521: The highest age 2005/06/06(月) 12:38:29 ID:???
「シンちゃん、誕生日おめでとう」


……………はぁ??  はぁ!?  はぁ!?


「ありがとうございます、ミサトさん」

「これでシンちゃんも16かぁ、早いもんよね。去年はサードインパクトのゴタゴタで
 私もこの時期日本に居なかったし、今年はゆっくり家で誕生会しましょうね」

「え?じゃあ、、なるべく早く帰ってきますね」

なに見つめ合って微笑んでんのよ、歳がいくつ離れてると思ってるわけアンタ達。
と、それは置いといて、、シンジの誕生日……完全に忘れてたわ。
つーか、知らなかったんじゃないのアタシ……

去年は何も言ってなかったわよね………
というかアイツの性格じゃ自分から誕生日なんかアピールしないか、、
アタシは猛アピールして半強制的に誕生会を開催させたけど……

その前に、去年は知ってても祝ってなんかやらなかったわね、
アタシを殺そうとした事、許せなかったんだもの。

でも、、でも、その後徐々にシンジを知っていって、
シンジもアタシを知ってくれて、受け止めてくれて、受け止めてあげて……
今では何かちょっと良い雰囲気の時もあるし……

522: The highest age 2005/06/06(月) 12:39:02 ID:???
なんで教えてくれないのよ誕生日……
それともアタシがもう知ってると思った、とか?
……ううん、違うわね。

アイツの性格は分かってるもの。
『アタシが誕生日を知ってても知らなくても、それでいい』と思ってるのね。
いつだってそう、マイペースで、主張しなくて、アタシの全てを許しちゃう……たまに怒るけど…

たまにはアピールしなさいよ、分かってるんでしょ?そうよ、アンタが好きなのよ。
自信が無いの?勘違いが怖いの?大丈夫なのよ、両想いなのよ…………よね……?
そんなんじゃアタシを誰かに盗られちゃうわよ、別の男を好きになっても良いの?

「……………シンジ!!    あれ?」

「もう行っちゃったわよ、シンちゃん。アスカも早く出ないと遅刻するんじゃない?」
「わ、分かってるわよっ!」

「で?誕生日プレゼントは買ってあるの?」
「無いわよっ!どうすんのよミサト!」

「……どうすんのって、私に言われてもねぇ」
「ミサトが教えてくれれば良かったじゃない!なんでアタシが知らないのよっ」

「え?知らなかったの?最近はシンちゃんと仲が良いから知ってると思ってたけど」
「だってシンジなのよ!自分からアピールするわけないじゃない!」

「それもそうねぇ、だけど私に文句言っても遅いわよね。もう今日は来ちゃったんだもの」
「うぅ………学校休んで買いに行こうかなぁ……」

523: The highest age 2005/06/06(月) 12:39:44 ID:???
「急に探したって見つからないわよ、それに誕生日なんだから一緒に居てあげたら?」
「………そうしよっかな、、………ねぇ、ミサト、シンジって…………アタシの事、好きだと思う?」

「多分、ね。自信無い?」
「無い事は無いけど、、他に思い当たる女って………」

「アスカじゃなかったら私よねぇ♪」
「………ちょっと本気で怖いのよアンタは……」

「あははは、大丈夫だって。一時期はシンちゃんも私の事を
 女として好きだったかもしれないけど、今はアスカだと思うわよ」
「どうしてそう思うの?」

「……貴方達2人はね、もう貴方達じゃなきゃお互いに受け止め合えないのよ。
 それぐらい似てるし、傷ついてる。そして、受け入れ合う事で傷を癒してるわ」
「………まぁ、、そうかもね」

「自信を持ちなさい、『らしく』ないわよ、アスカ。
 …………でも、この悩んでる女の子も、『アスカ』なのよねぇ……」
「悪かったわね、どうせ本当は弱い女よ……」

「それでいいのよ、私だって昔は気付いてても何もしてあげられなかった。
 でも今はこうして想い人への相談を聞いてあげる事ができる。嬉しいものなのよ」
「はいはい、本気で遅刻しちゃうから学校行ってくるわ」

「行ってらっしゃーい、ケーキとかの準備は任せておいてね」
「よろしくー。 あ、プレゼント………」

「伝えてみたら、気持ちを。まだなんでしょ?それがプレゼントになるかもしれないわよ?」
「……………………考えとく」

524: The highest age 2005/06/06(月) 12:40:20 ID:???
自信はある。きっとシンジはアタシの事が好きだ。
だけど、、変わってしまうんだろうか、今までの関係が。
彼氏彼女になったら気を使ってしまうのか、肉体関係を持たなければいけないのか。

