<LAS>バレンタインデーまで何マイル?~ある少女の憂鬱~

438: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/12(日) 23:16:25.51 ID:???
こんにちは。
「バレンタインデーまで何マイル?~ある少女の憂鬱~」の作者です。
久しぶりに作品を投稿いたします。
今回も誤字・脱字の山な作品になってしまいます。
また、私の国語力及び文学が全くないのでお粗末な作品になっていますので
ご了承ください。
では、ご覧ください。

「それぞれの夢」
ここは東京某所。
季節は秋から冬に変わろうとしている11月である。
綺麗に色づいた紅葉の中を一組の男女が歩いていた。
「ねえ、シンジ。課題の「将来の夢」はなんて書く予定なの?」
と隣にいる同居人に訪ねたのは明城学院附属高校に通う「惣流・アスカ・ラングレー」であった。

439: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/12(日) 23:19:40.42 ID:???
「うーん。まだ、決めてないかな?アスカは?」と答えたのは
同じ明城学院附属高校に通い
同居人である「碇シンジ」である
「アタシもまだよ。てか、高校生になって「将来の夢」を書かなくちゃいけないのよ!?」と
不満そうに言った。

440: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/12(日) 23:28:29.83 ID:???
「仕方ないんじゃないかな?将来の進路にも繋がる話だからね
各個人の進路確認の為にもいいんじゃないかな?」とシンジは答えた。
それにはアスカは「ふーん。まぁ、頭脳明晰なアタシは関係の話だけどね」と
アスカは高飛車に答えた。
「だね。アスカには、関係の無い話だね・・・」とシンジはいつもの事だと思い苦笑いをした。

441: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/12(日) 23:32:47.85 ID:???
二人がそんな話をしながら歩いていると
「困ったな・・・道に迷ったな・・・」と中年の外国人が路上で困っていた。
「あれ?あの人、どうしたんだろ?」とシンジがその外国人に気づいた。
「あ、そこの君たち英語は話せるかい?」とその外国人が訪ねてきた。

442: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/12(日) 23:34:50.74 ID:???
日常会話程度の英語なら話せるシンジは
「はい。少しなら。」と答えた。
「あ、それは良かった!あのさぁ「人類進化研究所」の場所って分かるかい?」と訪ねてきた。
「人類進化研究所ですか?少し待ってくださいね」と言ってシンジはスマホで検索を始めた。
それをアスカは横で、面戸臭そうに待っていた。

443: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/12(日) 23:38:49.94 ID:???
「人類進化研究所」とは、その名の通りに人類がどう進化してきたのか?を研究・調査している
 国連に所属する組織である。ここ東京にあるのはアジア支部の本部となっている。
「人類進化研究所・・・あ、ここですね。」と検索で表示された場所をシンジは見せてた。
「あ、ここだね!教えたくれて、ありがとう!」と外国人が感謝を述べていると

444: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/12(日) 23:47:53.63 ID:???
「エメリッヒ博士、ここに居ましたか、探しましたよ。」と黒服の男が現れた。
「あ、すまない。スマホのバッテリーが無くなってしまって、連絡が取れなくなってしまったんだ」と
その外国人は答え。
「あ、お迎えが来てくれたんですね。良かったですね。」とシンジは安堵するように言った。
「いや、助かったよ。あ、自己紹介が遅れたね。僕の名前はエメリッヒ。ハル・エメリッヒだ。」と男は自己紹介をしてきた。
「碇です。碇シンジっていいます。で、隣にいる子が惣流っていいます。」とシンジも自己紹介をした。

445: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/12(日) 23:51:44.30 ID:???
「ん?碇に惣流・・・あ、もしかして碇博士夫妻と惣流博士のお子さんたちかい?」と
エメリッヒ博士が尋ねてきた。
面戸臭そうな顔をしてたアスカが表情が変わり
「アタシのママをしてるって・・・あ、エメリッヒってメタルギアの生みの親の、あのエメリッヒなの?」とアスカが訪ねると
「そう。二足歩行型戦車「メタルギア」の生みの親っていうのは僕の事さ」とエメリッヒ博士は答えた。

446: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/12(日) 23:55:03.69 ID:???
次世代型の新型戦車として誕生し、世界を混沌の渦に巻き込んだ兵器
「メタルギア」。そのメタルギアを生みの親が今シンジ達の目の前に居るのだ。
「で、なんでそのメタルギアの生みの親である博士が
 アタシたちのママ達とどう関係があるのよ?」とアスカが博士に尋ねると
「なんでと言われても、僕は君たちのご両親に呼ばれたんだからだよ」とさらっと答えた。

447: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/12(日) 23:59:53.79 ID:???
「え、父と母に呼ばれたってどういう事ですか?」とシンジが割って入ってきた。
「ここで詳しく言えないけど、僕の「専門分野」がどうやら必要になったみたいですね・・・
 あ、良かったら研究所に来ないか?君たちに面白い話ができるかもしれないからね」
と博士がシンジ達に提案をしてきた。

448: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/13(月) 00:03:46.38 ID:???
しかし、博士。会議の時間が迫っていますが・・・」と黒服の男が話してかけてきた。
「大丈夫だよ。すぐに終わるさ。」と博士は答えた。
「君はどうだい?来れるかい?」と博士はシンジとアスカに尋ねると
「はい!喜んで行かせてください!」とシンジ答え
アスカも「シンジが行くなら、私も行くわ」としぶしぶ、行くことを承諾した。

449: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/13(月) 00:06:29.01 ID:???
「よし、二人とも車に乗ってくれ。研究所に向かうよ!」と言って
博士は二人を車に乗せた。
3人を乗せた車は、しばらくして
「人類進化研究所」と書かれた施設に入っていった。

450: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/13(月) 00:10:19.49 ID:???
3人は車から降り、施設の内部に進んでいった。

