233: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 05/01/11 00:29:44 ID:???
あたしは今、非常に困っている。

一体何故こんなことになってしまったのだろう、今日はハッキリ言って厄日だ。
いや、ここ数日どうも運気が下がっていた気がする、加持さんとお買い物に行けて「ラッキー!」と思ってたりしたらこの有様だ。
ああもう修学旅行は行けなくなるしその間の休みに使徒は来るし変なプラグスーツ着せられるしその姿を加地さんに見られ
るし弐号機も変な格好にされるしマグマは熱いし蒸すし作戦失敗するし死にかけるしサイッテー!!!
・・・思い返したらまた腹が立ってきた・・・・くそう、なんで世界を守る美少女パイロットのこのあたしが地味に苦しまにゃあか
んのよ、何かあたし悪いことした!?この世に神サマはいないっての!?
「・・・はぁ・・・」
と、ため息ひとつついたところであたしはこの思考を停止することにした。これ以上考えていてもしかたのないことだ。
かといってあたしのこのイライラは消えるわけも無く、この際さっさと寝てしまいたいのだがそれが出来ない状況になってお
り非常にやっかいだ。・・・それに、しておかないといけないこともあるし。
「ったく、このバカ、1人だけで幸せそうになっちゃって・・・」
あたしは目の前で熟睡中のシンジに向かって悪態をついた。この状態に陥らせた当の本人は隣の部屋でシンジの倍の深
さで爆睡中だ、ミサトめ、保護者という自覚はあるのだろうか。それとも日本ではお酒を強要する保護者はアリなのだろうか?
「・・んなわけないってーの」一人ごちる。しかしほんとーによく寝ていやがる、これじゃあちょっとやそっとじゃ
起きないだろう。お酒なんて慣れないもの飲むからだ、情けない。

でも、あたしはこの情けないヤツに助けられた。

234: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 05/01/11 00:33:22 ID:???
最後の最後、使徒を倒して帰還する時に道連れにされそうになった、沈みかけたときは、ああ、おわりなんだ、って
一瞬本気で諦めた、でも、あたしの手をコイツは掴んだ。身体をマグマに焼かれながらも、けして離すことなく、握り続けて
いた、力強く。だから、あたしは今こうしていられる。
「こんなに細いのにねえ」
シンジの体は細い、特に手なんかまるで女の子みたいに綺麗な手をしている、でもこうして触ってみると意外と硬くて、やっ
ぱり男の子なんだなって思う。この手にあたしは助けられたんだ。
ちゃんと言いたい、ありがとう、って
ねえ、バカシンジ、わかってる?あたし、すごく感謝してるんだよ?わかってないでしょ、あんたバカだもん。
こんなことなら真っ先に言えばよかったかな、でもアンタもいけないんだからね、目に涙をためて「よかった、よかった」って
情けないのよ、バカ、思わず罵倒しちゃったじゃない。それでも「よかった、アスカがいる」って泣き出すし、少しくらい偉そう
にしなさいよ情けない、そしてその後はいつも通り。もっと胸をはってくれればきっと言えてたのにな、きっと。
「あんたがいつもどうりだから言えないじゃない、ありがとう、って」
えい、とバカのほっぺたをつつく、やわらかい。すべすべしててぷにぷにだ、気持ち良いかも。
「ばーか、あんたにはもう言ってやらないからね、ばーか」
ぷにぷにしながらつぶやく。明日になったらきっと言えないだろう、照れくさいから。だから、きっとあたしはありがとうって言
えない、こんな顔して寝てる奴を起こすことなんてできない。
でも、このまま流してはい終了なんてもっとできない、何かお礼をしないとあたしが困る、困るはずないけど困る。