別にシンジとセックスするのがイヤなわけじゃない。
でも、、アタシとシンジが?想像できない。
ベッドでアイツがアタシを甘く口説きながら身体を触ってくる?
絶対笑っちゃうだろうし、そもそもアイツが甘い言葉なんて吐ける筈がない。

………考えだすと、ちょっと面白そうではある。プレゼントはアタシのハジメテ、か………
シンジへのプレゼントにしては奮発しすぎかな、、でも、もうお高くとまる必要も無いし…
今のところアタシのハジメテはアイツ以外考えてないわけだし。
でもでも、、もし断られたら?…………………

「……スカ?………………アスカ!」

「ほぇ!?  あ、シンジ……」

「どうしたのさ、今日はずっとボーっとしちゃって」
「え?ま、まぁね。アタシだって考え事ぐらいするわよ」

「ふーん、まぁ何でもないなら良いけどさ。そろそろ帰ろうよ」
「うん…………え゙?もう学校終わり?」

「はぁ……ホントに大丈夫?お昼もうわの空で、話しかけても『うん』しか言わないし」
「だ、大丈夫よ!さっさと帰るわよっ」


ループ思考で1日潰しちゃったじゃない……一緒に居てあげた意味が無いような……

525: The highest age 2005/06/06(月) 12:40:53 ID:???
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「それでわぁ~、碇シンジのぉ~、16歳の~、誕生日を祝って~、かんぱ~い!」
「鈴原、いい加減にしたら?何回目なのよ、その乾杯は」
「おぉ!全然飲んでへんやんか、いいんちょ!」
「おぃおぃトウジ、洞木はもう委員長じゃないぜ?生徒会役員様だぞぉ」

2バカは飲みまくり、ヒカリも相当飲まされて顔が真っ赤ね。
飲み始めたのが6時頃だから、そろそろ4時間、か。
アタシもお酒はそんなに強くないんだけど、シンジへのプレゼントを考えると全く酔えない。


「お、盛り上がってるな」

「加持さん!来てくれたんですか?」
「仕事は早めに切り上げたよ、おめでとうシンジ君」

「遅いわよ加持君。あ、飲む前に帰る子達を送っていってくれない?私も付き添うから」
「あぁ、言われたとおり大きめの車で来たから大丈夫だ」

加持さん、、アタシの昔の想い人。
カッコ良くて、何でもできて、周りの大人には無い雰囲気で、、今でも憧れてる。
でも、アタシが自然体で接する事が出来る相手は変わっちゃったの。

シンジだって、あと10年ぐらい経てば加持さんに負けないぐらい魅力的に……
ならなくても良いから傍にアタシが………………あぁ、また考えだすと……

526: The highest age 2005/06/06(月) 12:41:25 ID:???
「じゃ、アスカ、ちょっと洞木さん達を送ってくるからね」
「はーい………え?ちょ、ちょっとミサト!」

「朝には帰るわよ、頑張りなさい、アスカ」
「ちょっとぉ!ホントに!?」

「ア~スカ~、頑張りなさいよ~♪」
「ヒカリっ、生徒会役員が酔っ払ってんじゃないわよっ!」


──── プシュゥ


…………どうしようか、、何も決めてないうちに2人っきりに………


「あれ?皆は?」
「アンタがトイレ行ってる間に帰ったわよ、加持さんとミサトが送ってるわ」

「……そっか…」
「…………………………」

「……………アスカ」
「なっ、なによ!」

「プレゼントは?」
「はぁ?アタシから何か貰おうっての?」

「ははは、冗談だよ。……………飲もうか」
「アンタって、結構お酒好きよね……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

527: The highest age 2005/06/06(月) 12:42:12 ID:???
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「……ねぇアスカ」
「何よ、プレゼントは無いわよ」


「そうじゃなくてさ、今日、学校で何考えてたの?」
「べっつにぃ~、高校生って言っても加持さんに比べると皆ガキだな、って」


「そりゃそうでしょ、加持さんみたいな人が沢山居たら困るしね」
「………どういう意味よ?」


「加持さんは特別でしょ、アスカだってそう思ってる。
 他の大人には無い魅力があるし」
「………アンタ、加持さん狙ってんの?」


「そういう訳じゃないけどさ、、でも、僕がもし女の子だったら………
 いや、それでも遠慮するかな」
「他の女に取られるのが怖いんでしょ、押しが弱くて負けちゃうもんね」


「………アスカは、、今でも加持さんのこと……」
「……………………………さあね」


「他に好きな人が出来た?」
「な、なんでアンタにそんな事報告しなきゃいけないのよ!
 言ったでしょ、高校生なんてガキよ、、見てるのは女の外見だけ………」

528: The highest age 2005/06/06(月) 12:42:45 ID:???