「(すごな・・・見たことがない物がいっぱいある・・・)」とシンジが回りを見渡していると
「さぁ、着いたよ。ここが人類進化研究所の中枢だよ。
「おーすごい・・・」とシンジがつぶやいた
シンジ達の周りには、見たこともない巨大なスパコンが無数に置かれていた。
シンジが周りにスパコンに圧倒されているなか
451: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/13(月) 00:12:31.65 ID:???
アスカが両手を腰に当てて博士に「で、アタシ達のママ達にどうして呼ばれたか、教えてもらってもいいかしら?」と
尋ねたのであった。
博士は「うーん。機密事項が多いから話せる事は少ないけど、さっきも話したけど僕の「専門分野」だ。
今、君たちのご両親が所属する国際研究機関は「ある物」の研究をしている。」と説明して
「ある物?」とアスカは博士に尋ねると
「ある物とは、これだよ。」と言って端末を操作した

452: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/13(月) 00:19:53.62 ID:???
すると目の前にある大きな画面に「ある巨像」の映像が表示された。
シンジが「これって・・・あの巨像ですか?」と目を大きくして言った。
博士も「そう。あの謎多き巨像だよ。」と言った。
世界には、正体不明の謎多き巨像が9体ほど存在している。

453: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/13(月) 00:25:22.40 ID:???
アジアでは、日本に二体ほどが神奈川県の箱根にある。
それらは、大地に突き刺さるようにそびえ立っている。
それらの共通点なのは、両手と頭部が無い事と
胴体の胸付近に、丸い突起物があるのが特徴である。

454: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/13(月) 00:43:45.43 ID:???
もちろん、各国の考古学者や科学者達は調査をした
しかし、いくら調査してもなにも分からなかった。
そこで各国は、資金を出し合いこの「巨像」の
共同調査を進める事になり、その研究所として誕生したのが
人類進化研究所なのである。

455: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/13(月) 01:30:55.40 ID:???
「そして最近になって、この巨像の研究においてある「仮説」が誕生したのさ」と博士が説明すると
「もしかして、その「仮説」っていうのは・・・」とシンジが訪ねると
「そう。この巨像は「二足歩行」で大地を歩いていたのではないかっていう仮説が誕生したのさ。
 それも、僕が開発したメタルの様にノロノロと歩くのではなくて、
「アスリート」のように大地を疾走していたのではないかとね・・・」と博士は神妙に語った

457: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/13(月) 23:27:59.79 ID:???
「え、じゃ・・・あの巨像は僕ら人間みたく走っていたっていうんですか?」とシンジは博士に訪ねるが
博士は「その可能性があると言うだけで、確証が掴めないというが現実だね。」としか返さなかった。
「あんなデカい物がアスリートみたいに「疾走」してた?ありえないわ!そんなの!」とアスカが強い口調でいうもの
「けど、よく言うじゃないか「事実は小説よりも奇なり」てね」と博士は返してきた。

458: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/14(火) 00:15:56.04 ID:???
「ぐぬぬ・・・」とアスカは言って黙り込んでしまった。
そこに黒服の男が現れて「博士、会議の時間です」と伝えたにきた。
「あ、すまないね。という分けて、君たちはここまでのようだね」とシンジ達に話してきた。
「いえ、お忙しいのにすいませんでした。父と母によろしくとお伝えください」と
シンジは博士そう伝え、迎えにきた黒服の男と一緒に施設を後にした。

459: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/14(火) 00:27:35.73 ID:???
そしてシンジ達を見送った博士は、会議の資料を整理し
「さてさて、今日使う資料は・・・」と資料を探していると
施設の研究者が現れ「博士、今しがた本部の方からデータが届きましたので
ご覧ください」と報告してきた。

460: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/14(火) 22:12:34.35 ID:???
「あぁ、ありがとう。確認してみるよ」と送られてきたデータを確認すると
「うん?なんだこれは・・・?」と博士は言葉を言葉を失った。
送られて来たデータには、遥か宇宙の奥に
明らからに人の形をしたロボットのような物が映されていた。

461: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/14(火) 23:03:34.05 ID:???
頭に兜のような物がついていて、体はほぼ人間に近い形をしていた。
博士は「まさか、こんな物があるなんて・・・」とつぶやき黙りこんでしたまった。
その物体は、静かにこの地球を見守っているように見えた。
「まさか、そんな・・・信じられない・・・」と言って腰を抜かしてしまったのであった。

463: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/15(水) 02:15:50.48 ID:???
作者です。
>>458の文章ですか
「という分けて」× 
「という訳で」○ 
に修正させていただきます。
申し訳ございませんでした。

464: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/15(水) 20:01:08.36 ID:???
博士が、謎の物体を見て腰を抜かしている頃
シンジ達は、施設の職員に車で自宅まで送ってもらい
夕飯の準備をしていた。
と言っても、いつもの様に晩御飯はシンジ一人で準備していた。

465: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/15(水) 20:08:23.57 ID:???
アスカは、機嫌が悪そうにリビングでテレビを見てた。
「アスカ。ごはんが出来たよ」とシンジは言って晩御飯持ってきた。
「わかったー」と言ってアスカも晩御飯を食べ始めた。
長い沈黙が続いたがアスカが口を開いた。

467: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/16(木) 00:02:50.23 ID:r7dCcF+L
「ねぇあんたは結局の所、あの博士の話を信じるの?」とアスカがシンジに訪ねてきた。
「え、あーさっきの博士の話かい?分からないけど、なんか興味は持てた気がするね」とシンジは答えた。
「ふーん。私は信じられないし、信じたくもないわ。あんなデカい奴が歩ける訳がないもの!」とアスカは
機嫌が悪そうに答えた。