235: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 05/01/11 00:34:14 ID:???
「・・・どうしようっかな・・・」
あたしの悩みなんてどこ吹く風、シンジは気持ちよさそうな顔で眠ってる、どんな夢をみているのだろうか。
「んん・・アスカぁ・・」
心臓がはねる、うわちょっと起きたのどうしよう言わなくちゃうわうわえっとまずはえーっと「んん、ん・・・」
それきりシンジは何も言わなくなった。・・・なんだ、寝言か。まったく人騒がせな。・・・・・ってあたし!?あたしのゆめかあ・・・・
なんか恥ずかしい、一人で慌てて一人で恥ずかしがってる、これじゃあシンジの事バカにできないわね。
で、落ち着いてもう一回シンジの顔を見る、やっぱりそこには幸せそうな顔が・・ってなんか眉間に皺よってるしー、あたしの
夢で何苦しそうにしてんのよ、失礼なやつ!
おおかたあたしにいじめられてる夢だろう、そう思ってしばらく睨んでたらなんか、様子がおかしい事に気付いた。本当に苦
しそうだ、手が彷徨うように動いている。・・ひょっとして、今日のことを夢に見ているのだろうか。と、ふとあたしは思った。
・・バカシンジ、あんたはちゃんとあたしを助けたじゃない、ちゃんとあたしの手を掴んだじゃない、何苦しそうにしてんのよ。
手が彷徨う、何度も空を切り、それでもまたコイツは手を伸ばす。
なんだか見てられなかった。だから、あたしはさまようシンジの手をぎゅっと掴んだ、すると苦しそうだったシンジの顔が普通
に戻っていった。
きっとこいつはまたあたしを助けたのだろう、今は安心したような顔で寝てる、・・これで、借り返したことになるか、な?
・・・うん、まあ、これでいいか。よし、あたしも寝よう、早寝早起きは美容の基本だ。電気を消して、と
「なによ、もう、狭いわねえ・・」
身体がちょっとはみ出る、これで風邪ひいたらコイツのせいだ。フフ、起きたらびっくりするだろうな、どういうリアクションを
とるんだろ、光栄に思いなさいよ、こんなこともう絶対にないんだからね。
なんでかあたしは上機嫌、きっとさっきちょっと飲んだお酒のせい。あ、そうだ、こいつがまた嫌な夢を見ないようにおまじな
いをかけてあげよう、こいつは白雪姫じゃないから起きないだろうし。
「・・・・・・ん、よし」
いい夢見なさい、バカシンジ。さ、寝ようっと。

816: 233の新人 05/02/05 05:38:49 ID:???
「やっぱり乙女のたしなみといったらお菓子作りよね!」
「・・・いきなり、何?アスカ」
2月の午後3時過ぎ、おやつの時間にアスカは仁王立ちに握りこぶしで叫ぶ。
また何か思いついたんだろう、どうせ僕にとってろくな事じゃないんだ・・・とシンジは思う、
数ヶ月の付き合いだがこういう時はどうなるか彼はもう身にしみて分かっていた。
「乙女のステイタスとしてお菓子作りは欠かせないんじゃないかって思ったのよ!ノリが悪いわねえ・・」
「ふーん・・・」
シンジはプリンをつつきながら答えた、かぼちゃの選定から力を入れたパンプキンプリンだ
自信作と言っていい、これなら我侭お姫様もご満悦だろう、その証拠に姫の容器は空だ、よしよし
「だぁあー!もう!ちゃんと話しを聞きなさい!!」
「あっ!僕のプリン!!」
アスカはシンジのプリンを奪い取ると口に流し込んだ、所要時間1秒足らず。
「おんhdなむgsこにとくぁwせdrftgyふじこ!」
「・・・え?」
「女の子はやっぱりお菓子がつくれないとね!」
「・・ああ、うん、そうだね」
いやな予感がする、だからシンジはわざとそっけない返事をした。こうすれば『何よ、つまんない奴・・』
といった風に嵐が通り過ぎて行くかもしれないからだ、しかし現実は甘くない
「・・やっぱり、シンジもそう思うの?」
「あ、いや、一般的にそうかなあ、と思って」
「じゃあシンジはどう思う?」
「んー、よく分かんないけど、別に良いんじゃない?」
「ふーん、へー、ほー・・・・」
アスカは納得したのか何なのかよく分からない表情でうなずいている、シンジはさらにいやな予感を強めた
「えと・・・アスカ?」
「よし、それじゃあシンジ!あたしのチョコ作りを手伝いなさい!!」

817: 233の新人 05/02/05 05:40:49 ID:???

「・・・えーと、なんでそうなるの?」
「拒否権は認められてません!」
「いやだから、なんでそうなるのかなあ、って」
もう結構長い付き合いになるが、シンジはいまだにアスカのこういう突飛な発想について行けてなかった。
この辺りが彼女の言う天才と凡才の違いだろうか、ある種の尊敬すらシンジは感じていた。
「わかんないの?やっぱあんたバカねえ」
「いや、普通わかんないと思うよ・・・?」
アスカはやれやれ、といったふうに首を振る。シンジは怒ろうともしない、今は話を聞こう
「いーい?女の子としてはお菓子は作れたほうがいいでしょ?」
「あー・・・うん」
「可愛い娘から手作りのお菓子をもらったら感激するでしょ?」
「うん、そうだね」
どうもアスカは手作りのお菓子を作りたいらしい、でも何故チョコレートなんだろう?シンジは分からなかった
「まだ分かんないの?今は何月?」
「2月だね」
「2月っていったらどんなイベントがあるかしら!?」
「えーっと・・・ああ!!」
「やっと分かったみたいね・・そう!バレンタインデーよ!!」
ようやく合点がいった、つまりアスカはバレンタインデーに手作りのチョコを誰かに渡したいんだ。
「じゃあアスカ、バレンタインはチョコ手作りでいくんだね?」

・・・・・・・・でも、誰に?

