっきのお店、権利付きで購入
する事も余裕で出来るわよ。ピエール込みで」

>>573
573: 連投スマソ 2007/11/11(日) 17:19:56 ID:???

シンジ 「ピエールさんはいいよ別に・・・ピエールさんじゃないし、多分・・・」

私 「あらぁ失礼ね、あれで結構役に立つわよ、たくのピエールは」

シンジ 「・・・もはや執事?・・・」

シンジとお喋り、何を話してても楽しい。でも今日のノルマだけはきっちり裁くわよ



-・-・-・-・-・-・- それから2時間半、全てのノルマ達成 モール反対側のベンチ -・-・-・-・-・-・-

シンジ 「ふーっ、大仕事だった・・・ところでアスカ・・さすがにコンフォートへの宅配はマズイんじゃ・・・凄い量だし」

私 「あぁらシンジ、誰も配達してくれ、と頼んだ覚えはないわよ」

シンジ 「だって、配送センターに預けてあるんでしょ、買った荷物」

私 「配送センターには一時的に預けたに過ぎないわ。その為にパレットを確保するよう先刻ピエールに指示を出したんだし」

シンジ 「(あくまでもピエールで押し通すんだね、アスカ・・・)そ、それじゃどーすんの?とてもじゃないけど二人で持ち
帰る事なんて不可能だし」

私 「抜かりは無いわよ。ミサトに話を通して保安部の車両が何時でも地下に付けられるようセッティングしてあるから。
   帰りに携帯で連絡取れば即搬出、私たちと同じ帰宅時間に荷物が届けられる、って寸法よ」

574: 連投スマソ 2007/11/11(日) 17:21:16 ID:???

シンジ 「・・・アスカって・・・本当に凄いね・・・感動するよ」

私 「んなっ、何よ唐突に・・・こんなの別に大した事じゃないわよ」

シンジ 「ううん、そんな事無いよ!色んな事知ってるし、いつも先手を読んで行動するしさ。アスカが居ると、安心だよね」

んーと・・・それ、最後のそれね、ちょっとした解釈の違いで振り幅すんごく大きいんだけど・・・私と居ると、っていうなら
とっても嬉しいけど、私が居ると、って、AM○Xのカード並みの評価になっちゃうんだけど・・・

私 「・・・それってあんた、自分が楽できるって意味かしら?」

シンジ 「そんな事じゃないよ。逆に言うと分かりやすいと思うけどさ、アスカが居ないと、不安になる。多分、とても・・・
     僕一人じゃ、こんな買い物すらまともに出来やしない・・・ 僕一人じゃ・・・ とても切ない・・・」

いきなりキュン!

シンジ 「一緒に生活して、なんか、アスカが側にいる事がとても自然になってる。けどね、時々想像することがあるんだ。もし
     アスカが居なかったら、居なくなっちゃったら、どうなるんだろう、って」

私 「ど・・・どう・・・なるの・・・想像の・・・あんたはさ・・・」

シンジ 「うん・・・ヘヘッ、想像出来なかったよ、全然・・・これっぽっちも」

急に俯くシンジ、拳をぎゅっと握り締めてる

575: 連投スマソ 2007/11/11(日) 17:22:29 ID:???

シンジ 「想像できない、って事はさ、きっと、もし万が一、実際に起こったら・・・耐えられない事・・・なんだと思う・・・
     アスカが・・・居なくなるなんて・・・僕を残して・・・想像できない・・・耐えられない・・・絶対に・・・」

激しく心を揺さぶられる。シンジの想いが私にシンクロしてくる・・・シンジの想いが、津波のように押し寄せてくる・・・

私 「・・・ばっ、ばかねぇシンジ!私があんたを置いて何処かに消える訳無いじゃないのよ! こぉんなに手の掛かる・・・
私がシンジを置き去りにして・・・・私がシンジを・・・置き去りにして・・・そんな事して・・・この世界の・・・
何処に・・・一体何処に・・・行く宛てがあんのよっ!・・・考えただけでも・・・恐ろしいわよ・・・」

シンジ 「・・・そう、だよね・・・安心・・・しても、いいんだよね・・・側に・・・居ても・・・」

シンジの背中をポンポン叩き、優しく擦る。その辛さが、一人で抱え込んでいた辛さが少しでも和らぐよう祈りながら・・・

私 「ったり前でしょこのアンポンタンがっ!!!あんたは何一つ不安に思う事なんて無いわよっ!私はねっ、泣く子も黙る
   エヴァ弐号機パイロット、惣流・アスカ・ラングレーよっ!あんたが学校に行く時も、家でごろごろしてる時も、デートしてる
   時も、エヴァで・・・使徒と・・・対峙していようとも・・・私は決して、あんたを不安になんかさせやしないんだからっ! 
   たとえ、あんたが・・・世界の果てにいようとも・・・ピッタリと側に居て"鬱陶しいな、アスカ"って文句垂れるぐらい
   一緒に居てやるわよっ!だから・・・あんたは・・・あんたは・・・そんな・・・下らない想像・・・金輪際・・・
    するんじゃないわよっ!」

シンジ 「・・・うん(ぐすん)・・・ヘヘッ、ありがとうアスカ・・・なんか・・・湿っぽくなっちゃってごめんね・・・
     ハハッ、かっこ悪いなぁ・・・僕・・・うっ・・・」

シンジが泣いている。掛けるべき言葉が無い・・・もう・・・シンジを見ている事が出来ない・・・強すぎる・・・強すぎる・・・

576: 連投スマソ 2007/11/11(日) 17:23:33 ID:???

私 「ゴメン・・・ちょっと・・・トイレ・・・行ってくるわ・・・」

シンジ 「うん・・・僕は・・・ここにいるよ・・・待ってるよ・・・」


上を向いて走り出す。目に映る世界が・・・全てボヤけてる・・・雫が・・・溢れる・・・私の・・・想いとなって・・・
トイレの個室に駆け込み、声を殺して両手で顔を覆い嗚咽する・・・こんなにもシンジが・・・こんなにも・・・

過ごした様々の思い出と共に・・・涙が止め処なく溢れる・・・私は誓うわ・・・心から誓うわ・・・
だからこの涙は・・・後悔じゃない・・・新たなる・・・決意の・・・



ベンチに腰掛けぼんやりと遠くを見つめているシンジ。その顔は心なしか安堵の表情に満ちているように感じる。その顔、その顔の
まま、シンジがこの先も末永く過ごせるように・・・ いつも一緒に・・・ 側で・・・

私 「・・・ゴ、ゴメンねぇ待たせちゃってさ。私、顔赤くない? 鼻の頭とかさぁ」

シンジ 「・・・うん、大丈夫だよ」

長い時間待たせちゃった。でも、何をしていたのかは聞いてこない。シンジは、そういう人。私のシンジは、そういう人。二人して
またベンチに腰掛ける。さっきよりも、寄り添って・・・
二人とも、言葉を発する事が出来ない。というより、言葉が要らない・・・ 陽も落ちかけて涼やかな風が、優しく二人を包み込む





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