468: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/16(木) 00:05:41.87 ID:???
「そ、そうだよね。けど、僕は少し興味もったよね」とシンジは控えめに答えるのだった。
シンジは「僕さぁ、実は前から考古学に興味があって、今日の話を聞いたらもっと興味てね・・・」とシンジがいうと
「で、考古学に進みたいっていいたいの?あんたらしいわね」とアスカが言ってきた。
「う、うん。古代の人たちがなにをもってあれを作ったのかが気になってね・・・」とシンジは答えたのであった。

469: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/16(木) 00:07:41.77 ID:???
「ふーん。んじゃ、アタシはママと同じ科学者になる。そして、あれが動かないって証明してせるの!」と
力強くシンジに自分の夢を語ったるのであった。
「アスカなら、いい科学者になると思うよ・・・」と少し尊敬するよにシンジは言った。
そんな話をしながら夜を迎えて、二人は各々の自由な時間を過ごしていた。

470: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/16(木) 00:13:42.39 ID:???
シンジはいつもの様に、明日の授業の予習をしていたが
アスカはベットに横なり、ある思いにふけていた。
「あんな事、言ったけどアタシの本当の夢は「アイツとできる限り一緒に居たい」。ただ、それだけでいい」という思いにふけていた。
この気持ちは、アスカの偽らざる気持ちだがシンジにはこの気持ちを明かすのは
まだ難しい所があるようだ。

471: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/16(木) 00:25:02.70 ID:???
「この夢がどうなるか分からないけど、この夢が叶うのであれば
 他の事はどうなってもいい・・・」と思いつつアスカは深い眠りについたのであった・・・
そんな二人が、同じ研究者になり謎の巨像の研究である一定の研究報告を出すのは
まだ、先の事であった・・・・

「それぞれの夢」【完】

472: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2017/11/16(木) 18:23:32.35 ID:???
こんばんは。
「それぞれの夢」の作者です。
今回も、お粗末な作品になった事を深くお詫びいたします。 
秋から冬に変わる季節、ふっと外を歩いていると「夢」という単語が頭をよぎり
書く運びになりました。
そして「LAST STAGE 旅立ち」に描写されていた量産機の残骸などの存在を考慮し
この様な作品を書き上げました。
お粗末な作品になってしまいましたが
また、機会があれば投稿したいと思いますので
何卒、よろしくお願いいたます。

716: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/03/15(木) 01:38:28.49 ID:???
番外編

【やっぱり敵わない】

一時間ほど前に終業式を終えて、寮へ戻り、そして昨日用意した荷物を持ち、帰省のために駅へ駆け足で向かっている。

タッタッタッタ・・・

空を見上げると、今にも一雨来そうなのだ。

「明日から夏休みだというのに・・・・」そんな恨み言を口にしながらワタシたちは急いだ。

ワタシたちと言っても、片割れは、後から寮を出たのにワタシを追い越して行った。

多分、もう駅前のアーケードに着きかけているはずだ。

それにしても、ワタシを追い越す際に発したひと言には、少しカチンときた。

717: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/03/15(木) 01:39:20.64 ID:???
「はよ走らな、濡れてまうで」

そんなことは分かっている。だからワタシは走っているのだ。

そう言う事を言う余裕があるなら、荷物で脹れたこのバッグを持つなりしてから言葉をかけてくれてもバチは当たらないだろう。

付き合っている女性に対する態度ではない。何より、このバッグに入っている荷物はワタシだけのものじゃないんだから・・・。

そんなことを思いながら走って、駅前のアーケードが見えてきた時にポツリポツリと雨が降ってきた。

少し濡れたが、どうと言うことはない程度だったが、ハンカチで頭を拭いているワタシをニヤニヤしながら見ている相方にイラついた。

「鈴原っ!このバッグ、アンタの荷物も入ってるんだからね!」

「スマンなぁ」

この男には、労をねぎらう若しくは感謝の言葉を持ち合わせていないのだろうか。ワタシは怒りよりも情けなさと幾許かの後悔を強く感じてしまった。

718: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/03/15(木) 01:40:21.64 ID:???
それにしても、心配なのは、後から見送りに来ると約束したカップルである。

あのふたりは、2日ほど前から理由はよく知らないがケンカをしていて、まったく口をきいていないのだ。

先週の時点では、ふたりとも仲良く見送りをしてくれると笑って約束をしてくれたのだが、先程の終業式でも顔を合わせるのを避けていたようだった。

少し深刻な気がしないでもないが、鈴原は、『犬も食わへん!』とひと言。まぁ、多分そんな理由なんだとは思うし、アスカも碇くんも約束は守るタイプなので、ケンカはしていても見送りには来てくれるんだろう。

でも、すでに雨は、本降り状態。風も強くなってきているようだ。

アスカは職員室に寄ってから、そして碇くんは相田くんと何か話を済ませて学校から直接駅に向かったはずなので傘を持っていないかもしれない。

濡れていなければいいけどと思っていると、アスカが、そしてやや遅れて碇くんが、ずぶ濡れでアーケードに入ってきた。

719: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/03/15(木) 01:41:08.47 ID:???
まだケンカは続いているみたいで、ふたりとも変な空気を出していた。

しかし、全力で走ってきたのか、ふたりとも肩で息をしている。

するとアスカは、持っていたバッグの中からタオルを取り出すと、

「あっ、アスカが碇くんの背後に・・・」

「おっ、シンジもすぐに回り込んで無言で睨みつけとる」

「アスカ、お構いなしに飛びかかったわ」

「シンジのヤツ、ひるみよった・・・」

「・・・勝負あったわね」

720: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/03/15(木) 01:42:04.67 ID:???
アスカは、無言で碇くんの頭を持っていたタオルで拭きはじめた。