818: 233の新人 05/02/05 05:42:03 ID:???
「そうよ、やっぱり手作りのほうが愛がこもってるじゃな~い?」

・・・誰だろう、僕・・な訳ないよな、じゃあ、やっぱり・・・

「だ、誰に渡すの?」

・・・せめて隠してくれれば、少し期待できるけど・・・

「そんなの加持さんに決まってるじゃ~ん!おいしいチョコ、作ってあげないと!!」

・・ああ、やっぱりいやな予感は当たるもんなんだ、現実は甘くないなあ。


820: 233の新人 05/02/05 05:45:47 ID:???
「だからシンジ!あたしの加持さんへのチョコ作り、手伝いなさい!」
そういわれて正直シンジはむっとした、何で僕が自分の好きな娘が他の男に送るための
チョコを作るのを手伝わなけれならないのか、この想いは自分のものだけと分かっているが
やるせない気持ちになってしまう。
「・・・そういうのは、全部自分でやるから意味があるんじゃないかな・・・」
だから、シンジは気持ちを殺して言葉を紡いだ、
ここで表情に出せばきっと彼女は同情的な気持ちになって義理チョコを渡す、とか言うだろう。
そんなのは、いらない。みじめになるだけだから。
だから、今の僕はアスカに興味なんて、無い。シンジはそう思い込むことにした。
「だって、そうしたら絶対失敗するんだもん。調理実習覚えてるでしょ?」
「あー・・でもさあ・・」
「そりゃあたしだって最初っから最後まで自分でやりたいわよ?気持ちの入り方が違うもん。
本当に好きな人には一から全部自分で作ったチョコを渡したいの。でも、今のあたしじゃ無理
だから、手伝ってほしいの・・・」
アスカは少し落ち込んだ様子で話す、それだけ、それだけ真剣なのだ、彼女のこの想いは。
そんなアスカを突き放せるほど、シンジは冷酷な人間ではなかった。甘い、というべきか。
(まったく・・・加持さんの事となるとこんなに真剣なんだから、その顔には勝てないよ)
「分かった・・・いいよ、おいしいチョコ頑張って作ろう」
「ほんと!?ありがとうシンジ!!」
パッと、まるでつぼみだった花が急に咲いたように彼女は笑った。その笑顔はとても綺麗で、とても眩しくて
シンジは、目をそらした。

821: 233の新人 05/02/05 05:46:45 ID:???
しばらくして子供たちは家に戻ってきた、早速材料の買出しに行っていたようだ。
シンジの両手には大きなポリ袋がぶら下がっている。明らかに多い。
「ねえアスカあ、絶対買いすぎだってこれ」
シンジもわかっていたようで、不満を口に出す。
「うっさいわねー、失敗するのを見越して買ったの!あたしの計算に狂いはなぁい!」
「そうですか・・・」
買い物の行き帰りで作業の分担について話し合った結果
だいたい90%の工程をシンジが担当することになった、それでも失敗を見越しているらしい
悔しいから一回で完璧なものを作り上げて、残りは今後のお菓子作りに回そう。
シンジはそんなネガティブな決意をしていた。

手作りチョコを作るうえで決して欠かせない工程が、物によるがチョコを溶かすことである。
「へー、チョコってそうやって溶かすんだー」
無邪気につぶやくアスカを横目に、シンジは手伝ってよかった、と思った。
下手したら加持さんは病院送りだったかもしれない、これは言いすぎだとしても確実に
体に悪い物ができていただろう。
「ねえシンジ、やっぱり加持さんには大人の味にしたほうが良いと思うのよ」
そう言ってアスカはシンジから離れていった、きっと何かを入れるつもりだろう
「これなんかどうかしら?」
アスカが持ってきたのはブランデーだった、ミサトがちびちびと飲んでいるやつだ
「それ、確か加持さんが好きだって言ってたお酒だ、良いかもね」
「でしょ?やっぱあたしって着眼点とか、違うわねえ~」
もはやシンジは、良いチョコを作るためのこの時間のことしか考えないことにした。
そうすれば、今二人でいる時間を少しだけ幸せなものにできるから。
「それじゃあちょっと入れてみようか」

