496: 清美 2005/06/05(日) 11:22:42 ID:???
元ネタはリリトレの短編

遺書

親愛なる碇シンジ様

こんにちはシンジ。私はちゃんと死んでいますか?
もし、私が死んでないのにシンジがこれを読んでいるとしたら、
それは大きな間違いです。即刻手紙を封筒の中に入れネルフに送り返すか
鞄の奥にでもしまってください。

この手紙は私、惣流・アスカ・ラングレーからの遺書になります。
先日現れた使徒によりパイロットはいつ命を落とすかもしれない
そんなことを上層部の誰かが言ったらしく、
ドイツ支部ではパイロット全員に遺書を書かせることになりました。
死亡確認後遺族に渡すそうです。
今までも個人で遺書を書いてる人はいました。
今回は有無を言わさずパイロット全員です。
命令です唯一実戦を経験してる私も例外ではありませんでした。
遺書は「家族になるべく多くの人に向けて」といわれて
ほとんどのパイロットはそうしていますが、私には家族といえる人がいません。
ママはすでに亡くなっています。だから、これは、碇シンジあなただけに書きます。
もう一度確認します。私はちゃんと死んでますか?行方不明ではなく、
ちゃんと遺体が確認される死亡のあとですか?
もしそうでないならここでの手紙は終わりです。

505: 清美 2005/06/05(日) 17:05:36 ID:???
2枚目です。
やはり私は死んでいるのですね。

不思議な気分です。これを書いている私は勿論生きてます(死んだらかけませんので)
シンジがこの字を、文を読んでいるときには私はこの世にいないのですね。不思議な気分です。
さて私はどうやって死んだのでしょう?
やはり使途との対決でしょうか?それともなにかの実験の失敗でしょうか?
まさか交通事故や階段からすべって落ちると言ったあまり関係のない死因で無いことを切に願います。
とはいえ、死んでしまった以上もうあまり関係ないですね。
続けます。

シンジ、私はあなたが好きでした。
それは一緒に過ごした時間が長いことからくる家族や友人としての好きではなく、
一人の女の子として、碇シンジという男の子が好きでした。ずっと前から。
いつ頃かなんてわかりません、ずっと前からです。

506: 清美 2005/06/05(日) 17:19:44 ID:???
14歳になって、シンジは日本に私はドイツ支部へ転属になったため
前のように一緒にいることはできなくなりました。
だからこそ思いが強くなったのか、私はあなたのことが大好きです。
シンジと、一緒にいたいといつも思っています。
一緒に同じものを見ていろいろなところにいって、一緒に寝て、一緒に起きて、
一緒に時を過ごして、一緒に歳をとって、一緒に大人になって・・・・。
いいえ。もう過去形で書くべきなのでしょう。
私はシンジと一緒にいたかった。一緒に同じものを見て、いろいろなところに行きたかった。
一緒に寝たかった。一緒に起きたかった。一緒に時を過ごしたかった、一緒に歳を取って。
私はシンジと一緒に大人になりたかったです。

507: 清美 2005/06/05(日) 17:37:25 ID:???
と、ここまで書いて私は疑問に思うのでした。
これを読んでいるシンジに果たして私は生きてるうちに、そんな思いを伝えておくことができたのだろうか?って。
もし私があなたに好きだと言って、思ってることをたくさんぶちまけて、
もしかしてシンジにとってそれが迷惑に思えてしまったら、そしてそれまでのシンジが
私に対する態度が変わってしまったら。それは私にとって死ぬよりも恐ろしいことです。
もし、シンジが私と同じ思いなら、私はとてもとても幸せです。

さて、今この手紙を読んでいるシンジはいったいどうなっているのでしょうか?
私が知っているシンジでしょうか?それとも大人になったシンジでしょうか?
いずれにしても私がそばに居ないことはとてもとても辛いです。