それを見ていた鈴原は

「ほれ、見てみぃ。じゃれとるやないか」

「一見じゃれているように見えるけど・・・」

「なんや?他にどう見えるや?」

「アスカは、自分が濡れているのに、自分を拭く前に碇くんを拭いている」

「・・・ン?惣流は、そんなに濡れてへんからやないのか」

「よく見なさいよ。どちらかと言えばアスカの方が濡れてるわ。シャツにも少し泥が付いてるし。それでも碇くんのことを気遣って拭いてるの」

「珍しいこともあるモンやのぉ~」

721: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/03/15(木) 01:42:57.77 ID:???
「鈴原、気付いてないの?珍しくなんてないよ。アスカは、いつだって碇くんが第一よ。そんな女の子なのよ!ほら、学食でも、『シンジ。はい、お茶、お水』とか言ってすぐに世話するでしょ」

「あぁ。そう言えば、そんな感じかぁ。それで何でか分からんが、時々惣流が顔を赤くしとるよな」

「それはね、碇くんが『ん~』て言いながら、アスカの手をさりげなく触っているのよ。感謝の合図みたいなものよね。女の子にしてみたら、すごく嬉しいことよ」

「・・・やっぱ、男と女の中になると違うんやな」

「・・・その前からよ。心遣いは女のワタシから見てもアスカには敵わないなって思うモン。碇くんだってスゴイけど・・・」

「そんなもんかのぉ。ワイだってシンジみたいに深い仲になれば・・・」

「深い仲にならなきゃ、ってこと?」

「ま、そりゃ、そう言うモンやろ」

「・・・そっか」

722: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/03/15(木) 01:43:24.27 ID:???
       ◇        ◇

パタン

明城学院時代のアルバムを閉じた時、あの日のことが蘇ってきた。

夏休みに帰省した日のこと。

723: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/03/15(木) 01:44:02.99 ID:???
あの日、親には、寮の掃除があるからと言って終業式後すぐに帰れないと嘘をついていた。

そう、鈴原と二泊三日でリゾートホテルに行く予定だったから。

でも、結果的には行かなかった。

それには2つの大きな理由があった。

ひとつは、アスカみたいに相手の男の人を第一に考えて行動できる自信がなかった。

もうひとつは・・・・。それまでに鈴原とは、何度もキスはしていた、好きだったから。鈴原は、優しかった。でも、その優しさはフィジカル的な事の場合が多くて、本当に心からワタシを喜ばせてくれるのかが不安だった。

724: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/03/15(木) 01:45:57.79 ID:???
それでもその後も、鈴原との付き合いは卒業後も続いた。

だけど、大学の教育実習で行った中学校で碇くんにちょっとだけ似ている若い先生と出逢った。恋に落ちた。

ひょっとしたら、アスカみたいにこの人のことを第一に考えられる気がしたんだ。

そして、明日。ワタシは結婚する。

鈴原が、せめて釣った魚には餌を与えない程度であれば、ワタシは釣られていたのかも知れない。でも、彼は、釣れない魚に餌は与えない主義だった。

アスカと碇くんは、喜んで出席してくれると言ってくれた。

彼女たちは、不幸な事件というか謎の出来事のせいで、一時的に会えない時期があり、今はその埋め合わせじゃないけど以前にも増して仲が良い。
特に碇くんは、暇さえあればアスカの頭を撫でるように触れて、耳もとから髪を手で梳くっていて、その度にアスカは顔を赤らめている。
アスカもアスカで、どこにいたって碇くんに抱きつくし、絶対に手を離さない。それに子供の前だって平気でキスをする。ワタシたちもあんな夫婦になれたらと思うけど・・・

やっぱり敵わないな。

fin.

739: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/03/22(木) 22:49:11.91 ID:???
番外編

【続・やっぱり敵わない】


昨日、念願の最新型フルフレームカメラが届いた。高校生風情が持つには贅沢品とも言える一品だ。

それで、昨晩は興奮して一晩中いじり回し、夜が明けると同時に寮を出て、この丘の上の公園でテスト撮影している。

例年だと10月は、まだ暖かく、夏日とは言えないまでもそれなりに暑い日があったりするんだが、

今年は、1ヶ月ほど早く冬が来そうで10度を下回る日もあったりする。なので今日も少し肌寒い。

近頃は、地球温暖化とか何とか騒がれてはいるが、一説には氷河期が近づいているとも訳知り顔で解説者がニュースでは言っていた。

そんな訳かどうかは分からないが、公園の木々も1ヶ月以上も早く色づき始めたんだ。

それにしても、本格的な紅葉シーズンの到来前に新しいカメラが届いたことは、カメラマン志望の身としては何よりである。

740: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/03/22(木) 22:50:16.15 ID:???
そう、何よりなんだけどさっ・・・


こんな早朝から何でベンチに座ってんだよ、アイツはよぉぉぉ。

多分、十中八九間違いなく例の相手が来るんだろうけど。あ、ほら。来ちゃったよ。両手に熱々のコーヒーかなんか持っちゃってる・・・イヤ~ンな感じしかしねぇ。

「ッたく・・・納得できねぇ」

アイツを見かける度にそう思う。って言うか、アイツは友だち、いやむしろ親友なんだけどさ、そう思ってしまうんだ。

思えば、入試の時に朝、電車で見かけたんだ。同じ車両で3つ隣のつり革に掴まっていて、可愛いなぁって見とれてたんだ。

通勤時間帯だったから満員電車で、駅に降りるのに苦労していて、その時、アイツが手を引いて降りるのを助けたんだけど・・・

だけど、彼女を最初に見つけたのは、このオレの方が先なんだぜ。

だからオレに、少しだけ運とチャンスがあれば、何とかできたのかも知れない。と今でも思ってる・・・・

741: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/03/22(木) 22:50:59.12 ID:???
入学式だって彼女はとびきり目立っていて、男子学生の羨望の的になっていた。