「……………………………そっか」
「……………………そうよ」


「…………………………………アスカ……」
「なによ、プレゼントなんか無いって言ってるでしょ」


「それはもういいよ」
「『もういいよ』って、なに期待してたのよ…………じゃあ、なんなのよ」


「……………僕さ、、アスカの事が好きみたいなんだ……」
「……え? えぇ!?」


「ホントはね、言うつもりは無かったんだ。今のままで十分に楽しいし、
 逆に今の状態を壊したくなかった………」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」


「でもさ、どうしてもダメなんだ、アスカにいつか好きな人ができて、
 その時に僕が一度も気持ちを告げずに居た事を想像するとさ…………」
「な、な、な、何言ってんのよアンタさっきから!」


「ごめん、卑怯だよね。一方的に壊すような事……」
「そ、そうじゃないけど………」

529: The highest age 2005/06/06(月) 12:43:28 ID:???


「愛してる」
「!!!」


「アスカが好きだ、愛してる」


…………なんでだろ、、笑えない。
シンジのくせに…………甘い言葉なんて似合わない男のくせに………
いつもならアタシの目を5秒も見られないくせに………

涙が…………止まらない………


「……ごめんねアスカ、、愛してる……」


なんで謝るのよ、違うの、泣いてるのはイヤだからじゃないの、
嬉しいのよ、本当のアタシはワガママで、見栄っ張りで、五月蝿くて、寂しがり屋で、
そういうのを全部知ってるアンタが、アタシを求めてくれるのが嬉しいのに…………



「…………………アスカ………」

「…………………プレゼント、、何がいいの?」

530: The highest age 2005/06/06(月) 12:44:10 ID:???

「え?」
「ちゃんと言いなさいよっ、誕生日でしょ!」


「………惣流・アスカ・ラングレー……」
「…………………ばか……………高いんだから……大事にしなさいよ………」


「……後悔しない?」
「その言葉、そっくりそのまま返すわよ!アンタなんかに使いこなせないんだからっ」


「ありがとう。じゃあ、貰っちゃうね」


そのままシンジに抱きしめられて、アタシは泣いて、
気付いたら日付が変わってた。


そのあと、座りながら抱き合ったままシンジと沢山喋った。
いつから好きになったとか、これからいっぱいデートしようだとか、
浮気したら殺すとか、腹が立ったら『少しなら』怒っても良いとか、でも絶対浮気はダメとか、、

532: The highest age 2005/06/06(月) 12:45:31 ID:???
悩んでたアタシって何だったんだろう。
プレゼントは、アタシがシンジにあげたんだろうか。

『自信あったの?』 って聞いたら 『無くても言ってた』 って、
変わったといえば変わったけど、シンジらしいと言えなくもない。


関係が変わる?壊れる?
そんな事は無い。

アタシもシンジも、あの悪夢のような出来事以降、ずっとお互いを曝け出してきた。
まぁ、サードインパクトで強制的に溶け合わされたんだけど、それでも一緒に過ごしてきたのだ。
お互いの本性を知っても、好きになれたのだ。

ずっと怖かったのは、お互いがいつか離れてしまう事。
過去の傷は舐めあってきたけど、未来を考えると不安になった。

だけど、これからは『未来』を想像できる関係になった。
アタシも、シンジも、個々の未来を、そして2人の未来を一緒に想像できる。


まずは彼氏彼女から、その後もお互いに受け入れ合えたなら、
その時は子供の名前が必要かもしれない。

最低な時代に生まれて、辛くて泣いて、悲しくなるから泣くのをやめて、今は嬉しくて泣いてる。
もしもシンジの子供をアタシが産んだら、最高の時代を与えてあげたい。
その子が嬉しくて泣いたら、アタシにとって最高だろうから。

533: The highest age 2005/06/06(月) 12:46:03 ID:???

「…………プレゼントのおまけ……欲しい?」
「そんなのがあるの?」


「…目………閉じなさいよ……」
「…………うん……」






「なっ、なっ、なんでアンタからするのよ!」
「え?ダメだった?」

「だ、ダメじゃないけどダメよ!アタシからあげなきゃプレゼントじゃないでしょ!」
「………じゃあ、、もう1回……」

「……分かってるわよ…」





「だっかっらっ!なんでアンタから

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