888: 233の新人 05/02/12 05:02:50 ID:???
あるところに、おひめさまがいました。
おひめさまは、ちいさなおしろにすんでいました。
そのおしろで、おひめさまはきしにまもられてくらしていました。
きしはたよりないけれど、やさしくて、おひめさまはしあわせでした。
おひめさまときしは、おたがいにこいをしていました。
これは、そんなふたりのおはなしです。


        小さなお城のお姫様 : なんでもない日


碇シンジの朝は早い、すこぶる早い、寝坊なんて考えられないくらい早い。
なぜならもし寝坊した日にはお姫様お得意の五連コンボを食らう羽目になるからだ。
「ん・・・ふわぁ・・・・・・あ」
彼の朝はお姫様の腕をどけることから始まる。ここで気を付けなくてはいけない、乱暴にしては
お姫様が起きてしまう。・・・よし、成功。
「おはよう、アスカ・・・」
シンジにとって一番幸せな時間が始まる、彼の朝が早い理由の第一の理由がこの時間だ、
彼女の寝顔を見る喜びを全身で噛み締める、ちょっかいを出すのも忘れない。
「・・んん・・・ゃ・・ん」
頭をなでたり髪をいじくったりほっぺをつついたりするとアスカはむずがる、
その様はどんな用事があろうともほっといて続けたくなるほどだった。
そう、例えこれから完璧な朝ごはんと1℃の狂いも許されないお風呂の準備があったとしても、だ
「・・・ふふ・・・」
だから碇シンジの朝は早い、すこぶる早い。
結局彼が行動を開始したのは、起きてから小一時間たってからだった。

889: 233の新人 05/02/12 05:04:15 ID:???
「・・・うん、上出来上出来」
いつもどうりお風呂の準備を済ませ、シンジは朝ごはんの制作を開始した
今日の献立はご飯、アサリの味噌汁、焼き鮭、ほうれん草のおひたし、あとは海苔と
実に純和風の内容だ、・・・前はアスカはパンにしないと怒ってたのに、
今じゃこうしないと本気で怒るからなあ・・・
シンジの脳裏に一ヶ月くらい前のことがよみがえる、あの時は怖かった
「もうね!もうブチ切れですよアタシは!なんでパンなのかと!何故ご飯にしないのかと!!
問いたい!問い詰めたい!!アタシはシンジに小一時間問い詰めたい!!」
・・・いや、そんなに怖くなかったな。
「さてと、アスカを起こさなくちゃ」
もはやシンジにとって料理は意識しないでも出来ることになっていた、
かといって手を抜いているわけではない、姫の舌は敏感なのだ。
食卓に完成した料理を置きながら、シンジは喜びを隠せないでいた。
これから彼にとってまた一番幸せな時間の始まりなのだ、二番目ではなく。
まあつまり、彼にとって一番の幸せはそこで愛らしく寝ている彼女と共にいられることなわけだ。
「アスカ起きて~、朝だよ~」
肩をゆする、こんなことでアスカは起きるはずもなく、シンジはどうやって起こそうか思案する。
「困ったなあ・・・」
そう言いながらも、シンジは笑顔だった。

890: 233の新人 05/02/12 05:07:29 ID:???
惣流アスカラングレーの朝はそう早くない、適度な時間に目が覚める。
なぜなら彼女の目覚める時はいつもいいにおいがするからだ。
「・・・ん・・・」
彼女の朝は料理の音を聞くことから始まる、ここで気をつけなくてはいけない、
体を起こしては彼に起きていることがバレてしまう、あくびもNG、・・・よし、OK
「・・・・・・・」
今、彼は自分のために料理をつくっている、その幸せを噛み締める。
そっと近づいて後ろから抱きついたらどうなるかな・・・
・・・きっと朝のメニューから何か一品消えるわね・・・
・・・ああっ、でもやってみたいなあ・・・
などと考えるも、彼女は一度として実行にうつしたことはない、実行したら朝の儀式が出来ないから。
惣流アスカラングレーは碇シンジに起こしてもらわないと起きられないから。
だから、彼女は寝起きが悪い。
「さてと、アスカを起こさなくちゃ」
睡眠再開、あたしはねている、あたしはねている。
シンジが近づいてくる、期待が高まる、今日はいったいどうやって起こされるのだろう?
「アスカ起きて~、朝だよ~」
肩をゆすられる、こんなことでアスカは起きるはずもなく、シンジはどうやって起こそうか思案する。
「困ったなあ・・・」
考えているようだ、どう起こすつもり?オーソドックスにキス?
下手なことしたら、おきてやらないんだから。