下駄箱は、いつだってラブレターで満タン。もちろんオレも1週間連続で出したさ。でも、みんな玉砕。1通も開かれることなくゴミ箱行きだったんだ。

きっと運命的な出会いを予感していたのかもな。

あっ、碇のヤツが、ベンチから立ち上がってそこに惣流を座らせた。

ん?碇が、なんか言ったな。あんまり聞き取れなかったけど・・・『座り疲れたから・・・』だとか、オイオイ何だぁ?今度、碇のヤツに聞いてみよ。

碇の顔を見上げて、笑ってるよ、教室じゃ絶対見せない嬉しそうな顔して。

それにしてもカワイイ顔してるなぁ~。でもここでシャッター切ったら、惨めになるだけな気がした。

742: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/03/22(木) 22:51:44.75 ID:???
「・・・・チクショー」

未練がまし事は承知の上だが、オレが、あの時、惣流が抱きついた写真を撮ってなけりゃ・・・

少しは感謝しろよ。盆暮れ正月には付け届けしろとまでは言わないがな。

743: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/03/22(木) 22:52:52.08 ID:???
昼過ぎに寮で碇に会ったついでに聞いてみた。

「今朝、オレも公園にいたんだぜ。ベンチから立ち上がる時、オマエ、惣流になに言ってたんだ?」

碇は、すぐには何のことか分からなかったのか、少し間を置いて

「ン?・・・あぁ、アレね。ボクから聞いたってアスカに言わないでよ。あの時コーヒーを持ってきてくれてすぐにボクの隣に座ろうとしたんだ。
でもアスカ、冷え性だから冷たいベンチに座らせたくなかったんだ。内緒だよ。それにケンスケも知ってるようにアスカって少し意地っ張りだろ。
それでね、大した理由もなく親切にされたりするのを嫌うんだよ。おかしいよね。だから、『ボクは座り疲れたからアスカはここに座ればいいよ』って言ったんだ。下手な言い訳みたいでアスカから笑われちゃった」

「それにしたってもう少しマシな言い方があるだろ」

744: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/03/22(木) 22:53:51.20 ID:???
「えっ。でも『座り飽きた』とかじゃ『待ちくたびれた』みたいに聞こえると思って『座り疲れた』にしたんだけど・・・やっぱ変だったかなぁ」

「ああ、十分すぎるほど変だと思うな。そりゃ惣流も呆れて笑うわな」

「あ、でもケンスケ、耳、良すぎだよ」

「バカ言うな。誰もいない公園で結構な声で喋っていたら、誰にだって聞こえるさ。木下藤吉郎」

碇は、そうだねって言って笑っていた。案外その純朴さというか、キザったらしいところがないから惣流が好きになったのかも知れないと思った。こ・の・時・は・・・



因みに、何で朝っぱらから公園にいたのかを聞いたら、『初心忘れべからず』で、毎月6日は、早朝デートしてるそうだ。

コイツら、リア充かよ!爆ぜろ!

745: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/03/22(木) 22:54:50.96 ID:???
       ◇        ◇

夕方、駅前に新しくできたラーメン屋に行く途中、オレの前にウチの制服を着た3人の女学生が歩いていた。

3人とも、そこそこ可愛くて、聞こえてくる話し方がやや幼い感じで好感が持てた。

一人じゃなきゃ、ナンパしてたかも知れない。(何で、こんないいタイミングの時に碇もトウジもいないんだ、使えないヤツらだ)

彼女たちを追い越すこともなく、後ろを歩いていると、なかなか興味深い話をしはじめた。

746: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/03/22(木) 22:55:55.73 ID:???
「昨日さ、A子と映画見に行ったの.そこでスゴく良いもの見ちゃったの」

「そうなのよ!B子なんて耳まで真っ赤にしちゃってさ」

「えぇ~いいなぁ。それなんて言う映画?」

「C子、映画じゃないのよ。映画館を出た後よ。そう言えばアンタ、昨日はデートだったんでしょ?」

「そうだったんだけど、なんかこう態度に余裕がないというか、ミエミエでさ。それに話題も無くって退屈でさ・・・それより何よ、良いものって」

「へっへへ。2年生で評判の碇先輩と惣流先輩だよ」

「あぁ、あの明城学院のベストカップルだよね。なになにキスしてるところでも見ちゃった?」

(フッ。ベストカップル?1年前は、謹慎カップルって呼ばれてたんだけどな。出世したな、碇)

747: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/03/22(木) 22:56:43.78 ID:???
「チッチッ。C子、甘いわよ。そんなモンじゃないわよ。ねっA子」

「そうね・・・・ある意味、全女性の理想型かなぁ~」

「えぇぇ!何よ、勿体振らずに教えてよ」

「それはねぇ・・・CMの後で」

「ムー。・・・いらない!そんなボケ」

748: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/03/22(木) 22:58:23.91 ID:???
「そっかぁ。えぇーとね。昨日ってスッゴく寒かったじゃない」

「うん、寒かったねぇ。デートの時、マフラーと手袋してたもん」

「そうそう。ワタシらもそうだったんだ。でね、ワタシらより少し前に映画館を出て歩いていたのが、右に碇先輩、左に惣流先輩だったの。
そしてね、碇先輩が手袋をしている時に隣で惣流先輩がハァって手に息を吹きかけたのよ。
その時、『あれ、アスカ。手袋は?』『急いで出て来ちゃったから忘れちゃった』『そっかぁ。ほらっ』って言うと、左手の手袋を外して惣流先輩の左手につけたの。問題はその後よ」

「どうしたの?何かあったの?」

749: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/03/22(木) 22:59:18.13 ID:???
「碇先輩、何にも言わずに惣流先輩の右手を左手でグッと握りしめて、そのまま自分のコートのポケットに突っ込んだの」

「ちょっと、カッコ良くない?思わず、エェッて叫びそうになったわ」

「真後ろで、それを見てて、ビックリと言うか、もう感動して一歩も動けなくなっちゃったの。ドキドキしちゃった!」

「わぁー。スゴイね、それ。生で見たかったなぁ・・・」

「それからね、惣流先輩が碇先輩の肩に頭を乗せて、小声で『バカシンジぃ』って・・・」

「ふぅぅ~。もうね、ため息しか出ないよね」

「そっ。おかげで何の映画見たのか忘れちゃったんだから」

「スゴいなぁ~.良いなぁ~。ワタシたちも2年生になったら、そんな感じできるのかなぁ?」

「・・・・ど~なんだろね」

「相手次第なのかなぁ~」

「「「でも、そんな恋愛してみたぁ~い」」」

750: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/03/22(木) 23:00:23.62 ID:???
おい、碇。お前、外で、公衆の面前で何やってんだ!