509: 清美 2005/06/05(日) 18:05:17 ID:???
決めました。次にシンジとあえたなら、私はシンジにこの思いをすべて伝えます。
私がシンジのことを大好きだと面と向かって伝えます。
今度の休暇で日本に行けると思うのでその時に伝えたいです。
実際は怖くて伝えられないかもしれませんが、ここに書いて言葉に出来ないはずがありません。
これが読まれているいま、これがなされているのを切に願います。

シンジ、あなたには伝えたいことがたくさんあります。
感謝の気持ちです。面と向かって言えないのでここに書きます。
あなたとの出会いは正直に言って覚えていません(おそらくシンジもそうでしょう)
当然といえば当然です。生まれたときから知り合いなのですから。
ママが亡くなり、私が寂しい思いをしていたときに助けてくれたのはシンジでした。
幼い頃、私の目と髪の色が珍しいため、よくからかわれていました(言った奴には蹴りをくれてあげましたが)
そんな中「アスカの瞳は空の色みたいで綺麗」「アスカの髪は日にかざすときらきら光って綺麗」
と言ってくれたのにはとても嬉しかったです(その時には驚いて言葉に出来ませんでしたが)
死ぬまで忘れません(でした)ありがとう。

510: 清美 2005/06/05(日) 18:27:57 ID:???
シンジあなたはいつも私に優しかったですね。
どう見ても私が悪いのに自分のせいにしてよく二人でお仕置きを受けましたね。
あなたと数々の冒険(いたずら?)をして育った14年間、楽しかったですありがとう。
先日ママが亡くなって一人で悲しんでいる私に、黙って胸を貸して抱きしめてくれましたね。
人前で泣けなかった私はシンジの胸の中で泣いてしまいましたね。
嬉しかったです。ありがとう。

今、ドイツは夜中です。とても静かな夜です。

どうして私は死んでしまったのでしょうか?
今は生きていますが。
今悩んでも仕方がないですね。

513: 清美 2005/06/05(日) 18:59:57 ID:???
最後にお願いがあります。
私が死んだ後のことです。
日常のどこかで私を思い出してください。
綺麗な景色をみてなにか感じたら私をほんの少し思い出してください。
一年ぐらいしたら私のことをきれいに忘れてすてきな恋をしてください。
(悔しいですが相手がレイかマナでも許します)
すてきな彼女を見つけてその人を大切にしてください。
その人を好きなってください。大好きになってください。
シンジの人生を楽しんでください。
シンジが大好きな人と一緒に死ぬまで幸せになってください。

最後に、ありがと、うさようなら、シンジ
                        惣流・アス・カラングレー

追伸
たった今切り離した私の体の一部を封筒に入れておきます。
もしよければたまに青い空ににかざして見てください。
あなたの気持ちが私のそれと同じようにどこまでも永遠でありますように。
どこまでも永遠でありますように
                       アスカ

539: 清美 2005/06/06(月) 21:36:31 ID:???
顔を真っ赤にしてその手紙をもう一度見る。
鏡を見てるわけでもないのに、自分の顔が赤くなっているのが良くわかる。
そして少しため息。最後の自分の名前を区切ることろで間違えるなんていかにもアスカらしいミスだ。

「ねえシンジいったい何の手紙だったの?」
ベッドの中から気怠いが聞こえる。ほとんどうつぶせ状態で
金色の髪に頭全体が隠れており、一見すると死体のようにも見える。
彼女が死体じゃないことがわかるのは気怠そうにしゃべり続けるからである。

「何か重要事項?」

「いや、何でもないよ。ネルフの中に新しく店が出来た宣伝の手紙だから
全然重要じゃないから手紙入れに入れておくね」

「ん、わかったもう少し寝る。シンジも一緒に寝ようよ」
言うが早いかアスカはシンジの頭を胸に抱きしめてベッドに寝転がる。
そして、そのまま寝息を立てて寝入ってしまう。

軽いため息を吐きながらシンジもアスカを軽く抱きしめながらアスカの寝言を聞く。

「シンジ、大好きいつも一緒にいてね。」






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