891: 233の新人 05/02/12 05:08:28 ID:???
「・・・・・・すいませんでした・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
シンジは焦っていた。まずい、非常にまずい、アスカが怒っている、それもかなり。
分からない、起こした瞬間怒られた、朝の歯磨きの音も荒々しかった、かなり不機嫌な証拠だ。
「・・・・・・ごめんなさい・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
起こし方に不満があったのだろうか、そうに違いない、つまり・・・
「勝手にキスして、ごめん・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうじゃなあああい!!」
ドン!とアスカが拳を食卓に叩きつけた、海苔が舞う。
「・・・・違うの?」
海苔が舞うなか恐る恐る尋ねる、シンジは困惑していた、キスが原因じゃない?
「キスするってのは別にいいのよ、た!だ!!」
「ただ?」
「なんで鼻をつまむかなこのバカシンジぃいいい!!」
「わっ!や、やめて!痛い!地味に痛い!」
鮭の骨をぶつける、シンジの分もぶつける、端の油がのって美味しい所をかっぱらう。
「あ!せっかく残しておいたのに!!」
「ふっふっふ~、もぐもぐ・・・覚えておきなさい、この世は弱肉強食なのよ・・・」
「ひどいよ・・・」
勝ち誇るアスカ、悔しがるシンジ。鮭の切れ端で。
「ごちそうさま!お風呂入ってくるから、上がったら説教だからね!!」
そう言い残して、アスカはお風呂に向かっていった、うなだれるシンジ、
食卓には海苔と、鮭の骨が散乱していた。

893: 233の新人 05/02/12 05:09:56 ID:???


 ・・・朝ごはんの片付けを終え、僕はお茶を飲んでいた、アスカはまだ上がっていない。
自然と笑みがこぼれる、彼女は元気だ、今のところは。

・・・サードインパクトからもう一年は経つ、あれからいつも彼女は僕のそばにいる、こんな僕の。
最初は二人っきりの世界だった、そこで僕たちは罵りあい、傷つけあい、分かりあった。
しばらくして、人々が帰ってきた、もちろんネルフの人たちも。・・そして僕たちは保護された。
でも、彼女はそれを拒絶した。

彼女はネルフを、他人を、僕以外の全ての人を拒絶した。信用できない、と。
それを聞いたとき、僕は嬉しくて、悲しかった。
彼女は身体にも、こころにも大きな傷を負ってしまったのだから。
それ以降、僕は片時も彼女のそばを離れたことはない。

アスカの検査が終わり、身体に異常は認められないことが分かると、僕たちは引っ越した。
六畳一間、収納つき、キッチン、風呂、トイレ別のこの二人だけの小さなお城に。
同棲が認められたのは、アスカの状態があったから。ネルフは全力で僕たちのサポートをするらしい
ガードや監視は流石に解いてもらえなかった、でも僕たちに分からない程度に抑えてくれている。

894: 233の新人 05/02/12 05:10:49 ID:???
アスカと恋人同士みたいな関係になったのはいつからだろう、告白はしていない。
気が付いたらなっていたという感じか、二度目のキスは病室だった。
それから何度もしてる、それで少しは彼女の傷も癒えるだろうか。
「あ~あっつい、あっつい」
アスカが上がったようだ、声が聞こえる、冷蔵庫の中身を思い出す、飲み物に抜かりなし。
「やっぱり朝風呂は気持ちいいわ~」
「・・・アスカ、服着てよ・・・」
裸体がまぶしい、直視できない、でも目が行ってしまう、悲しい男の性。
美しい身体に走る大きな傷痕、僕の罪。
「なあに照れてるのよ、散々見慣れてるくせに~」
確かにそうですけど!そういう問題じゃなくて!
「いいから!お願いだから着てってば!」
「は~い」
確かにアスカの裸は見てる、何度も。でもそういうんじゃなくて、仕方ない状況だった。
今はないけど、アスカには1人でお風呂に入れない時期があった。1人でいるとパニックを起こす、
だから一緒にお風呂に入ったりもした。
もちろん寝る時もそうで、これは今でも一緒に寝てる。
でもアスカと深い関係になったことはない、いいよ、とアスカは言ったけど
ガチガチ震えてるのを抱けるはずなかった。やっぱり怖いのだろう。
ゆっくり、ゆっくり進んでいけばいい、時間はたっぷりあるのだから。

895: 233の新人 05/02/12 05:11:30 ID:???
今はまだ、アスカの時間は止まっている、アスカはずっと走り続けてきた、だから今は休憩。
アスカが動き出すまで、僕も一緒に止まっていることにした。
学校にも行ってない、アスカが行かないから、二人でいたいから。
今日はどうしよう、今日は天気がいい、外は気持ちがよさそうだ、ちょっと遠くまで行くのもいいかも
「さあシンジ!お説教タイムの始まりよ~!」
でも映画も見たいな、まあ、いいや。
「ねえアスカ、今日デートしない?」
「・・・・ふえ?」
「おごるから、さ」
「・・・・・・まあ、反省してるようだし、どうしてもってんなら・・・・」
「じゃあ決まりだね」
外に出てから決めよう、何にも考えないで歩くのもいいもんだ。
「・・・でも、どこ行くのよ」
「決めてない」
「・・・・・・やっぱりね・・・」
アスカが呆れてる、それもそうか。
「ま、ぶらぶらすんのもいいでしょ、ちゃんとおごりなさいよ!」
分かってますよ、僕のお姫様。

あ、そうだ、言い忘れてたことがあったんだ。
「ねえアスカ」
「・・・何よ」


「好きだよ」

896: 233の新人 05/02/12 05:15:58 ID:???
えっと、以上です、勢いあまってここに投下してしまいました。
指摘して頂いた皆さん、無視するかたちになって申し訳ありません。
感想のほうよろしければお願いします。
また、一応続きを考えておりますので、その是非もお願いします。
失礼しました。



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