前言撤回だ。何なんだよ、そんなキザったらしいことやりやがって。

いつ、どこでそんなジゴロみたいなこと覚えたんだよ!

親友として許せないぞ。トウジだって、そう言うと思うぞ。てかトウジの場合はこうだな。
泡吹きながら『ワイは、男としてそんな軟弱なこと、できへん』とか言って、その横でイインチョが、ウットリして『アスカ、良いなぁ・・・』なんて妄想をはじめるんだろうな、きっと。



ハッ!ッたく・・・周回遅れにされた気分だ。

あぁ~あ。何だかもう、バカらしくなってきた。いいよ、もう降参だ。

やっぱり敵わないよ、お前らにゃ。


fin.


780: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/04/11(水) 21:44:10.57 ID:???
番外編

【続続・やっぱり敵わない】

朝、登校後、1時限目が始まるまでの僅かな時間。

クラスメイトたちは、いつものように朝の挨拶を交わすと、昨日見たテレビのことや宿題のことなど、思い思いに雑談に興じていた。

その甘味なる喧噪の時にあるはずの教室が、ある瞬間から、暗雲立ちこめるアルカトラズへと変わったのだ。


鈴原トウジ。17歳。彼がその原因であることは、居合わせたクラスの全員が、後に証言している。

そして彼は今、机に突っ伏し頭を抱えていた・・・・。

「うわぁぁぁぁ・・・」

(何なんや!ワイが何したっちゅうんや!何かもう、人が殺せそうなくらいの怖~い視線を浴びせられとるんやが・・・・)


彼は、明らかにパニックに陥っていた。しかし、それでもこの状況から脱出するために何かを成さねば死が待っていることを本能的に察した。

そして覚束ない記憶を辿ることを選択した

781: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/04/11(水) 21:48:32.13 ID:???
(と、と、とりあえず落ち着いて思い出そうやないか。まずは、それからや・・・)

(10分や、10分前には、何事もなかったはずや。)

(ワイは、シンジやケンスケがまだ来てへんなぁと思いながら、すぐ側にいるコイツらと昨晩見たIPPON GPの話をしてたんや。)

(番組もマンネリ化してきて松ちゃんのトークに切れがなくなったとか、出演者の質が落ちただとか、好き勝手に言いたい放題で盛り上がっとった。・・・うん。ここまでは、問題なしや。)

(そしたら、イインチョがやって来て背中をチョンチョンと突いて『鈴原、お早う』って言うたんで、振り返って『ン?あ、お早うさん』と返して、んでもって、すぐにまたヤツらと話の続きをはじめたが・・・ン?そう言えばあの時、アイツら妙な顔してワイの方を見てたな)

(それでちょっとばかり何か違和感がして、もう一回イインチョの方に振り向いたんや。)

(そうしたら恥じらいを知る淑女のように気配なく近づいた割には、立ち去る時には魔王の歩みのようにドスンドスンと音を立ててこの場から離れていったんで、
つい『けったいなヤッチャなぁ』って呟いてもうたら、突然、教室がザワザワしてきて、黒い霧が教室全体を覆いはじめたんや・・・)

783: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/04/11(水) 21:51:56.53 ID:???
(オイオイ。マジか、コイツら。援軍はおらんか・・・。オッ、ケンスケがあんなところに。おい!そんな遠くじゃのうて遠慮せんと、はよこっちへ来てくれ。)

哀願するようにトウジはケンスケにアイコンタクトを送ったのだが・・・。

(あ、目ぇ、逸らしよった。ほんまアイツは己の欲望には正直やけど、己の利にならんとなるとトコトン冷たいやっちゃ。はぁ~。)

トウジは、この日、何度目かの溜め息をついた。

784: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/04/11(水) 21:53:34.93 ID:???
さらに、四面楚歌状態のそんなトウジに追い打ちをかけるが如く、ある女子が、語りはじめた。


「この間夕食を食べている時にね、パパがワタシと姉に話しをしてくれたの。それはね、姉が付き合っていた彼と別れたばかりでパパなりの慰めみたいなものだったんだけど、
『A美も年頃だから一緒に聞きなさい』って言うから聞いたの。パパが言うには社員選びも恋人選びも一緒なんだって」

「えっ!なになに。参考になりそうな話し?」

「そう言えばA美のパパって、一部上場の大会社の社長さんじゃん」

「テレビにもよく出てるわよね」

785: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/04/11(水) 21:55:35.04 ID:???
「うん。まぁ、そうなんだけど・・・それは置いといてぇ~。パパが言うには、昔は成績が良いとか、スポーツやってるとか、一芸に秀でてるとかが社員選びの基準だったんだけど、
今は、そんなんじゃダメなんだって。どんなに優秀であっても人が一人でやれる仕事って限りがあって、会社という視点から見れば、
優秀なだけとか体力自慢の人とかが必要ならアウトソーシング、外注でも良いんだって。本当に必要なのは気づきができる人。
例えば400mリレーで80mぐらいしか走れない人がチームにいたら誰がどのようにして20m分をカバーするのが良いのかだとか、
場合によっては5人で走った方がいいタイムが出るんじゃないかと提案できる人の方が社員として欲しいみたい。
早い話、仕事に対応できないのはフォローし合えれば何とかなるけど、気づけないのは致命傷になるってことみたい。
まぁ、そんな訳で気づけない人、機微に疎い人は時代から取り残されるから、彼氏選びもそう言う視点で考えてみなさいって」