822: 233の新人 05/02/05 05:47:57 ID:???
僕はブランデーを受け取ると、少量チョコの中に流し込んだ。
混ぜて、ちょっとお行儀悪いけど指ですくって味見、ちょっと苦味が増したかも。
「う~ん、どうかな・・・。アスカ、ちょっと味見してみて」
そう言って僕は、まだチョコの付いた指をアスカに向け、すくう動作をした。
それが、間違いだったのか
「ふむ、どんな感じかしらね・・・ぅん」
「・・・・っ!!!!」
その現実を受け入れるのに、僕はすごく時間を必要とした
目に映っている光景が信じられない、でも感覚がこれが真実だと伝えてくる
「ん・・む・・」
この柔らかさ、この温かさ、この湿り気、そして指先に当たるぬるぬるとした柔らかい物体
「ちゅ・・・ぅん・・・・まだ、ちょっと甘いんじゃない?」
僕は、アスカに指をしゃぶられた。
錯覚か、そんなんじゃない、もう口は離れてしまったけれど、まだ感触は残っている。
「・・ねえ、シンジ、聞いてる?勝手に入れるわよ?」
アスカがブランデーをチョコの中に入れてる、でも返事なんか出来ない、余裕がない
顔が熱くなってきた、まずい。開いた口が塞がらない、正常な思考が出来ない!
「・・んー、けっこうましになったかな?」
そう言いながらアスカは今度は自分ですくって味見した、さっきの状態とダブる。
ああ、何で君はそんなに平然としていられるの?アスカ、自分のしたこと分かってる?
思考が熱を持つ、顔はもうこれ以上ないくらい真っ赤だろう、口が開いたままのせいか
緊張のためか、のどはもうからからだ。
「シンジもちょっと味見してみて」
・・・?・・・・あ・・・・・・・・・・・・・・・・・あ・・・・・・・・・!!
「どう?」
何かが僕の口に入ってきた
温かい、やわらかい
これは
これは・・・!
「ちょっと、ちゃんと舐めなさいよ・・・」
アスカの指、だ

823: 233の新人 05/02/05 05:49:21 ID:???
「・・ん・・・・」
指だと気付いた時にはもうすでに舌は動いていた、思考が、灼熱する
「やん、くすぐったい・・・」
舐める、チョコを舐め取る、おいしい、おいしい!おいしい!!
でもチョコはすぐ無くなり、ちゅる・・・と音をたて指は離れていった。
光にさらされた指は妖しく光っている、明らかに、舐めすぎてしまった。
「どうだった、シンジ・・・?」
「え・・・?」
質問の意味がよく理解できない、何が?何がどうだったのか?
「チョコの味よ!あ・じ!」
ああ、そうか、そういうことか、だったら・・・
「すごく、おいしいよ、あすか・・・」
「やっぱりね!あたしってやっぱ天才かなぁ~」

うん、天才だよアスカ、こんな甘くておいしいチョコ作れるんだから・・・


そして結局一回失敗して、加持さんへのチョコは完成した。
「これなら加持さんのハートもいただきね!」
苦労(主に僕が)して作ったかいがあって、会心の出来だ。
「あ~、疲れた、肩こっちゃったよ・・」
これが加持さんの物になると考えると、ちょっと苦しいけど、今のアスカの笑顔が
見れただけでも良かったかもしれない。
「な~にじじ臭いこと言ってんのよ!」
そしてまた笑う、きっと僕も笑ってるだろう、君と出会えてから毎日がこんなに楽しい
楽しい世界を与えてくれた君、その君の笑顔をもっと見たい。出来れば僕だけに見せて欲しい
でもそれは出来ない、だから頑張ろう。
無理かもしれないけど、頑張って加持さんよりいい男になろう、強くなろう
同じエヴァパイロットなんだ、チャンスはある、だから頑張ろう
アスカが振り向いてくれるまで。

824: 233の新人 05/02/05 05:50:44 ID:???
  ~以下、碇シンジの日記より抜粋~

2月14日

            (略)
あと、今日アスカからチョコをもらった、質素な包装で義理かな?
と思って中を見たらどう見ても手作りの不恰好なチョコがごろごろ
していた、味も見た目どうりで、なんだかちょっと苦かった。
メッセージカードが入っていて、こんな事が書いてあった。

『バカシンジへ!これはあたしが腕によりをかけて一人で作った
チョコレートよ!結構がんばったんだから味わってたべること!
残したら、ぶっころすわよ!!』

残すわけないのにね。

827: 233の新人 05/02/05 05:55:59 ID:???
以上です。ごめんなさいごめんなさい、こんな駄文でごめんなさい。
フライング話題でごめんなさい、海より深くごめんなさい。
それでも修行を積みたいので、よろしければご指導ご鞭撻のほうお願いします




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