786: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/04/11(水) 21:58:38.60 ID:???
「なるほどねぇ。確かに鈍感な男子は、疲れるだけだしねぇ~」

「それにさ、ラブコメなんかでよく出てくる鈍感男子を意識しちゃってさ、何か頭に湧いてるんじゃないのって感じぃ」

「まぁ、ブサ男くんは、問題外として、多少イケてる顔でも、気づけないのは引いちゃうかもね」

「やっぱり女の幸せは、愚鈍な男と付き合ってたら望めないってことね」

「「「ウンウン」」」

「だけどねぇ~」

「「「あっミサト先生!」」」(ウッ!お酒臭い・・・)

「ウップ・・・わるい、そこのキミ、ミネラルウォーター買ってきてくれる。あー、それから、あ、相田くん。ちょっと職員室に行って出席簿と教科書取ってきてくれる。ウップ」



(あっ、生徒をパシリにしよった。アカンでぇ。ワイをこのイジメから助けるのが先決やろ・・・)

787: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/04/11(水) 22:02:55.37 ID:???
「でも、さすがね。一部上場企業の社長さんだけあってA美のお父さんの言うことは尤もだと思うわ。
だけどね、それだけじゃないのよ、現実は。確かに機微に疎い人間は女の敵かも知れないけど、機微に聡いのも考えモンよ。
いいこと。機微に聡い男は、それを十分に自覚してるのよ。だからアッチにも喜びそうなことを、コッチにもいい顔をする・・・そんなことぐらい平気でやってのけるのよ。期待させるだけさせてさ。ウッウウウウ。ワ~ン・・・」

ミサトは、号泣すると、そのまま机に突っ伏した。


この時、大人の世界というものは、自分たち高校生の考えが簡単には及ばない恐ろしい世界であることをクラスの全員が理解したのであった。

トウジもまた、ひょっとしたらクラス担任としてワイに助け船を出してくれるんじゃないかと。だが、そんな期待は、ただの幻想でしかないことを理解し、己の甘さを悔いた。

788: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/04/11(水) 22:14:09.50 ID:???
だが、こんな状況下でもトウジは、クラスで一番厄介な人物がまだ来ていないことに、幾分かのツキが残っているように感じていた。

惣流アスカだ。何しろ天敵に近い。ヤクザ映画でもドスを相手に突き刺したら、そのままスッと抜く。ヤツは違う。

ドスで刺したら柄をグルリと一回ししてえぐるように抜き出す。同じひと刺しでも確実に致命傷を負わせる必殺技に昇華させている。

まぁ、実際には高校生活なので、ここまで酷くはないが、口論でも腕っ節でも勝ったためしがない。

それは、この明城学院においてただ一人の男子生徒を除いて全員が屈服させられているのだ。

しかし、そんな細やかな期待も、無駄な足掻きのようなものだった。

789: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/04/11(水) 22:16:43.55 ID:???
「オッハヨー」明るく澄み渡ったような声が、黒い霞に覆われた教室に響き渡った。

「ぁによ!暗いわね・・・あっ、ミサト。どうしたの?ン、何か酒臭い・・・えっ泣いてる?ミソジ女の涙はみっともないわよ」

「フンっ。大人には、子供にゃ分からない悩みがあるのよ!」

「どうせ、加持さんの浮気かなんかで悩んでるんでしょ!」

「うっさいわね!色ボケしたアンタなんかに言われたくないわよ」

「フフフ。そうね。ダーリンと仲睦まじく暮らしているアタシには分からない事よねぇ~」

「ケッ!そう言ってられるのも今のうちよ」

「ウッ!これほど反面教師って言葉が似合うヒト、見たことないわ」

・・・・ガルルル

・・・・フゥゥ、シャァァァ

790: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/04/11(水) 22:18:09.45 ID:???
(おい。コレが教師と生徒の会話か・・・)そう思いながら周りを見ると、みんなコクコクと頷いた。

(それよりも惣流と眼を合わせんようにせにゃ。ワイのこの姿を見つけたら、慈悲は一切なく嘲笑・哀れみ・侮蔑に満ちた顔付きでワイを見下すんやろうな。)

そう思っていると、案の定・・・


「あら、鈴原。アンタもナメクジみたいに机に突っ伏してるけど、何かやらかしたの?ま、アンタのことだから息してても迷惑なんだけど」

「ほっといてくれ!」今のトウジでは、この一言を言うのがやっとであった。変に口答えをすれば致命傷を負わせることは自明なのだから。そして、くわばらくわばらと心の中で念じた。

791: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/04/11(水) 23:01:30.72 ID:???
「あっ、ヒカリ。おはよー!わぁ~似合ってるじゃない。その三つ編み、大人っぽくって素敵よ」

「アスカ、ありがとう!17歳にもなっていつまでもオサゲじゃね。それにもう少し伸びたら三つ編みでオシャレポニーもできるかなって」

「でも3ヶ月間、我慢して伸ばした甲斐があるじゃない。あ、よく見るとちょっとサイドに寄せてるんだ。いいなぁ~。アタシも大胆に変えてみようかな」

「ムリムリ。だってアスカは、碇くんの許可がないとダメでしょ」

「う~ん。そ、そうなんだけどさ・・・ま、シンジ好みのアタシでいなきゃいけないしぃぃ~。でも、でもね。シンジったら、アタシの髪を触ってるのが唯一の趣味みたいなモンでさっ・・・」



(ゲッ!なんちゅう惚気や。ン!あっ、そうか!言われてみればイインチョの髪型か・・・ひょっとしてそれが原因かぁ?)

(しっかし、何やろ。ワイの好みから言えば、前の方が断然ええのに。見る目がないんちゃうか、お前ら。)

(えっ、惣流、なんでワイを睨むんや。)

792: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/04/11(水) 23:03:08.60 ID:???
「ん!ハハ~ン。そ言うことね」

「エッ。どうかしたの、アスカ?」

「うん。何となくね。教室が暗くて、鈴原がナメクジみたいになっていて、それからヒカリのこめかみにうっすら#マークが見えてるから・・・」

「わっ。見ないで!そんなとこ。でも、もういいの。さっきまでみんなで話したんだけど、クラスの総意として機微に疎い人とは付き合っちゃダメって事になったの」

「なるほどねぇ。アタシもその意見に賛成かな。それにしても、よく気付かないでいられるわね。感心するわ、その鈍感力に。ま、でも男子の場合は、教育していかないとねぇ~」

「えっ。碇くんも、そうだったの?」

「シンジの場合というか、アタシも含めてだけど、お互いが見過ごしちゃうと大変なことになるって反省したから、大丈夫になったの」

「ふ~ん。なんか意味深ね」

「ま、いろいろとあったし、これからもいろいろとあるんだろうなって思ってる。だってシンジって天然ぽいでしょ.アタシがシッカリしないといけないし。ウフフフ」

793: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/04/11(水) 23:06:24.98 ID:???
(ケッ!何言うてけつかんねん!何がアタシがシッカリしないと・・・。ウフフやて・・・。寝言は寝てる時に言え。)

(お前らカップルはな、シンジの寛容の心があってこそ成立しとるんやで!わかっとるんか。それと、そのなんだ。ワタシ、コレさえあれば御飯3杯食べれます、みたいな言い方は止めろ!似合ってへんで。)

(それはそうと、ここが千載一遇のチャンスやな。上手いこと言い逃れできれば、地獄のアルカトラズから無事脱出や。)

794: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/04/11(水) 23:09:48.98 ID:???
「アレ?鈴原。アンタ、今アタシに変な感情ぶつけなかった?言いたいことがあれば、言えばイイじゃない。アタシだって鬼じゃないんだから」

(ああ、そうだよな。お前は鬼じゃあらへん。悪魔や!使徒や!)と心の中で叫び、そして口にしたのは

「し、知るか!そんなこと。あ、それよりイインチョ。堪忍や。気付いとったんやけど、照れくそうて言われへんかったんや。でもワイは、前の髪型の方が好みや」

「・・・ううううっ。鈴原ぁ~。お願いがあるんだけど、一回死んでくれない!」

「ヒカリ、そう言うことなら手伝ってあげるわ」バキッ。ドカッ。グヘッ・・・

795: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/04/11(水) 23:11:15.35 ID:???
そうこうしていると予鈴が鳴り、同時にシンジが息を切らして教室に入ってきた。


「あ、ミサト先生、お早うございます。廊下でリツコ先生が落ちていたので、とりあえず拾ったんですが、それが尋常じゃないぐらいに酒臭くて・・・・隣の教室に運びこむのが大変で。ウッ。ミサト先生も酒臭いですね。何かあったんですか?」

「エッ、あっ。まぁ、いろいろと大人の事情ってものがあるのよ」

「そうですか・・・でも、あまりムリしないでくださいね」

「ありがとっ。その気持ちの100分の1でもいいから、アスカにあれば有難いんだけどね。ちゃんと調教しときなさいよ」

「はぁ?そうなんですか???」

シンジはミサトの言うことを訝しく思いながら自分の席に着く。

796: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/04/11(水) 23:15:36.06 ID:???
「あっ、イインチョ。おはよっ。ん!三つ編みかぁ。大人っぽくって見違えちゃうよね」

「あ、ありがとう。碇くん。アスカにも褒められちゃった」

「そっかぁ。良かったね。あ、あれ?トウジ、何でこんなとこで寝てんだ?授業はじまっちゃうよ」

「いいのよ、そんなヤツほっとけば」

「・・・ん?・・・ン!アスカ、ちょっとおいで」

そう言うと、アスカの頭をポンポンと優しく撫でると

「アスカ、髪切った?イイ感じだね」

「あ、うん。黙って切ってゴメン」

「ヘッ。ホント?アスカ、髪切ったの?ワタシ全然気が付かなかった・・・」

「うん。昨日、少し気になって前と横を5ミリほどね」

「しかし、碇くん、よく分かったわね」

「うん。気づきは大切だからね。それにアスカのことが大好きだから分からない事なんてないよ・・・」

797: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/04/11(水) 23:16:37.68 ID:???
「ウガッ!」女子生徒全員の呻きと男子生徒全員の嘆きが入り交じった珍妙な声のような音が教室に響き渡った。

それと同時に、教室全体を覆う黒い霧は、どこかへ飛び散り、代わりにピンク色の霞がかかってきた。


(ウワッ!惣流のヤツ、耳まで真っ赤にして惚けとるがな。それにしても流石やなシンジ。もう、エスパーとちゃうか。あ、そう言えば、この間、ケンスケがシンジはジゴロになりよったちゅうんはホンマやったんやなぁ~)

798: 名無しが氏んでも代わりはいるもの 2018/04/11(水) 23:19:05.84 ID:???
「あぁ~、そ、その、シンジよ。お前たち、随分変わったな」

「ン?勘違いしてるよ、トウジ。ボクとアスカは、ありのままだよ。強いて言えば、より素直になった。かな」

「そうなんか・・・アチコチで根も葉もない噂を立てられてるぞ」

「いいさ。言いたい連中には、言わせておけば。アスカさえ側にいてくれたら満足なんだから」


(ほぉ~。さよか・・・。もうワイらは敵わへんわ)


かくしてシンジとアスカは明城学院の伝説となったのだ。




fin.




元スレ:http://mao.5ch.net/test/read.cgi/eva/1499090977/